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技/わざ2020.10.01

600年以上前から受け継がれてきた
〈村上木彫堆朱〉
〜県北地域の情報を提供する
『moca』が感じる、新潟の「当たり前」〜

新潟県民にとっては「当たり前」でも、全国的に見ると当たり前じゃない!? そんな新潟の魅力を「当たり前品質100」として、新潟県に縁のある方に聞いてみました。

 (株)フォト・スタンプ新潟 moca事業部

にいがた当たり前品質100・選者
(株)フォト・スタンプ新潟 moca事業部

村上市・岩船郡・胎内市の情報を提供する地域活性化フリーペーパー『moca』。2009年4月から発行され、地域で活躍している人、地元ならではの商品、おすすめスポットなどを紹介して、11 年目に突入。昨年からは、mocaの記事がいつでも読めるWeb版mocalogが登場。

人と街の情報発信地域活性化フリーペーパー『moca』。村上市・岩船郡・胎内市内のお店や活躍している人、地元ならではの商品を掲載しています。
フリーペーパーモカ

フリーペーパーmocaがいつでもどこでも見られるWeb版『モカログ』。mocaで掲載された過去の特集や新たな情報も続々追加しています。
モカログ

小杉漆器店
小杉漆器店

使い込むほどに艶が増す〈村上木彫堆朱〉

村上における堆朱の歴史は古く、漆技は1400年頃に京都から来た漆工が始めたと伝えられています。村上城主は全国でも珍しい「漆奉行」を置いて漆の増産をはかり、江戸時代中期には日本一の産出量を記録しました。村上木彫堆朱は、武家のたしなみとして武士の間で始められ、藩主の奨励もあり、町民にまで広く伝わり現在に至っています。

村上木彫堆朱

村上木彫堆朱は木地に繊細な彫刻を施したあと、そこに漆を何回も塗り重ねて仕上げる独特の技法の漆器です。木地に先に彫刻することで、躍動感のある彫りや細かい地紋が表現できるのです。繊細な彫りに漆が流れこんで埋まらないように、堅めの漆を用いることと、上塗り後に艶消しという工程を行うことが村上木彫堆朱の特徴です。そのため、使うほどに色艶が増し、透明感が出て味わい深くなります。昭和51年には国の「伝統的工芸品」の指定を受け、新潟県を代表する工芸品となっています。

村上木彫堆朱の種類は、伝統的な技法の堆朱、黒漆を用いて朱が透き通る黒色に仕上げる堆黒(ついこく)、木地に朱・黄・緑の三色を塗り重ね、最後に黒を塗り上げてから彫り下げて色を出す三彩彫り(さんさいぼり)などがあります。

伝統工芸士 川上健氏
伝統工芸士 川上健氏

村上の家庭には一家に必ずひとつはある村上木彫堆朱。小学校の体験学習で、コースターや箸などの木地に彫りや漆塗りの体験をし、自分だけの作品をつくります。

村上市内には、漆器店が点在しており、各お店で購入することができます。また、村上木彫堆朱会館には、十人ほどの職人さんが手掛けた作品が展示販売されています。

人気があるのは、手軽でお値段も手頃な箸やぐい呑み。また、女性職人によるペンダントや帯留め、ブローチやイヤリング、名刺入れなど、普段使いできる小物も増えてきました。飾っておく伝統工芸品ではなく、身近に使える伝統工芸品として、たくさんの人に手に取ってもらいたい。職人さんの腕とアイデアが溢れる作品に触れてみてください。

【編集部からひと言】
普段使いできる伝統工芸品へ

村上市内の家庭には、必ずある村上木彫堆朱。それだけ当たり前の風景に溶け込んでいる伝統工芸品なのですね。最近は、手軽に普段使いできる作品も多くなったとのことなので、手にとって見てはいかがでしょうか?

村上木彫堆朱の販売先(村上堆朱事業協同組合)、工程、種類など、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

Information

村上木彫堆朱会館
address:村上市松原町3丁目1番17号(村上堆朱事業協同組合内)
開館時間:平日/9時00分~16時00分
      土日祭日/9時30分~16時00分
休館日:年末年始、お盆期間、村上大祭(7月6日、7日)
web:村上木彫堆朱会館 公式サイト