まちあるきの達人・野内隆裕さんに聞く
『みなとまち・砂の町』新潟
~コメジルシくんが聞く!新潟の魅力vol.1~
『コメジルシくんが聞く!新潟の魅力』では、魅力いっぱいの新潟県のいいところをみんなにもっと知ってもらうため、コメジルシくんが『達人』に新潟の魅力を教わっていきます!
今回の達人は、まちあるきグループ『路地連(ろじれん)新潟』代表の野内隆裕さん。野内さんはNHK『ブラタモリ』で案内人を務めたこともある、まちあるきのスペシャリスト。そんな野内さんに新潟のまちのすてきなところを教えていただきました。
『砂の町』 新潟
「新潟は、信濃川の河口に栄えた『みなとまち』でもあり、この大河が運んできた土砂で出来た『砂の町』なんだよ」
そう言って野内さんが最初に案内してくれたのは、新潟市中央区の信濃川河口付近。対岸に佐渡汽船の発着場を臨むこのロケーションを見れば、たしかに『みなとまち』だというのはよくわかります。でも、『砂の町』って?周りはアスファルトで舗装された地面ばかりのようですが…。
「ここから海へ向かって歩くと坂道になっているんだけれど、この地形、大河が運んできた土砂が、海へ運ばれ、波で押し戻され、風で積み上げられた『新潟砂丘』なんだ。その長さは何と約70キロ!日本最大級の砂丘なんだよ」
なるほど、地形図を見ると上部の日本海に向かうにつれて海抜が高くなっているのがよくわかります。海岸沿いに広大な砂丘が広がっているんですね。
「そんな新潟の地形や、歴史を楽しく学ぶなら、新潟市歴史博物館『みなとぴあ』がオススメだよ」
新潟市歴史博物館『みなとぴあ』では、川と海が造った砂丘などの新潟の地形を、地形模型や実物写真、映像などさまざまな形で展示しています。新潟のダイナミックな地形の成り立ちを詳しく知りたい方は、ぜひ訪れてみて。
歴史の残るみなとまち
次に野内さんが手に取ったのは、一枚の古い絵図。船や港が描かれているようです。
「この絵は、明治の初め、開港場(かいこうじょう)になった新潟の名所が描かれているんだよ。実はこの中に描かれたモノがまだ残っているんだけれど、それがこちら!明治2年(1869年)に建設された、旧新潟税関庁舎だよ」
たしかに絵の中の建物と現在の旧新潟税関庁舎はそっくり。開港場・新潟のシンボルだった建物が残っているんですね。
かつて海を臨んだ「日和山」
『みなとぴあ』や旧新潟税関庁舎から少し海側へ移動すると、住宅街の一角に小さな山が見えてきました。
「ここは、日和山。江戸時代、みなとの天候や、風向き等をみていた場所だよ」
十数段の階段を上って『登頂』し、そう説明してくれる野内さん。手に持ったフリップには、かつての日和山の姿が描かれています。
「昔はここから、河口のみなとや、新潟町のまちなみ、弥彦山や角田山、日本海に浮かぶ佐渡もみえていたそうで、江戸時代の絵にも描かれている観光名所でもあったんだよ」
住宅街に囲まれた静かな日和山。『砂の町』ならではの地形の変化で海岸線が遠ざかり、現在では周りを見渡しても海を臨むことはできません。けれど、実際にそこに立って野内さんのお話を聞いていると、景観地だったという当時のにぎわいが目に浮かぶようです。
「日和山と呼ばれる場所は、全国に80ヶ所以上あるのだけれど、ここもその一つ。現在もその名残として『方角石』もあるし、日和山の歴史を学べる『案内板』もあるよ。ぜひ登ってみてね」
実は、全国の『日和山』の中でも、地形の変化で海が見えなくなったところはここだけなんだとか。まちなかの何気ないところに、“日本で唯一”の魅力が隠されているなんて驚きです。
新潟のまちを歩こう!
野内さんが最後に連れて行ってくれたのは日和山海岸に立つ日和山展望台。みなとまち新潟と日本海を一望することができます。
「コメジルシくん、砂の町、北前船の寄港地、開港場の『みなとまち新潟』はいかがだったかな?今日のコースは、新潟市発行『新潟下町あるき地図』にも載っているよ。『みなとぴあ』で手に入るので、これを片手にぜひ新潟のまちを歩いてみて下さい」
野内さんのご案内に、コメジルシくんも大満足!教えてもらった新潟のすてきなところを早速Instagram(@komepro_niigata)でも投稿したようです。
『コメジルシくんが聞く!新潟の魅力』では、これからも月に一回コメジルシくんが『達人』に魅力を聞いていきます。来月もぜひご覧ください。
※この記事の内容は、新潟県広報番組『週刊 県政ナビ』のテレビ放送およびその動画配信でもご覧いただけます。
【週刊 県政ナビ】2020年7月19日放送