
移住者の私がカミフルで見つけた、
街と生きる心地よさ
「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ?
「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。

縁もゆかりもない街へ、飛び込んでみた
——「なぜ、新潟だったんですか?」
移住して以来、何度この質問を投げかけられただろう。
2025年の6月、私は東京での仕事を抱えたまま、新潟市へと住まいを移しました。正直に言えば、この街に親戚がいるわけでも、かつて住んだことがあるわけでもありません。旅行や仕事で数回、数時間を過ごしたことがある。ただそれだけの街でした。
なのに直感的に「ここで生活がしてみたい」「自分の人生に全くゆかりのない場所で過ごしてみたい」と、好奇心に突き動かされたのです。まさか、今こんな大好きな場所になっているとは知らずに…。

移住当初、時間があれば新潟の街を歩き回り、何度か足を運んでいた場所がありました。それが、白山神社の門前に位置する「上古町(かみふるまち)商店街」です。
縁あって上古町商店街振興組合の事務員として加わり、私の新潟ライフは、この全長約500メートルのアーケードを中心に回り始めました。
歴史とモダンが融合する「カミフル」
上古町、通称「カミフル」。

新潟の総鎮守・白山神社へと続く約500mの沿道には、明治時代から続く老舗店はもちろん、個性豊かな古着屋やゲストハウス、カフェを併設する複合施設や雑貨店などが、驚くほど自然に混じり合っています。

「古いもの」を壊して「新しいもの」を作るのではなく、そこにある歴史を尊重しながら、今の世代が自分たちの色を重ねていく。上古町商店街では「温古知新」という言葉を大切にしています。(故ではなく、あえて“古“の字を使うのがカミフル流)
アーケードの下を歩いていると、時代のグラデーションの中に身を置いているような感覚にもなります。それでいて、どこか地元に帰ってきたような温かさ、アットホームさも感じる。
それはきっと、ここが観光地としてではなく、街で暮らす人々の「想い」と「生活」が、途切れることなく続いてきた「体温のある場所」だからなのだと思います。
「20周年」というバトンを次へ繋ぐ
私が事務員として働き始めてから、大きな節目を迎えました。2025年、新潟市上古町商店街振興組合は設立20周年となります。

事務所のデスクで、ちょっと画質の粗い過去の資料を手に取る機会も多いのですが、まだアーケードがなかった頃や、150年続く老舗の若かりし頃の写真に出会います。そんな資料を手に店主たちと話をすると、
「あの頃はここに喫茶店があってね、結構賑わっていたんだよ」
「ここは昔もお弁当屋さんだったのよ」
と、昨日のことのように楽しそうに教えてくれます。
驚いたのは、誰一人として「昔の方が良かった」と言わないことです。足りないものを嘆くのではなく、積み重ねてきた歴史もひっくるめてどう活かし、1を2に、3へと広げていくか。その前向きな姿勢に、ハッとさせられました。
東京で「0から1を作る」仕事をしてきた私にとって、この「続いてきたものを守り、更新しながら続ける」という商店街の営みは、何よりもクリエイティブで、日々ワクワクしています。
そんな上古町商店街の象徴が、年に2回開催される「門前市」です。

日頃の感謝を込めて、近隣のお客さまや地域の皆さま、店主の皆さまにも楽しんでいただく感謝祭で、2025年、私たちは「こどもんぜんいち」という新企画に挑戦しました。


地域の小学生が何か月もかけて「商店街でしたいこと」を考え、店主へインタビューをしながら企画したイベントや売店を、門前市の当日、実際に自分たちで運営するというもの。準備期間中は、毎日のように街に小学生がいるという、賑やかで不思議な光景が広がっていました。
二回り以上も年の離れた世代間で歴史が手渡されたり、小学生の純粋な熱意が、店舗との新しい交流を生んだりもしました。商店街を舞台にした彼らの活動が、いつか「ここで働きたい」という未来の選択肢につながる一助になれたのなら…。そう思うと、私がずっと探していた「街と生きる」ことの答えに、ふわりと触れた気がしました。
これは東京で大きな街の一員として過ごしていた時にはなかった感情で、商店街というフィールドにいたからこそできた体験だと思います。
何より、自身の店舗を切り盛りしながら、「自分の街を面白がろう」と前向きに動いていた店主たちの姿。そこには、上古町商店街らしい「人の温かさ」と、確かな「街の体温」が宿っていました。そんな光景に触れるたび、私はこの街が、こんな大切な街がある新潟が、より一層好きになっていくのです。
これからも上古町商店街と
上古町商店街での新潟ライフは、とにかく面白いです。
平日は、学校帰りの小学生が今日のできごとを話しながら歩き、土日は若い世代が古着屋を巡り、観光客が「こんなお店があったんだ」と目を輝かせる。毎日同じようで違う時間が流れる素敵な街です。
商店街活動が難しくなりつつある昨今ですが、ありがたいことに、現在、上古町商店街に空き店舗はありません。
この街には、変化を恐れず、熱を持ち続ける人々がいます。中の人も、外の人も、等身大で楽しめる。そんな商店街はそう多くないと思います。ガイドブックには載りきらない、「街の体温」をぜひ感じに来てください。今日も元気に、上古町商店街でお待ちしています。
編集部コメント
上古町商店街には、地元の方も観光客の方も、誰でもふらっと入ってゆっくりできる居心地の良さがありますよね。私も移住前に初めて新潟を訪れた時、上古町商店街と出会ってつい長居してしまいました。近所に引っ越した今では、用事がなくても自然と足が向く場所です。人を惹きつける商店街の温かな雰囲気と、そこで働く楽しさが活き活きと伝わってくる素敵な記事でした。(卜部)