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木に囲まれて過ごせる、こどもたちの居場所がたくさん!
新潟県産材が広げた、遊びと学びの選択肢 | Page 3

2024.10.30

木のぬくもりに囲まれて過ごす、
放課後の居場所

新潟市内にはもうひとつ、地域のこどもたちのために木づかい事業を活用してつくられた施設があります。2023年10月にオープンした放課後こども教室〈にごりかわ遊学館(児童館)〉です。
「木のやわらかさのなかで、こどもたちが伸び伸び過ごせる空間を」という思いから、外観にも内観にも贅沢に県産材を活用して建てられました。

〈にごりかわ遊学館(児童館)〉の外観
まるで、大きな木のおうち。やわらかいぬくもりが外観からも伝わってきます。

運営母体は、〈にごりかわこども園〉を運営する〈社会福祉法人新盛会〉。「地域に児童館がない」「放課後の居場所がない」という保護者の声を受けて、理事長の青柳正司(あおやぎまさし)さんが中心となり、新たな環境づくりを進めてきました。

利用の対象となるのは小学1年生~高校3年生。木の香りが広がる館内には、体を思いっきり動かせる「遊戯室(プレイルーム)」や、読書や工作などが楽しめる「多目的ルーム」、宿題など勉強に集中できるスペースが完備されています。
初めて利用するこどもや保護者からは、「いい香り!」「森の中に入ったみたい」と感想をもらうことが多いそうです。

広々として体育館のような雰囲気の遊戯室
天井が高く、思いっきり遊べる「遊戯室」。
壁も床も天井も木材が使われている〈にごりかわ遊学館〉の多目的ルーム
「多目的ルーム」では宿題をする子の姿も。

常駐するスタッフのひとりが、〈にごりかわこども園〉で保育士として働く薄井恵(うすいめぐみ)さんです。こども園のすぐ隣に遊学館があるため、午後になるとこども園から遊学館に移動し、学校終わりのこどもたちを迎えます。

常駐スタッフの薄井恵さん
こども園の卒園生の利用者も多く、「赤ちゃんの頃から見てきたこどもたちと、また一緒に時間を過ごせるのがうれしい」と話す薄井さん。

14時を過ぎると、ランドセルを背負った小学校低学年のこどもたちがやってきます。すぐにボール遊びを始める子、鬼ごっこをして走り回る子、お絵描きに夢中になる子など、思い思いの遊び方で時間を過ごすこどもたち。木のあたたかさが心地いいのか、裸足になる子もたくさんいます。冬は薪ストーブがあるのであたたかく過ごせる館内。床からはやさしいぬくもりが伝わってきます。

高学年のお姉さん、お兄さんたちが授業を終えてやって来ると、学年を飛び越えてすぐに一緒に遊び始めました。

「ひとりっ子が増えているなかで、学年の違うこどもたち同士の交流は貴重な経験になります。小学6年生の男の子の保護者からは『ここで小さい子たちと一緒に遊ぶことで、やさしい気持ちを育ててもらっています』といううれしい言葉をいただきました」(薄井さん)

学年を越えて遊戯室で遊ぶこどもたち
オープンなつくりがこどもたちの自然な交流を生み出しています。

週に1回は、地域在住のレクリエーションインストラクターの宇田強(うだつよし)さんが手づくりの遊具を持って来て、こどもたちと一緒に遊びます。ほかにも、隣のこども園に交流に行って小さなこどもたちと遊ぶ機会もつくっているそう。「次はいつこども園に行くの?」と催促されるほど、大人気のプログラムになったといいます。

宇田強さんお手製のY字ブーメランで遊ぶこども
通称「わくわく先生」が身近なものでつくったゲームや遊具に、こどもたちも興味津々。

開設して約1年。徐々に利用者が増え、「こういう場所を待っていた」「こどもたちが安心して木のぬくもりのなかで過ごせてうれしい」など保護者たちからも評価の声が寄せられています。

「ふるさと新潟木づかい事業」が生んだ、こどもたちのあたたかな居場所。こどもたちは木と触れ合うなかで、木に学び、木の良さを体感して日々成長しています。また、木づかい事業は、県産材を使うことが新潟の森林の活性化につながり、さらに経営者にとっても施設を整えるための金銭的サポートが受けられるという、こどもにも森にも経営者にとってもうれしい事業です。これからも木に囲まれた環境で、大きな木のように成長するこどもたちを見守る、そんなぬくもり溢れる施設が増えていくことを期待したいです。

Information

にごりかわ遊学館

web:にごりかわ遊学館

credit | text:田中瑠子 photo:やまひらく

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