feature_niigatanokomejirushi_k09_ec
新潟県食/ごはん2022.11.02

もちろんお米もいいけれど…。収穫量ゼロから復活した新潟産小麦がアツい!

「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ? 
「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。

佐田直人 さん

佐田直人 さん
長岡市出身。新潟県醤油協業組合 理事長。高校卒業後は地元を離れ、東京農業大農学部醸造学科(現:醸造科学科)に進学。その後栃木県の醤油屋にて3年間の修行を行い、2000年に地元に帰郷し、家業である醤油屋を継ぐ。趣味は海外旅行。コロナ前は年に1度は必ず海外に訪れ、今まで訪れた国は10数ヵ国。

https://kikoshin.co.jp/kyodo/
https://www.facebook.com/syoyu.fukkoku.pj.jp

米の生産拡大とともに、収穫量がゼロになった新潟県産小麦

私は現在、長岡市にある新潟県醤油協業組合の理事長を務め、醤油造りや醤油・発酵食品の魅力発信を行っています。

突然ですが、醤油の原材料といえば大豆ですよね。しかし、小麦も大豆と同量の主原料だということは、皆さん知っていましたか? 醤油を作るためには、大豆だけでなく小麦も欠かせないんです。

私が地元に帰ってきて一番に思ったことは「これまで使っていた海外産の大豆や小麦ではなく、新潟産の大豆や小麦で醤油を作りたい」ということでした。しかし、さすが米どころ新潟。県産の小麦が全く見つかりません。よくよく調べると、新潟県は米の生産拡大とともに小麦の収穫量が減少し、平成9年には収穫量がゼロになったとのことでした。

〈新潟小麦の会〉のメンバーとともに県産小麦を復活

泣く泣く県産原料の醤油造りは諦めていたところ、週末に趣味でパン屋を経営していた小千谷のある農家さんが小麦の生産を始めたのをきっかけに、地元の長岡で小麦の生産が始まったことを知ります。作り始めてみたら需要も高く、本来小麦の栽培に向かない新潟県の気候に耐えうる品種も出てきたことから、次第に県産小麦の生産機運が高まり、2012年に〈新潟小麦の会〉が立ち上がりました。弊社はチャーターメンバー(創立会員)として県産小麦の普及、PRを続けています。

feature_niigatanokomejirushi_k09-1

現在では、新潟県は年間150トンの小麦を生産しています。まだまだ生産量は少なく購入できる量も限られているのですが、2015年に通常仕込みの半分量の小麦の確保ができたため、初めての仕込みを行い、新潟県産醤油が誕生しました。こだわりの醤油として販売を続けています。

外国産の小麦と比べ、新潟県産の小麦は風味が段違いです。その素材の良さを活かすため、四季の温度変化だけで丸1年発酵させ、熟成を行う昔ながらの天然醸造という製法で仕上げています。その年の大豆、小麦の出来具合や気候により毎年風味の変化を楽しめるワインのようなヴィンテージ醤油です。

feature_niigatanokomejirushi_k09-2

最近では、県産小麦は醤油、パン、麺などに加工され、新潟県内のさまざまなところで活躍しています。使わなくなった田んぼや畑を小麦畑として生まれ変わらせる例も増え、県産小麦を使うことで新潟の農業の活性化にも繋がっています。
新潟の風景といえば、緑が美しい田園風景を思い浮かべる方も多いと思いますが、黄金色が広がる小麦畑も素敵です。これからも〈新潟小麦の会〉の皆さんとともに、生産普及活動を続けていきたいです。

feature_niigatanokomejirushi_k09-3

編集部コメント

新潟県といえばお米ですが、最近は小麦もアツいとは! 緑豊かな田園風景ももちろん美しく、見ていると心が安まりますが、黄金の小麦畑と青空のコントラストも素敵ですね。毎年風味が変わる新潟県産のお醤油も非常に気になります。公式Instagram(https://www.instagram.com/kyoudonominori/)で紹介しているアレンジレシピも美味しそう。ぜひ試してみたいです。(齋藤)