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弥彦村歴/れきし2023.02.22

開墾がルーツ? 新潟県民の「たくましい精神性」と「奥ゆかしい郷土愛」

「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ? 
「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。

ヌマジリ さん

梨本雄哉 さん
弥彦村出身。今から460年ほど前からこの弥彦村矢作の地にあったといわれる〈真宗佛光寺派法圓寺〉の副住職。人と交わることや人に関わることが好きな性分。弥彦村・燕市吉田地域にひらかれたお寺を目指し、寺内でヨガ教室や婚活イベントを企画するなど、お寺という場が人と人との架け橋になるよう活動中。趣味はスポーツ観戦。

https://twitter.com/nassi730
https://houenji.org/

新潟を選ぶシンプルな理由。答えは「ここに生まれたから」。

この記事のご依頼をいただいて、私は新潟のどんなところが好きなのだろう、どうして新潟にいるのだろう、と自分に問いかけてみましたが、その答えはとてもシンプル。「新潟に生まれたから」です。

ごはんが美味しい、自然が豊かなど、新潟の好きなところはたくさんあります。しかし、新潟が好きで、ここに住むことを選び続けている理由は「生まれ育った地だから」。それだけで十分だと思っています。

しかし、それ以外にも理由を上げるとしたら、私は新潟県民の「たくましい精神性」にとても魅力を感じています。

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私は現在、弥彦村に門を構える〈真宗佛光寺派法圓寺〉で副住職を勤めております。僧侶という立場ですので、自分が住む地域の歴史に触れる機会が多くあるのですが、実は、弥彦村がある西蒲原郡は、未開拓の沼地だったこの地域に隣県から人民が移り住み、彼らが開墾作業を行って、集落が形成された経緯を有します。

我々の2〜3代前の先人たちは、近くの丘を切り崩して作った土砂を手作業で沼地に落とすという途方もない作業を行って、土地を切り拓いていったそうです。自分達の先祖は土砂を盛った船を沼地に浮かべ、胸のあたりまで沼に浸かりながら、埋め立て作業をしていたと、集落のお年寄りから伺いました。
そのおかげで私たちは今、この場所で生きることができているということを、皆さんにも知っていただきたいと思っています。

県民がよく言う「新潟には何もない」。その真意とは…?

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新潟県民は新潟のことをよく「何もない」と言います。実際「何もない」ように見えるかもしれませんが、そこには開墾という作業を通し、新しき潟を拓き、この地に根付かんとなされた先人の努力が存在します。この、土地にいた人々の「たくましい精神性」に感服せざるを得ません。

そのたくましい精神性は、現在の新潟県民にも知らず知らず受け継がれているように思います。多くの県民は、「新潟には何もないよ」と言いますが、他地域の人から「新潟って何もないよね」と言われたら、少しムッとしたような経験はありませんか。その一方で、新潟のことを褒められると、内心ではとってもうれしい気持ちになるのです。これは私の想像に過ぎないのですが、「新潟には何もない」と思いたい新潟県民は少ないのではないでしょうか。

おかげの大地

私が新潟県弥彦村の法圓寺というお寺に生まれ落ちたことは偶然です。主体的に選び取れたわけではありません。だからこそ、この地に生まれた縁は大切にしたいと思っています。先の「ここに生まれたから」という回答、聞く人においては拍子抜けの印象があるかもしれません。ですが、この私においては、先人たちのたくましい開拓の歴史を聞いているからこそ、十分「だから新潟!」の理由たり得るのです。

弥彦村のみならず、新潟県のダイナミックな開拓史を知れば、郷土愛があらわとなり溢れ始めるかもしれません。なぜなら、あなた方の踏んでいる大地もまた、先人による「おかげの大地」なのかもしれないのですから。


編集部コメント

新潟を選んでいる理由は「ここに生まれたから」。シンプルかつ納得感の高い、そして地元への愛と自信があふれる梨本さんの答えに、県外出身者の私は思わず羨ましさを感じました。生まれた土地を好きと言えることって、意外と当たり前ではありませんよね。また、西蒲原郡にそのような歴史があったとは!新潟県民の持つ奥ゆかしい郷土愛について一つのルーツを知ることができ、新たな発見がありました。(齋藤)