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科学にアート、エンジニアリングも!
新潟県のSTEAM教育体験ガイド

2024.11.7

子育てをしていて、どうしても避けて通れないのがこどもの「教育」の問題。何を学ばせるのか、いろいろな情報があふれる中で頭を悩ませている保護者も多いはずです。ここでは、近年注目を集めている「STEAM教育」を取り上げます。問題解決能力や実践的思考を育むという「STEAM教育」とは? 新潟でももちろん学べるんです。

21世紀の技術革新やグローバル化などを背景に、1990年代にアメリカで誕生した「STEAM教育」。もともとは科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)に重点を置いた「STEM教育」として生まれましたが、のちに芸術(Arts)の重要性が認識され、2010年代に「STEAM教育」へと進化。今では世界中の教育カリキュラムに取り入れられている、新しいプログラムです。

幼児期には簡単な科学実験や工作、遊びを通じて好奇心を育み、小学校からはプログラミングやロボット工作などより具体的な内容に取り組むことで学びの基礎をつくります。中学校以降では、科学実験、エンジニアリングプロジェクト、デジタルアートの制作など、より複雑で創造的な学びに取り組み、こどもたちの問題解決能力や実践的思考を育みます。

日本では2020年から小学校におけるプログラミング教育が必修化されるなど普及に向けた取り組みが進んでいます。とはいえ、比較的STEAM教育を受けられる機会が多い都市圏に比べ、地方ではまだ取り組みが限定的なケースが多いのも事実。しかし、実は新潟県では、県内の学校でSTEAM教育を取り入れているほか、公共機関や民間の施設でもSTEAM教育につながる取り組みを体験できる機会が増えてきています。

公立学校の取り組みも多い、
新潟県のSTEAM教育

2021年2月に新潟県が公開した〈新潟県版GIGAスクール構想〉では、新潟県内の公立学校において1人1台の学習用タブレット端末を導入するほか、それらを活用してSTEAM教育を推進することが明記されています。

また、2020年からは県内の小学校、2021年には中学校、2022年には高等学校でプログラミング教育が必修化。新潟県出雲崎町と新潟大学が連携し、大学院生が中高生に対して多角的な視点から講義を行う〈トリトンプロジェクト〉、高性能PC・プロジェクターなどの情報機器を備えた燕中学校のパソコン室〈つばくろ-Lab.〉など、自治体による取り組みも積極的に展開されています。

ここまで紹介した例は公立学校のプログラムなどですが、STEAM教育につながる取り組みをこどもから大人まで体験できる施設やイベントも多くあります。

幼児から楽しめる展示や企画が盛りだくさん!
〈新潟県立自然科学館〉

〈新潟県立自然科学館〉のアトラクション型展示〈SCALE ADVENTURE〉
3階「自然の科学」エリアの展示〈SCALE ADVENTURE〉。クイズに挑戦しながら、物の計測(スケール)基準「時間」「大きさ」「距離」を学べるアトラクション型の展示です。(写真提供:新潟県立自然科学館)

科学の世界を楽しみながら探索できる大型総合科学館〈新潟県立自然科学館〉。

県内最大級のプラネタリウムを備え、全3フロア+屋上の広大なスペースに「自然の科学」「生活の科学」「不思議な広場」「新潟県の移り変わり」をテーマとした体験型の展示が豊富に揃った“遊びながら学べる”科学館です。

こちらの科学館では、展示のほか、科学実験やプログラミング教室など、STEAM教育に関連するさまざまなイベント・ワークショップを毎月開催しています。

「当館では、展示をはじめ、各イベントも“体験型”であることを大切にしています。毎月のイベントは、感覚を刺激するような体験内容となっているか、能動的に参加してもらえるような楽しい内容になっているかという軸で各担当者が企画しています」と語るのは、新潟県立自然科学館の百崎さん。

小学生以上が対象のイベントが多いものの、「小さなお子さんや大人の方も楽しめるように」との思いで企画されたイベントも。毎週日曜日の10時半からの回と、月に1度平日にも開催時間が設けられている「パパ・ママ プラネタリウム」は、こどもが泣いてもおしゃべりしてもOK、授乳やおむつ交換のため途中退席・再入場も可能という小さなお子さん連れにうれしいイベントです。

少し館内が明るい「パパ・ママ プラネタリウム」開催時の様子
「パパ・ママ プラネタリウム」開催中の様子。通常の投映時よりも少し明るい照明で見られるので、暗いところを怖がるこどもも楽しめます。(写真提供:新潟県立自然科学館)

また、幼児向けに科学絵本の読み聞かせと遊びを提供する企画も試験的に始まっているとのこと。2階の「不思議な広場」には知育玩具も揃い、こちらも小さなお子さんに人気のエリアとなっており、幼児から大人まで楽しめる仕掛けが満載です。

単発のイベント以外にも、年間プログラムである〈科学館サイエンススクール〉も毎年開講しています。「仮説・実験・検証」という科学的な考え方を身につけることを目的に、小学4~6年生対象の本格的な実験科学教室を全6回実施。参加者からは、「楽しく理科を学ぶようになった。興味を持ち、ネットで調べるようになった」「予想を立ててから物事に取り組み、結果について考察するようになった」などの感想が寄せられており、こどもの興味の芽を育てるうれしい存在となっているようです。

〈新潟県立自然科学館〉の展示「親子恐竜 マイアサウラ劇場」
2階「自然の科学」エリアの展示「親子恐竜 マイアサウラ劇場」。子育てをしていたと考えられている恐竜マイアサウラを中心に、恐竜が生きていた頃の様子を物語で紹介する展示です。(写真提供:新潟県立自然科学館)

イベントは、予約不要なものもあれば、オンラインや電話で予約してから参加するものも。詳細は公式サイトのイベントページからチェックしましょう。また、下越・中越を中心に県内の各小学校、幼稚園、こども園、公民館などの文化施設にイベントガイドも配布されています。

人気のイベントは情報公開後すぐに満員になってしまうこともあるそう。情報は開催前月にサイトで告知されるので、早めのチェックがおすすめです!

Information

新潟県立自然科学館

address:新潟県新潟市中央区女池南3-1-1
tel:025-283-3331
access:新潟中央ICから車で約6分、JR新潟駅から新潟交通バスで約20分
開館時間:9:30~16:30、土・日・祝日・夏期* 9:30~17:00
*夏期の期間はサイトにてご確認ください
※入館および入館券の購入は閉館30分前まで
休館日:火曜(祝日または振替休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
入館料:大人580円、小中学生100円(平日無料*)、未就学児無料
*8月は除外する日があるのでサイトにてご確認ください
web:新潟県立自然科学館

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自ら体験できる


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