南魚沼だからこそチャレンジできた「Uターン起業」
「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ?
「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。
地元・新潟で起業した
僕は、2020年に北海道大学の大学院(水産)を卒業したのち、半年間東京の人材紹介系ベンチャー企業で働き、地元に戻って起業しました。就職活動の時は新潟に帰るつもりはなく、”港区男子”になりたかったので、外資系企業や日経大手企業ばかりを受けていました。
ただ、いまだに理由はわからないのですが、150社くらいの企業を受けましたが、とことん不採用でした。結果的に、ご縁のあった人材系ベンチャー企業の社長に拾っていただき入社することにしました。
ただ、僕は営業職配属だったのですが、絶望的に仕事ができず半年で退職することを決めました。
前職を退職する時、転職も考えました。しかし、僕の人生の目標が「ランボルギーニを買うこと」だったことを思い出し、「このままダラダラ東京で働いても買えないな」と思い、起業を選択しました。
起業を後押しした、南魚沼市の支援
起業する時に「スッポンの養殖」というアイデア自体はあったのですが、資金面やメンタル面から実現の難しさを感じていました。僕は、それまでスッポンを触ったことさえありませんでしたから。
ただ、その時たまたま南魚沼市が起業家育成をスタートさせたタイミングでした。
〈南魚沼市チャレンジ支援事業補助金〉という、「起業希望者がピッチして、審査の結果がよかったら100万円出す」という補助金のチラシが僕の目にも止まったんです。
それなら、「とりあえず100万円とってみよう」と思って応募。人生で初めて事業計画書やビジネスピッチに取り組み、とても大変でしたがなんとか審査を通過できました。ちなみに、その時の審査員の一人が、フラー株式会社の渋谷修太さんでした。渋谷さんは、今でこそプライベートでもすごく仲良くしてくださる超大物経営者の先輩ですが、出会いは南魚沼でした。
補助金採択後は、スッポンの飼育実験やら視察やら、本格的に起業準備を始めました。
まず驚いたのが、本当に色々なメディアの方に注目していただいたことです。まだ会社も立ってないし、事業アイデアがうまくいくかもわからないという中で、本当に数多くの県内テレビ局様や新聞社様が僕のところに足を運んで取材してくださり、一気にテレビデビューさせていただきました。理由の一つに「スッポン養殖事業というものがとてもユニークなものだったから」というのがあると思います。また、たくさん取り上げていただいた別の理由として「新潟県全体が新しく何かに挑戦する人に対して応援してくれる」風土があったんじゃないかなとも思っています。
2023年6月から本格的にスッポンの養殖をスタート。6月20日には、スッポンの池入れ式を行いましたが、多くの地元メディアの方にも来ていただき大盛況のうちに終えることができました。放送の反響で、様々な料亭様からの問い合わせをいただいたのは嬉しかったです。その後は、四苦八苦しながらもスッポンの養殖に向き合い、11月には初めて水揚げをすることができました。スッポン鍋セットとして、注文受付を年内に開始できたのは大きな成果でした。
僕が同じことを東京でやったとしても、情報の波に飲まれて注目されることはなかったと思います。Uターンしてよかったなと思うし、今自分がやっていることにすごく誇りを持って仕事ができているので毎日がとても楽しいです。
編集部コメント
南魚沼市でスッポンの養殖事業に取り組まれている井口さん。最初、お話をお聞きしたときはびっくりした記憶があります。すっぽんの奥深いところまでお聞きできて、どんなものなのだろうと気になっています。井口さんが起業に至ったバックグラウンドや、それを後押しした南魚沼市の助成金のお話は、これから起業しようと思っている方にはいいヒントになるはずです!(小日山)