彌彦神社が伝えた稲作から
越後平野、豪農の館へ。
「道の駅たがみ」が果たす点と
点を繋ぐ役割
新潟県民にとっては「当たり前」でも全国的に見ると全然当たり前じゃないことってたくさんあるはず! そんな新潟の魅力を、新潟県に縁のある方に聞いてみました。
国道403号線からの景色に
歴史に思いを馳せる
夏のある日、溶けてしまいそうなくらい大きく真っ赤な夕日が、弥彦山の地平線に沈んでいくのが見えました。
国道403号線で新潟市内から田上にはいると、進行方向が少し西向きに変化します。そのとき見えた空と越後平野の黄金、オレンジ、紅のグラデーションの美しさは、力強くありながらやさしい、言葉で言い表すことができないほど美しいものでした。そんな、日常の中にある新潟の文化を内包した景色を見て、「明日またがんばろう」と思えたんです。
その後、2020年に地元田上にもっと深く携わりたいと前職を退職。同年10月にオープンした「やさしい道の駅」が合言葉の道の駅たがみの駅長になりました。
田上町は小さなお子様からお年寄りまで、みんなにやさしく安心して暮らせる福祉の視点を大切にしたまちづくりをしています。
私たち「道の駅たがみ」はサービスや商品を通して、お客様にやさしい気持ちになり、田上を知っていただくきっかけになれれば嬉しいとおもっています。
まず見て欲しいのは、田上町で作られている「いいもの」を集めた直売所です。春はたけのこやスナップエンドウ、夏は梅やもも・ブドウ、秋はお米や里芋・いちじく・さつまいも、冬は大根やごぼう、雪下ネギなど四季折々の農産品が豊富にそろっています。
また、護摩堂山と地域の生き物をモチーフにしたシンボルマークに関連した、かわいいデザインのオリジナル商品も多数ご用意しています。特産品だけじゃなく、田上の人もワクワクするセレクトショップ的な役割をテーマに、日夜考えながら変化する新しい道の駅を目指しています。
彌彦神社に祀られている天香山命(アメノカゴヤマノミコト)は神武天皇の命により、住民に塩や漁、そして稲作などを新潟に広めたという伝説があります。その弥彦山まで続く蒲原平野は、かつて田上町の千町歩地主「田巻家」が地域農業と発展に尽力した場所です。
その地平線まで続く夕焼けの風景の中に、今も当時から続く暮らしがあり、豪農文化と大河信濃川をふくめた新潟の米文化を象徴する景色だと思うと感慨深くなります。
また、田上町にはかつて敵の侵入をいち早く捉えられた護摩堂山もあります。元々、田上町は、縄文時代の遺跡が発掘されるほど古くから人の歴史もあるまちです。
そういった土地の持つ点と点、散らばっていた物語をつないで線にしていくのも、道の駅の役目だと思っています。
道の駅たがみは、人にやさしい場所でありながら、過去から現在へ受け継がれてきた物語をしっかりと伝え、次の世代に受け渡していく。そんな役割も果たしていけたらと思っています。
【編集部からひと言】
田園が続く国道403号線沿いの
景色と歴史
ただ美しい田園風景を見るだけでなく、その土地の持つ歴史を知ることで、歴史と風景が繋がり、更に愛しい土地になるんですね。美味しい特産物の販売だけでなく、田上の歴史や魅力を発信し、次の世代に伝える場所として、これからの道の駅たがみの役割に期待したいと思いました。