この味に魅せられて、村上の春とつながるひととき
「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ?
「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。
今回は、東京と新潟をつなぐ20-30代のためのコミュニティ〈Flags Niigata〉に参加するayakaさんから、村上市をご紹介いただきます。
商人の暮らしがいまも息づく〈村上の町屋〉
新潟県最北の城下町、村上市。実は新潟の中でも古い城下町であり、今もなお城跡や武家屋敷、町屋、寺町の面影が残っているのは、全国的にも珍しく貴重なことなんです。村上城があったのは市街中心部にある〈お城山〉の山頂、眼下には武家屋敷が点在していたそうです。
そして武家屋敷エリアの先にあるのが町屋エリア、商人の町です。
古くは江戸時代から続くような長屋造りの家があり、商店街を歩くだけで江戸から大正にかけての風情ある町並みとその空気を直に感じることができるスポットです。
春の訪れを告げる風物詩〈早撰堂の桜餅〉
そんな村上の町屋では、この土地の名産である鮭加工品、村上茶、酒、村上木彫堆朱(ついしゅ)などと出会うことができます。
なかでも、私が一番おすすめしたいのは、江戸時代から続く和菓子の名店〈早撰堂〉の”さくら餅”です!!
毎年2〜3月の間だけ店頭に並ぶさくら餅は、村上に春の訪れを知らせる風物詩。
桜の香りをサラリとまとった葉の塩気と、道明寺粉の中に包まれたもっちりとした白餡が最高に上品な逸品です。
店主の早川さんが一つひとつ丁寧に作っていて、言わずと知れた地元の大人気商品。早いときは午前11時頃には売り切れてしまうなんてことも! お店の前に「さくら餅」の看板が出ているときは、まだ店頭にさくら餅が並んでいるとき。看板がなければ売り切れです。
うちの父は、この時期になると早撰堂の前を行き来し、看板を見つけると大喜びでさくら餅を買い占めるのです(笑)。
町屋めぐりで城下町村上を感じて
江戸時代から続く老舗が数多くある村上の町屋ですが、実はそのほとんどが今でも人々の生活の場として成り立っています。
和菓子屋、鮭の加工品屋、酒屋、鍛冶屋、染物屋、木工品屋など、それを繋いできた職人や商人たちが、村上の人々の生活を支え、文化を作り上げ、今に伝えています。なお、町屋の一部は無料で見学できるようになっているため、外観や町並みだけでなく実際に生活の場である風景をみて感じたり、村上の歴史と共に暮らす人々からお話を聞いたりすることもできます。
毎年春先は、一年間の中でも最も村上が観光客で賑わう〈お人形さま巡り〉が開催される時期。町屋の各家が代々受け継ぎ、思い出や願いが詰まった人形を展示しています。
少しずつ暖かくなってきて、山々の景色も真っ白から彩りが見え始めてくるこの季節、村上の春の味に舌鼓を打ちながら、この土地の歴史や人々の生活に思いを馳せてみませんか。
編集部コメント
今回中村さんが教えてくれたのは、地域の人に愛される菓子店や城下町の文化など村上ならではの魅力。これまでも、〈イヨボヤ会館〉や〈千年鮭 きっかわ〉など、鮭の産地としても観光拠点としても人気の高い村上ですが、近年は、〈日本最北端のお茶の産地〉としても、知名度が上がってきていますね。こうやって、元々は地域の人に根付いてきた文化が、観光などを通して注目されることで、より地域が元気になれる循環、とてもいいなと思いました。暖かくなったら、村上の春を感じに行きたいと思います!(金澤)