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コラム2021.03.14

夕日色のいちご!? 『越後姫』の達人が語る、雪国にいがたの春の宝物 ~コメジルシくんが聞く!新潟の魅力 vol.8~

各地の『達人』に新潟のすてきなところを教えてもらう企画『コメジルシくんが聞く!新潟の魅力』。誰かに伝えたくなる新潟の魅力を探して、コメジルシくんが県内をめぐります。

今回のテーマは、春の宝石・いちご!いちごと言えば、『あまおう』『とちおとめ』『紅ほっぺ』…と日本全国に数多く種類がありますが、新潟の人なら『越後姫』を思い浮かべる方も多いはず。甘くて大粒の越後姫は、新潟のいちごの定番中の定番。でも実は輸送の難しさからこれまで新潟県外ではあまり流通しておらず、幻のいちごとも呼ばれているんだそうです。そんな越後姫のひみつを、いちご農家・本間正司さんと洋菓子店オーナーシェフ・大竹直樹さんに教えていただきました!

本間 正司(ほんま しょうじ)
新発田市紫雲寺地区で新潟県産ブランドいちご『越後姫』のほか、露地野菜などを生産。越後姫の高設栽培などの技術を試行・導入し、施設いちご経営のモデルを確立した『越後姫の育ての親』。2019年大日本農会『緑白綬有功賞』受賞、2020年新潟県『農の匠』受賞。

大竹 直樹(おおたけ なおき)
新発田市内の洋菓子店『PATELIN(パトラン)』のオーナーシェフ。お店では、『旬を大切にすること』をモットーに創作スイーツを提供。季節の食材を使い、手作りにこだわり、丁寧な仕事を心がけている。目指すのは、素材の持つ優しい風味を最大限に引き出した菓子作り。
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甘い香りが広がる、越後姫の温室

早春の晴れた日、達人・本間さんが管理している新発田市内の温室を訪れました。足を踏み入れた途端、越後姫のふわっと甘い香りに包まれます。

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「今日はご苦労さん。今、いちごを収穫しているところだよ。どう?きれいでしょ?このかわいらしい姿の越後姫、形も良くておいしいんだよ」

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気さくに迎えてくれた本間さん。なんと40年近くいちごの生産に携わっているのだそうです。

「越後姫は、今から25年前に我々が試作して作った品種なんだよ。香りが良くて、実が柔らかくジューシーで、そして大粒になるんだ」

子どもたちにおいしいいちごを食べさせたくて栽培を始めた、という越後姫。なんといっても甘くて香りが良いのが特長です。本間さん自身も初めて匂いをかいだとき、桃のような香りだと思ったのだとか。

美しい夕日のようなオレンジ色のいちご

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「このオレンジに近い赤が、一番おいしいんだよ」

そう言って本間さんが見せてくれたつやつやの越後姫。なるほど確かに他の種類のいちごと比べると、真っ赤というよりはオレンジがかった赤色に見えるような…。「日本海に沈む夕日の色みたいでしょ」と、本間さんは笑います。「サッカーのアルビレックス新潟と同じで、新潟の美しい夕日を表すオレンジなんだよ」

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越後姫には、雪国・新潟ならではのおいしさのひみつもあると言います。

「花が咲いたあと、(ほかのいちごは50日程だが)越後姫は60日くらいかけて実が熟すんだ。冬に晴れの少ない新潟で、じっくり時間をかけて熟成するから大変おいしくなるんだよ。どう?食べてみる?」

本間さんに摘みたての越後姫をもらったコメジルシくん、早速食べてみて「甘い!」と喜んでいます。

「このままでもおいしいけど、スイーツにもとっても合うんだ。いろんな工夫でみなさん味わってみてください」

越後姫のスイーツ!それはぜひとも見てみたい!ということで早速、越後姫の良さを活かしたスイーツを販売するお店に向かいました。

心ときめく!甘い香りの越後姫のスイーツ

やってきたのは、新発田市内の洋菓子店『PATELIN(パトラン)』。オーナーシェフの大竹直樹さんにお話を聞きました。

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「いらっしゃいコメジルシくん。これは、越後姫を使ったミルフィーユだよ」

お店で扱ういちごはすべて越後姫だという大竹さん。店内ではミルフィーユのほかにも越後姫のスイーツがたくさん作られていました。越後姫を選ぶ理由は、どんなところにあるんでしょうか。

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タルトフレーズ

「越後姫の最大の魅力は、僕は香りだと思います。(ケーキを)お買い上げいただいて箱に入れて持ち帰って、ご自宅で箱を開けた時に、箱の中から越後姫のすごい良い香りがします。もう、食べる前からわくわくすると思うんですよね」

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いちごのパリブレスト

「断面も真っ白、真っ赤じゃなくて、グラデーションがあります。色も朱色がかってきれいなので、ぼくは越後姫を使うときは、まるのまんま、いちごを活かす構成に作りますね」

まるごとの越後姫がふんだんに使われたスイーツは、とてもきれいで心ときめきます!なるほど、達人・本間さんも言っていた越後姫の夕日色は、スイーツを作るときにも活かされているんですね。

新潟が誇るいちご、越後姫

「それに、越後姫はやわらかくて酸味がやさしいんです。日差しの少ない冬を耐えて、甘くなる。なんだか、そういうところが新潟県民の人柄みたいですよね」

東京から故郷の新発田に戻って菓子店を継いだという大竹さん。お店の名前『PATELIN』はフランス語で『田舎』や『故郷』を意味するのだとか。越後姫を語る言葉の端々からも、地域への思いが伝わってきます。

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「越後姫は大好きないちごです。日本のブランドいちごのひとつとして、県外のお菓子屋さんが新潟の越後姫をうらやむくらいのいちごになってほしいなと思っています」

新潟生まれのいちご、越後姫。日本海に沈む夕日のようなオレンジ色なところも、日差しの少ない雪国の冬をじっと耐えて甘くなるところも、なんだか新潟らしいような気がしますね。これまでは、実がやわらかく輸送が難しいとされてきましたが、最近は専用のパッケージを使った長距離輸送もできるようになってきたそうです。新潟で愛される春の宝物・越後姫が、いつか日本中・世界中で評判になるよう、みんなにこの魅力を伝えていきたいですね!

ふだん何気なく食べていた越後姫にこんなひみつがあると知ったコメジルシくん、早速、撮った写真をInstagram(@komepro_niigata)で投稿していました。

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取材後、PATELINのスタッフのみなさんと一緒に。

『コメジルシくんが聞く!新潟の魅力』は、新潟県広報番組『週刊 県政ナビ』のテレビ放送およびその動画配信でもご覧いただけます。