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新潟県暮/くらし2023.08.18

新潟県には誰でも身を立てるチャンスがある

「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ? 
「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。

大塚けんと さん

大塚けんと さん
石川県出身。富山大学にて経済学と経営学を学ぶ。中小企業家同友会の勉強会に参加したことをきっかけに、地域経済に活かせる経営学やマーケティングの研究と普及を志す。2018年、新潟県へ移住。株式会社クーネルワークにて、新潟直送計画の営業・ライター・編集長を担当し、500店舗800商品以上の紹介に携わる。2022年、退職。現在は個人のマーケター・顧問編集者として活動している。

https://twitter.com/kent_mkGuild

新潟県がこれから経済的に成長するポテンシャル

この記事をお読みのみなさんの中に、地方でビジネスを始めたいという方はいらっしゃるでしょうか。どの県を選ぶ予定ですか? 決断の決め手になるのは、知り合いが居るか居ないか、支援制度の充実などいろいろあるでしょう。

そんな中で、私がもっとも重要視したのは「チャンス」でした。今回は、ビジネスの観点において「新潟県が優れている」という話をさせていただきます。

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新潟県は、本州日本海側で唯一の人口200万人超を擁する県(全国15位)です。この数は私の出身地である石川県のざっくり2倍。新潟市(約77万人)だけでも、山梨県全体とわずか4万人の差しかありません。
つまり新潟県は、存続が危ぶまれている「地方」における最大級の市場であり、高いポテンシャルを秘めている県なのです。

たしかに、近年は人口減少の傾向にあります。毎年2万人超ずつ減っていて、そのペースは全国ワースト9位。しかし、緊急性は高いと思いますが、悲観的になる必要もないと私は考えています。前述の通り、新潟県にはもともとの人口母数に余裕があります。いくら減少ペースが早くても、他県に比べてまだ時間的猶予があるのです。

社会動態において最大の転出理由となっているのは20~29歳の「職業」です。新卒・第二新卒・30代を見据えたキャリアチェンジなどが要因だと考えられます。つまり、有力なビジネスを増やしていくことで解決できるはずです。

新潟のソフトパワーと課題

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「新潟県は素材がいいのに売るのは下手」。私が移住してきてから何度も聞いた言葉です。新潟直送計画・山形直送計画の編集長ポジションを担当していた身としても、深く実感しています。だからこそ取材中でも、商品パッケージのリニューアルや、商品の魅せ方の提案をしてきました。しかし、取材していてわかったのですが、「売り下手」というのは商品の作り方・売り方だけの話に留まらないようです。

おいしい果物を作っているのに、その加工品の製造はほとんどが山梨県・長野県・山形県に委託されています(OEM先がない)。農業の強い県なのに、大型農場の運営ノウハウを学ぶために富山県まで出向いて研修を受けられた方がいます(大規模営農組織がない)。精密部材の製造委託を能力不足で断ったら、自分たちよりも品質が良くないところが受託しているという話もありました(調査できれば対応できたかも)。
正直、ビジネス全体が弱いのだと感じました。もし現状を打開できれば、まだまだ稼げるビジネスを増やせるはずです。

新潟は時代の変わり目を迎えようとしている

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出典:総務省統計局HP
https://www.stat.go.jp/data/e-census/guide/basic/result/data2.html

このような現状は、私のようなマーケターや、実業に挑戦していきたい方にとってのチャンスでもあります。改善の余地を大きく残しているということだからです。新潟県は企業数も多い県です。その分、支援先となる見込み顧客は多くなります。近年は社長の世代交代も進んでおり、新しい取り組みを考えている新社長も少なくないようです。自ら社長にならなくても、その右腕としてビジネスチャンスを掴めるかもしれません。逆に、跡継ぎ候補がいないところも増えています。先日も数百年の歴史を持つ和菓子屋さんが廃業しました。誰かが立候補していれば、未来は変わっていたかもしれません。

もう一度言います。新潟県にはチャンスがあります。
地方都市の中では大きな経済基盤(人口)、改善の余地を大きく残したビジネス環境、代表者の交代による環境変化。とても面白い状況だと思います。だからこそ私は、故郷の石川県ではなく、新潟で始めることを決めました。
もし地方で事業を興したい方がいれば、ぜひ新潟で。


編集部コメント

新潟県は、農業・漁業はもちろん、金属加工業、酒造業、食品加工業など、日本や世界の中でも高品質のものを生産している地域だと思います。ただし、どの業界の方からも共通して「後継者不足」の声を聞くことが多いように感じます。これを逆手に取れば、大塚さんがおっしゃる通り、稼げるビジネス、元々の素材を活かした新しいビジネスを作るチャンスがあると言えそうです。ベンチャー企業というとIT関連が多いですが、新潟では一次産業や二次産業関連の新しいビジネスが生まれてきています。新潟のポテンシャルはまだまだ無限大です。(小日山)