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村上市暮/くらし2024.03.04

まちの暮らしそのものが文化。誇らしき私の地元〈村上市〉

「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ? 
「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。

板垣美怜 さん

板垣美怜 さん
新潟県村上市出身。自然溢れる新潟が大好きで地元の魅力を伝えたいと思いウェブメディア〈I’ll(アイル)〉に加入。ライターとして活動しながら、伝える力を強化中。興味のアンテナがあらゆる方向に向く性質の持ち主。考えなしに動き出すため必ず迷子になる。人生にも迷いながら、今だからこそ紡げる文章を、と学生目線で言葉を錬金している。

https://airuniigata.com/

人々の暮らしそのものが観光名所・村上市

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村上の観光の特徴は、暮らしの場そのものが観光名所になっているところにあるのではないかと私は思っています。各家で受け継がれてきた工芸品を参加店である町屋や商店の中で公開する「町家の人形様めぐり」や「町家の屏風まつり」、町中にやわらかな明かりが灯される「むらかみ宵の竹灯籠まつり」などの村上市の代表的な行事は、実際に人々が暮らしている家やまちを舞台としています。

当たり前だと思っていましたが、暮らしの場である民家を開放し、見ず知らずの観光客を“我が家”に招き入れる村上の観光スタイルが、ふと不思議に思えてきました。地域住民の暮らしや文化そのものを観光のコンテンツとしているところは、珍しいのではないか……。

— なぜだろう。

それは村上で暮らす人々自身が村上のまちを、文化を、誇りに思っているからではないでしょうか。
まちの暮らしそのものが文化であり宝であると知っているからこそ、ありのままの日常や風景が、このまちのアイデンティティになっているのです。
私が中学生の頃、村上の観光施設に職場体験に行ったことがありました。そのとき、自分達にとっては当たり前のように日常にある食や家屋や文化を「良い」と言ってくれるお客さまがたくさんいました。なにか特別な観光資源がなくても、“ありのまま”を評価してくれる人がいるのだと驚いたことをよく覚えています。

また、食や家屋、文化だけでなく、「人」においても、無理に取り繕わず、自然体で等身大のその人が魅力になりうるのだと感じました。

— 私もそのような「人」になれるだろうか……。

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「ありのまま」を誇りに思う

この文章を読んでくださっている皆さんはどうでしょうか。
人はみんな生まれ育った地元があって、
暮らした家があって、
家族がいて。

ありのままでいることを誇りに思えているでしょうか。
人には人それぞれの生き方があるのだから、
そのものさしを
ここじゃないどこかに合わせて、
自分じゃない誰かに合わせて、
矯正する必要なんてきっとないと思うのです。

私はわたしのままでいい。
比べなくていい。
恥じなくていい。

田舎にいると都会と比べてしまうし、
都会にいると田舎と比べてしまう。

となりの芝はどうしても青く見えてしまうから、自分じゃない誰かと比べてしまうけれど、大事なのは揺るがない自分とそれを誇りに思える心を持つことなのではないかと思います。

ネットやSNSの普及によって簡単に比較対象が飛び込んでくる世の中だからこそ、自分のルーツを見返して、自分らしさって何だったかなと今一度考えてみる時間が必要なのかもしれませんね。

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今は誇らしい、私の地元

代々受け継がれてきた宝と誇り。そこに込められてきた多くの人の心を大切に大切にして、また来年。脈々と繰り返されるそんな日常が実は、とてつもなく特別なことなのかもしれないと感じながら、今日もまた故郷に思いを馳せています。

とても田舎な町でちょっと恥ずかしいと思っていた時期もあったけれど、今ではとても誇らしい地元です。ぜひ一度足を運んでみてください。

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編集部コメント

そこに住む人にとっては当たり前であることも、実はそこにしかない特別なものであったりしますよね。しかし、そういった魅力は自分ではなかなか気づけないもの。中学生の頃の職場体験で板垣さんが気づかれたように、たまには他の人の視点を取り入れることも大切なことかなと思います。人々の暮らしや日常が観光になっているという村上市。記事の中で紹介されていたお祭りにはぜひ訪れてみたいです。(齋藤)