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新潟市暮/くらし2023.10.19

仕事と地続きのくらしができる、新潟市花町

「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ? 
「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。

天野千尋 さん

天野千尋 さん
うまれ育った新潟に戻り、中央区花町でお弁当とケータリングのお店をしています。趣味は、地方の湖へくるまで行くこと。気の向くままに出かけてみたり、ゆっくり遠回りしてみたり。緩急のあるくらしをしています。

https://instagram.com/atoriobento?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
https://atori-web.studio.site/

新潟市・花町での暮らし

今思えば、会社員として関西や東京で働いていた当時のわたしは満員電車に乗って、都会の喧騒に心を支配されないよう、とても気をはって生活していたように思います。そうしていないと都会に押しつぶされてしまいそうと感じていました。
でも、そんなわたしも嫌いではなく、様々な都会の刺激の中でわたしなりに楽しんでくらしていました。

新潟に戻ったいま、当時とは全く違うくらしをしています。ご近所の方に不意に話しかけられることも多いし、それをうっかり無視してしまいたくない自分もいます。知っている姿を見かけたら、わたしからもあいさつをしたい。そんなふうにわたしの気持ちは、お店をもったという責任感も相まって変化していきました。

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私の営むお弁当屋〈atori〉

地域のお弁当屋さんをはじめたら、わかったこと

そう思わせてくれたのは、ご近所のみなさんのおかげだと思っています。日々のあいさつで元気をもらったり、雪が降った時は「大変ですね」と声を掛け合って、それだけでスコップが軽くなりました。
店の事を気にかけてくれたり、お弁当を買わずとも「近所にatoriがあって羨ましがられる」と自慢げに教えてくれたりもします。そんな時、街の一員になれたように思えてとてもとても嬉しいです。

いまわたしはセボリーというハーブを育てています。セボリーは、ブルガリアなどでポピュラーなハーブだそうです。

お店のお向かいさんはブルガリア人と日本人のご夫婦で、セボリーを育て始めたきっかけは何かのお返しにいただいたブルガリア料理。
それにはセボリーが使用されていて、とてもステキな味がしました。彼らからお裾分けをもらった時のうれしい気持ちを忘れたくなくて、記念にわたしもセボリーを植えてみることにしました。ご近所のつながりから想像もつかない出会いがあるからとても不思議です。

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わたしにとってのにいがた暮らしは、仕事と暮らしに境目がなく、地続きになっています。自分でお店をしていると、できない部分を隠すということがとても難しいのです。それを補ってくれる一部がわたしにとってのご近所さんとの関係。もしかしたら、こんな関係性が作れるのも新潟ならではなのかもしれないなぁと思っています。

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ご近所夫婦と弥彦神社へ

ご近所の方とのあいさつやちょっとした会話をしていると、意識の中にいろんな情報が入ってきます。
例えば、SNSで「英語で気軽な会話をしたいなぁ」という友人の投稿を目にした時、この夫婦のことがピンときました。ふたりは英語が堪能で、みんなで英語が出来たら楽しそうかも……!と、想像がどんどん膨らんで、すぐに連絡をしていました。

そこから彼ら夫婦を囲んで英語でゲームをする会がはじまり、わたし自身も新しい人に出会えたり、世界が広がったように思います。(英語力はのびしろ)

気軽に誘ってくれたり、窓越しに目が合うと手を振ってくれたり、そんな関係がこんなにもやさしい気持ちにさせてくれるなんて。ドーパミンでもセロトニンでもなく、これはオキシトシンのしあわせホルモンだなぁと思います。

何かの本で読んだ「依存先が多いとそれは依存に値しない」ということ。わたしはひとりでは生きてはいけない。そんな能力は毛頭持ち合わせていないのだけど、たくさんの人に依存してまるで誰にも依存していないかのように軽やかに生きていきたい。今はこの関係性が心地よく、いとおしい毎日を過ごしています。


編集部コメント

〈atori〉の天野さんは、ご近所のお弁当屋さん。私は心身が疲れた時や元気が欲しい時、自分を褒めたい時に天野さんの心のこもったお弁当が食べたくなって、たまに伺います。お弁当屋さんというと、サクッと買って帰るというイメージ。ですが天野さんのお店は、立ち寄ってお弁当を注文しながら少しお話するだけでなんだか安らぐような、ほっとする場所になっています。それは、天野さんの少し猫のようでするりと地域の人になってしまう素敵な人間性と、花町という地域の良さがあるからなのではないでしょうか。地域にそんな人がいる町って、いいですね。(金澤)