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言葉の力で子どもの可能性を引き出す!
新潟市にある日本最古の保育園
〈赤沢保育園〉の、子どもたちの伸ばし方

2023.12.25

新潟市内に、“日本最古の保育園”があることを知っていましたか? 
それが、130年以上地域の子どもたちの成長を見守り、これまで1万人以上の園児を送り出してきた〈赤沢保育園〉です。
園の大きな特徴のひとつが、園出身の保育士が多いこと。現在、6人の卒園児が保育士として働いています。長い歴史のなかで、どんな思いを大事にして子どもたちに向き合ってきたのか。また、どんな子どもたちが育つのか。〈赤沢保育園〉の魅力に迫ります。

地域とのつながりから生まれた開放的な園舎

新潟駅から車で約10分。閑静な住宅街にある〈赤沢保育園〉は、日本最古の保育園として1890年に誕生しました。

〈赤沢保育園〉の外観
大きい窓から子どもたちの様子が見える〈赤沢保育園〉。2020年に新しい園舎が誕生しました。

創業者は赤澤鍾美(あかざわあつとみ)さん。現在、理事長を務める赤澤泰子さんの曽祖父にあたる方です。戦後の貧しかった当時、小学校教諭だった鍾美さんは子どもたちの勉強を助けたいと私塾を開設しました。すると、小学生の子どもたちの多くは小さな妹、弟たちを連れてやってきました。未就学児の彼らを保育する場がないことに気づいたことで、自然発生的に〈赤沢保育園〉が誕生したといいます。

「〈赤沢保育園〉の原点は、法人名の『守孤扶独(しゅこふどく)幼稚児保護会』という名前に込められています。孤児を守って、ひとり親を助ける。時代背景は変わりましたが、働く保護者のみなさんが安心して仕事に向かえるように保育を担うことが、私たちの役割だと考えています」(赤澤さん)

〈赤沢保育園〉理事長・赤澤泰子さん
理事長の赤澤泰子さん。

保育園が建つのは、かつては子どもが多かったという下町エリア。最近は子どもの数が減ってしまい、近所の人は子どもたちの元気な声が聞こえる〈赤沢保育園〉の存在を歓迎しているといいます。

「園舎建て替えの際にしばらく別の場所で運営していたのですが、近所の方たちは寂しがってくれて。ありがたいことですよね」(赤澤さん)

現在、〈赤沢保育園〉には0~6歳まで、85人の園児が新潟市内から通っています。3年前に改修した園舎は、木のあたたかさを感じる開放感のある空間。広々とした玄関では、毎朝晩、送り迎えに来る保護者と保育士との会話が弾みます。

〈赤沢保育園〉の玄関
陽が入る明るい玄関。一部が可動式になっていて、靴を脱いだあと子どもたちが移動しやすくなっています。

園長の小林恵さんは、園舎の設計には地域とのつながりや、保育士全員の思いが詰まっていると話します。

「設計を担当したのは、新潟大学工学部出身の建築家です。〈赤沢保育園〉と新潟大学工学部は古くから関係があり、“赤沢保育園の土地を活用した理想の保育園設計を考える”というワークショップの課題に、代々学生たちが向き合ってきたんです。園舎の改修では、建築家さんと何度も意見を交わし、こだわりの詰まった今の園舎が生まれました」(小林さん)

園長・小林恵さん
園長の小林恵さん。

窓の大きなつくりは、「送り迎えに来る保護者の方や、近所のみなさんからも子どもたちの元気な様子が見られるように」と考えられた設計です。

室内の大きな窓の前に座っている園児たち
散歩中の犬も立ち止まって、窓越しにしっぽをふったりするそう。

また、0~1歳児が給食を食べる部屋と調理場をつなげ、調理師と保育士の会話がとりやすいような動線にこだわりました。

「0~1歳児はとくに、ひとりひとりの成長に合わせて給食の内容が細かく分かれており、食物アレルギーもそれぞれです。『〇〇くんの食事は、今週から普通食になりましたよ』など、必ず口にして確認し、ミスなく安全に配膳していく。そのために、調理師との距離の近さは欠かせない要素だと考えています」(小林さん)

調理師さんが給食を手渡している様子
調理師から担任に、直接給食を受け渡してもらいます。
給食を大きな口で頬張る園児たち
食事内容のチェックは正確に。ごま油など目に見えない原料にも細心の注意を払っています。

木のぬくもりがあふれる園舎を、子どもたちははだしで自由に動き回っています。あたたかみを感じる木材を使っているのは、〈赤沢保育園〉が“はだし保育”を大事にしているから。足の裏に直接刺激を与えることで、運動機能や頭脳の発達を高める効果が期待できるのだといいます。

「土踏まずをつくり、身体をしっかり支えられる足腰を鍛えています。また、はだしで過ごしていると、足の裏から得られる情報の多さに気づかされますよね。『今日は床がジメジメしているな』『ガサガサしているから少し汚れているのかな』など、日々の小さな変化を足の裏から感じ取り、豊かな感覚を養ってほしいと思っています」(小林さん)

園の室内で走り回る園児たち
木の床の心地よさを感じながら、子どもたちは1年中はだしで過ごします。
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