言葉の力で子どもの可能性を引き出す!
新潟市にある日本最古の保育園
〈赤沢保育園〉の、子どもたちの伸ばし方 | Page 2
目次
かるた遊びを通じて、
正しい日本語を学んでいく
園内を見ていると、子どもたちの名前がすべて「漢字」のまま表記されていることに気づきます。名札もすべて、漢字の本名。ここに〈赤沢保育園〉ならではの子育ての方針があります。
「園の特徴のひとつに、『漢字かるた』遊びがあります。かるたに書かれているのは漢字を含めたことわざ。『石の上にも三年』『二兎を追ふ者は一兎をも得ず』などと先生が読み上げると、子どもたちは驚くようなスピードで取っていきます。子どもたちにとって、漢字は、具体的な意味や内容を表す“絵”に近いもの。目で理解する機会を増やし、言葉を楽しく学んでほしいと思っています」(赤澤さん)
この教育方針のベースにあるのは、教育学博士の石井勲氏が提唱した「石井式漢字教育法」。「幼児期の言語教育が、人の能力を大きく飛躍させるカギとなる」という石井氏の信念に感銘を受けた先代が、〈赤沢保育園〉でも取り入れるようになったといいます。
「漢字の読み書きを“勉強する”ということではなく、遊びのなかで、目に触れて、自然に日本語を覚えていってほしい。それが、かるた遊びを大事にしている理由です。
かるたで覚えたことわざを、子どもたちが普段の生活のなかで『今のが、○○っていうことだよね!』と突然口にすることもあり、彼らの吸収力にこちらが驚かされます。卒園生からは、『国語や読み書きが得意になった』『漢字が好きになりました』という言葉ももらうので、続けていることに意味があるんだなと感じています」(小林さん)
かるた遊びの前には、「腰骨を立てます」と、みんなで背筋を伸ばして目をつむり、心を静める時間をつくります。ほんの数秒の短い時間ですが、この時間をつくることで、話を聞くときには自然に静かになり耳を傾ける姿勢が身につくのだそう。
「見学に来た保護者の方からは、『こんなに小さな子どもでも、椅子に座って話を聞けるんですね』と驚かれることもあります。かるた遊びを通して日本語の知識が増え、言葉を理解する力も高まるので、自然と、子どもたちが保育士の話をよく聞くようになっています」(小林さん)