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事業所内保育園があるから
安心して仕事に向き合える!
〈ナミックス〉が目指す子育て支援の姿

2024.9.17

事業所内保育園をつくった社長の思い

1946年に、塗料メーカーとして創業した〈ナミックス株式会社〉。社会ニーズの変化とともに事業転換を重ね、現在はエレクトロケミカル材料の研究、開発、製造を手がけています。グローバル展開に注力し、売上の海外比率は80%超。「創造と革新で未来を切り拓く」という企業理念のもと、新潟から世界市場への挑戦を続けています。

アメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国へとマーケット対象を広げてきた一方で、社員728人(2024年3月末時点)の働く環境改善や、子育てとの両立を叶える制度を充実させてきました。2016年には社員のこどもと地域のこどもをともに預かる事業所内保育園〈アミック〉を開園。自ら旗振り役となり開園を実現させた、代表取締役社長の小田嶋壽信(おだじまとしのぶ)さんに話をうかがいました。

保育園〈アミック〉の外観と園バス
園の名前の“amic(アミック)”は、「ともだち」を意味する“ami” “amigo” “amicus”などが語源。(写真提供:アミック)

ナミックス本社から4キロほどの場所にある〈えびがせ保育園アミック〉。明るく開放感のあるエントランスから、広々とした園庭、ボルダリングやネット遊具で遊べる室内ホール、落ち着いて過ごせる図書スペースまで、こどもたちが思い思いに遊びまわれる空間が広がっています。

現在通園している103人の園児のうち、55人はナミックス社員のこどもたち。2016年の開園当初は4人だったところから、年々利用者が増えていったのだそう。2歳以上のこどもは、社員であるお母さんやお父さんと一緒に本社に出社し、そこからバスで保育園に通園します。そうした事業所内保育園ならでは利便性の高さも、入園希望者が増えていった理由のひとつなのでしょう。

〈ナミックス〉本社にある園児室で過ごすこどもたち
出社してから保育園へ移動するまで、本社の一角にある園児室で過ごすこどもたち。
園バスに乗り込む園児たち
運転手さんに朝の挨拶をしてから園バスに乗り込みます。

自身も3児の父である小田嶋社長は、事業所内保育園づくりの構想を2005年頃から持っていたといいます。

「働く子育て世代の社員に、もっとやさしい会社をつくろう。そう思うようになったのは、出産や育児を機に退職する女性社員が少なからずいたことがきっかけでした。今後、働く女性がどんどん増えていくなかで、育児との両立が続けられない職場環境のままでは、大切な人材を守ることができません。そこで考えたのが、事業所内保育園をつくることでした」

当初は会社の一角に保育園をつくるイメージだったそうですが、「それではこどもたちがのびのびと活動できる十分な広さを確保することはできない」と、最適な場所探しをスタート。新潟市東区に延べ面積約5000平方メートルの土地を見つけたことで、2013年頃から開園に向けた具体的な準備を進めていくことになりました。

「せっかく会社の外に広い園ができるのだからと、地域のみなさんにも開放することを決め、初年度は社員のこども4人、地域のこども18人を預かりました。ナミックスは海外売上が8割以上で、地域にビジネス還元ができていません。この地で間もなく80年という長い間会社をやらせてもらってきた地域に対して、保育園をつくることは、目に見えるかたちで貢献できるとてもいい機会だと考えました」

インタビュー中の〈ナミックス〉小田嶋壽信社長
数年前まで園長も兼任していた小田嶋社長。こどもたちからも“しゃちょうさん”として知られています。

「アミックでは、エレクトロニクスに携わる当社ならではの強みを生かし、電子錠や防犯カメラの設置、乳児睡眠センサーの導入、登降園のタブレット管理などIT化を進めてきました。何よりも、働く保護者のみなさんの負担をできるだけ軽くしようと、おむつやお昼寝マット・布団は園で準備し、通園時の荷物を減らす工夫を続けています」

保育園に預ける際の負担感は、小田嶋社長が自身のこどもの送り迎えで感じていたことだといいます。

「おむつに名前を書いて園に持って行って補充したり、布団を持って帰って洗濯したりといった手間が、会社への通勤・退勤途中でかかるのは大変です。少なくともうちの園ではなくそうと、おむつを使い放題にするサービスを開園当初から導入しました」

さらにアミックでは、こどもの興味関心のきっかけになればと、プロの講師を招いて音楽、体育、造形、英語の教室を定期開講しています。

絵の具をつけた手のひらでペインティング中のこどもたち
働く親にとって、こどもたちが保育園でさまざまな体験ができることはとてもありがたいサービス。(写真提供:アミック)

保育園を開園して9年目。こどもたちや子育て世代の社員のためにこれから叶えたい“夢”を聞くと、具体的なアイデアが次々と出てきました。

「夏休みや冬休みなど、小学生以上のこどもの長期休暇中は、どう過ごしてもらおうかと頭を悩ませる保護者の方が多いと思うんです。そこで、本社の一部施設を開放してこどもたち同士が遊んだりごはんを食べたりする時間をつくれたらいいなと考えています。
ほかにも、ひとり親家庭の支援や、中高生に向けた奨学金制度、勉強できる環境も兼ね備えたこども食堂など、構想していることはたくさんあります。ナミックスを定年退職したOB・OGのみなさんに、得意な理系科目を教えてもらえたら、世代を超えた地域のつながりが生まれるだろうな、とかね。やりたいことはまだまだたくさんあるんです」

園児室の窓からカメラをのぞくこどもたち
夕方も園バスで本社へ戻り、園児室で親を待つ子もいれば、保育園でお迎えを待つ子もいます。

「どんなコミュニティも、こどもがいなければ持続していきません。少子高齢化は社会現象のひとつとしてやむを得ないことではありますが、自分たちの周りでは、少しでも少子化に歯止めをかけられるような取り組みをしていきたい。そんな風に動く人が増えていけば、大きくて手に負えない社会問題も、少しずつ改善されていくのではないかと希望を抱いています」

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