佐渡に暮らす人たちをインタビューした書籍を発行しました/佐渡総合高校
新潟の良さって何だろう?
県内各地の高校生がさまざまなやり方でふるさとの素晴らしさを発信する活動をしています。
彼ら、彼女たちの活動を見てみると、いままで気づかなかった魅力に気づかされます。
頑張ってる高校生の活動を、月刊にいがた編集部が取材してきました!
佐渡総合高校の生徒たちが島に暮らす人たちをインタビュー。島を支えるさまざまな仕事や人を紹介した書籍『佐渡に暮らす私は』を作成しました。この本は一般社団法人みなとラボからの提案をきっかけに作られ、キャリア教育「産業社会と人間」という授業の中で取り組むことになりました。
本を開いてみると、目に入るのはいきいきとした笑顔の人々。佐渡に暮らす人たちの日常が1000字以上の親しみある文章とともに紹介されています。
ここに載っている人たちの多くは彼らの両親や祖父母などの身近な人たちで、その表情は素朴で自然体。子や孫である彼らだからこそ引き出せた瞬間です。掲載されている大人たちの数は実に計96人。
そんな96の物語のなかから、ユニークな文体が目を引く平くんと水野くんにお話を聞いてみました!
漁師の祖父を佐渡弁の話口調で紹介
漁師兼加工業を営む祖父を紹介した平くん。文章は「おるっちゃ」や「だっちゃ」、「わーはっはっはー」など佐渡の方言や豪快な笑い声を交えた祖父の話口調で書かれています。
インタビューと撮影のために2度漁についていき、祖父の経歴や苦労話など初めて聞くことも多かったそう。
普段はおおらかでよく笑う祖父が、思い入れのある上司のエピソードを話していた時に見せた涙にはとても驚いたといいます。
「ついでに漁も手伝わされちゃいました。その日はタコかごを使ったタコ漁で引き上げの作業をしたんですけど、タコより魚の方が引っかかっていましたね」と何ともほほえましい裏話も。祖父は昔から変わらず忙しくしているようで「漁だけはなくて、獲れた魚をみりん干しやイカの塩辛などの加工食品にもしています」と尊敬のまなざしで語ってくれました。
完成した本を見せたときには「よくできてるじゃないか」と褒められたそうです。
祖母を紹介したら家族やご近所さんも笑顔に
美容室を営む祖母を紹介した水野くん。文の冒頭は祖母の自己紹介から始まり、佐渡で働くことになったきっかけや経営についての心得などが語られています。若かりし頃の努力や後悔もつづられ、水野くんにとっては知られざる過去でした。終盤には佐渡に住む中高生に向けたアドバイスが添えられています。
初めは2000字にも及ぶ文章量になり、カットした部分も多々あるそう。写真に映るのは美容室の前に立つ祖母の姿。「実はこの写真、何に使われるか教えないまま寝起きのおばあちゃんを撮影したので、本が出てから怒られちゃいました(笑)インタビューではボイスレコーダーを用意したけど、佐渡弁がすごすぎてちょっと分かりませんでした…」と孫ならではの撮影秘話を教えてくれました。
完成した本を手に取った祖母は喜び、家族やご近所さんに紹介してご満悦の様子だったそう。
改めて佐渡の仕事を再発見
平くんも水野くんも「意外と佐渡には仕事が多いことに気づきました」と話します。
平くんは「自動車整備士を目指していて、卒業後は県外への進学を考えています。親からは、家族はまだまだ元気だから外(島外)におってもいいよと背中を押されています。一度は島から出て学業や仕事を頑張りたいですが、いずれは佐渡で働きたいです」と熱く語ってくれました。
水野くんは「僕は芸能人になりたくて、憧れの仮面ライダー俳優を目指しています。おばあちゃんの言う通り、しっかりとした目的を持って進んでいきたいです」と笑います。
佐渡の仕事に対して農業と漁業のイメージが強かったという二人は、この機会に島内のさまざまな仕事と職業人を知ることができました。
二人の夢は佐渡の海と空のように果てしなく広がっていくのでした。
【月刊にいがたレポ】
二人が気づいたことは「佐渡で働く」ことの大切さ、だったようです。「観光の島」として語られる佐渡ですけど、そこにも人が暮らし、さまざまな仕事に従事している人がいて、そんな人たちに支えられて、自分たちは暮らしていけるということ。
将来の具体的な夢は違うけど、二人は、仕事というものに対しての意欲が高まったようでした。