日本一神社が多い!?
幼いころから身近にあった存在
新潟県民にとっては「当たり前」の風景でも、全国的に見ると案外当たり前じゃないかもしれない。そんな新潟の魅力を「当たり前品質100」として、新潟県に縁のある方に聞いてみたシリーズです。
祈る、誓う、そして歩きだす。
日本一神社が多い風土で何を思う?
新潟県の神社数は4700社余りと、全国一の数を誇るといいます。その理由は諸説あるようですが、それだけ私たちの生活に密接に関わってきたことを表しているのかもしれません。
そんな神社に惹かれたNext Commons Lab 三条の水澤陽介さんから、エッセイを寄せてもらいました。
「さあ、行こうか」
元旦の朝日が昇る、その前に近所の神社へと家族で赴き、参拝する。
うす暗さに対するざわついた怖さと、世の中のお祭り感に乗っかって浮わつく感情を抑えつつ。
神社でお祈りを、そのあとおせち料理を食べるまでが、新年はじめの、わたしの恒例行事。
それから数十年が経ち、新潟にUターンするときに日本一神社が多い地域だと知る。
明治時代、新潟県は全国で最も人口が多かったから……
商業や産業が盛んだったから……
お城が多かったから……
諸説ある中で、神社へと訪れる人たちの思いも多種多様。
お米の豊作を祈る、雪国ならではの地域安全を誓う、休日に家族団らんで神社へ立ち寄る。そんな土地に根付く文化と習慣を知れば知るほど、新潟も、神社も好きになる。
とある朝方に、凛とした佇まいの弥彦神社を訪れた。
お祈りの本来の意味あいは、「普段の暮らしや感謝を伝える」だったな、と。
神様へのお祈りをすませて、ふと境内で並ぶ交通安全のお守りが目に止まって、手に取った。。弥彦神社までの道のりを思い浮かべて、無事に到着できたことさえも感謝せずにいられない。
神社ひとつとっても、その街や村の成り立ちと歴史が見えてくる。さまざまな環境下にいる人にとって、信仰のシンボルでもあり、昔から暮らしのなかに当たり前にあった神社。
感染症が世界中で蔓延し、殺伐な世の中になってしまったからこそ、祈りの重要性を改めて内から掘り起こすことができる。そう思えたのも、山に囲まれた、人気のない境内が、地元の神社と似ているから、かもしれない。
【編集部からひと言】
幼いころから身近にあった神社
思い返せば、神社は幼いころから何度も通っていた場所でした。新年のお参りだったり、散歩がてらに立ち寄る存在だったり。これだけ身近だったのは、全国で一番神社の数が多いことに関係しているのかもしれませんね。