自分で創意工夫する
昔の暮らしには、
ワクワクがいっぱいある!
新潟県民にとっては「当たり前」でも全国的に見ると全然当たり前じゃないことってたくさんあるはず! そんな新潟の魅力を、新潟県に縁のある方に聞いてみました。
「くらし」が学びや遊びになる
初回の予約受付は、手紙か葉書だけ。「くらしに遊び心を」をコンセプトに、新潟の田舎のくらしを体感できる古民家宿「こつぼねの家」を運営しています。
そんな古民家の宿を営みながら、ほぼ自給自足の生活をしています。この写真は、昨年の冬に食べた自宅兼宿での自分の朝食です。ALL手作業米(自然農法)、ALL自家製藁納豆(自然農法)、自家製味噌汁(地域のお裾分け野菜)、自家製梅干しで作ったときのもの。
自給自足は手間も時間もかかりますが、素材を楽しめるのが何よりの魅力。当たり前ですが、すべて自分で作るのでそれまでの工程に想いを馳せながら調理、加工できます。その過程があることで、食材一つひとつをきちんと大切に扱い、味わえるようにもなりました。
他の人から見ると単なる食材かもしれません。でも、自分にとっては食財(財産)となり、その経験値ごと、体に貯蓄している感覚です。
田舎暮らしに惹かれた理由のひとつに、集落の皆さんが昔から伝わる仕事や暮らし、遊びを今でも「遊び心」を持って楽しんでいるように見えたことがあります。
自分が関わった方々は、暮らしの中でちょっとした工夫をする事で、大変だと思う事、活用しにくいものなどとうまく付き合っていると感じました。
例えば、放置竹林を使って門松や灯籠を作って楽しんでいたり、野菜作りも綺麗に作付けしています。
他にも、直売所でお客さんに喜んでもらおうと「〇〇放題」や「還元キャンペーンイベント」をしたり、藁細工の先生は、教える人が使いやすいよう道具に工夫してくれるなどの配慮をしてくれます。みなさんは、人が喜んでくれることを楽しみに取り組んでいるんです。
そんな、身近にあるものを活かしてワクワクできるクリエイティブさに、遊び心と情熱を感じました。
こつぼねの家には、古民具がたくさんあります。これらはただの展示品ではなく、自分が使うもの、これから使うものたちです。集落の人たちが古民具を見て、昔使った記憶を思い出し、話してくれたり、使い方を教えてくれるのも楽しいですね。
本には載っていないその土地の使い方を話してもらえるなど、生活に活きる学びに出合えます。また、それを生活の中で実践し、自分の知恵や技術として習得していく過程が楽しいです。
火を使った暮らしを楽しめるのも、田舎暮らしの醍醐味です。
田舎で火をつかう生活は、基本的に薪を使います。風呂焚きは毎日薪のボイラー、ご飯も大人数が来たときや、醤油や味噌、染物などの材料や素材を大量に煮込む時も竈門に薪をくべて火で炊きます。
洗濯物を干すときに除湿機を使う時もありますが、基本的には薪ストーブを焚いて乾かしたり、暖をとってお茶も茶釜で沸かす生活です。ほかにも、みんなで鍋や餅焼き、魚焼き(川魚)をする時も囲炉裏で薪を焚いて焼いています。
暮らしの色んなシーンで薪を活用するんです。電気やガスとの違いは、火力などはもちろんですが、その火を囲んでの人と人とのコミュニケーションが生まれやすくなる点がいいところだと思っています。
自給自足や遊び心、古民具、火を使った暮らしなど、自分で創意工夫する昔の暮らしには、ワクワクがいっぱいあるんです。
【編集部からひと言】
田舎暮らしを体感したい
今は、スイッチ一つで火が起こせて、買いに出ればなんでも手に入れられる便利な時代です。しかし、手っ取り早い反面、見えない、知らない「くらし」の知恵も増えてきました。たとえば、薪から火をおこすこともどれだけの手間や時間がかかるか、なかなか想像できません。そんな、昔ながらの暮らしの知恵や技を目の当たりにできるこつぼねの家に、「くらし」を学びに、遊びに、行ってみたくなりました。