family-series-zutto-003-ec

雪国型ZEHの基準を満たした
木の温もりに包まれた家。
新潟市の子育て世帯向けリノベ住宅

2025.3.31

タイミングよく舞い込んだ空き家の話と
「にいがた安心こむすび住宅推進事業」

子育て世帯の住宅購入を支援するため、新潟県で2024年度から始まった「にいがた安心こむすび住宅推進事業」(2025年度も継続)。県内にある築10年以上の空き家を子育て世帯向けにリノベーションし、販売する事業者に対して最大350万円の補助金を支給するというもの。この制度によって相場よりもお求めやすい価格で市場に住宅が供給されることにつながり、子育て・若者夫婦世帯への間接的な経済支援になります。くわしくはこちらの記事をご覧ください。

2024年度には28軒が「にいがた安心こむすび住宅」として整備が進められています。今回ご紹介するのは新潟駅から2駅の亀田駅から徒歩ですぐ近くという好立地の住宅。交通の便にすぐれているほか、周囲には幼稚園や保育園、大きな公園もあり、お店も多く普段の生活にも便利な場所です。

この住宅のリノベーション・販売を担当したのは、新潟市に拠点を構える〈株式会社風間建築事務所〉。流行に左右されない、本質的でシンプルながらも、住む人に馴染むあたたかさを大切にした建築を掲げています。新築案件がメインでこれまで大きなリノベーションはしてこなかったといいますが、かねてより中古物件のリノベーションに興味があったと代表・風間広大さんは語ります。

「空き家問題の解決に貢献したいという思いもあり、以前からリノベーション事業は非常に興味がある分野でした。今回、県から『にいがた安心こむすび住宅推進事業』のアナウンスがあったタイミングで、運良くこの物件と巡り合えたので、是非ともこの制度を利用したいと思いました」

〈風間建築事務所〉風間広大さん
〈風間建築事務所〉の代表・風間広大さん。

随所に木材の温もりを感じられる家

今回は風間さんと、既にこの住宅を購入し住み始めたSさん夫妻に家を案内してもらいました。

まず外観を見ても、この家が中古住宅というのはわからないほどきれいでスタイリッシュです。外壁の木が特徴的ですが、木材は風間さんのコンセプトを体現する上で重要な建築材だそうです。

「我々〈風間建築事務所〉の物件では、手が触れられる外壁は、可能な限り木で覆うようにしているんです。木は使い込んでいくことによってその家族にしか出せない“味”が生まれます。傷やへこみがあっても、その分だけ愛着も出てきますよね。樹脂やアルミのシートはお手軽ですが、そうした工業製品は何十年か経ったら同じ規格のものが手に入るとは限らない。木は持続可能な家づくりを考える上でも最適な材料です」

梁や柱の木の風合いが特徴的なSさん宅のキッチンとリビングダイニングスペース
以前は壁で囲まれていて独立していたというキッチンスペースを、壁を取り払い、対面式に。
柱に固定された円形テーブル
ダイニングにある柱に固定されたテーブルは、こどもがぶつかっても大きな怪我がないよう円形になっている。

その言葉通り、家の中に入ると、さまざまな場所に木材が使われています。床は全面無垢材。木の温かみが足から自然と伝わってきて、家の中を歩くだけでなんだか心地良くなってきます。ダイニングの中央に設けられた円形のダイニングテーブルや、キッチンの棚や笠木、扉の取手など、家具や内装の仕上げの細かいところにまで多くの木材が使われており、全体として木の温もりが常に感じられます。

リノベーション前のリビングダイニング
リノベーション前のリビング・ダイニング。(写真提供:風間建築事務所)
間仕切りなしの1部屋になっている2階の部屋次のページ|雪国型ZEH(ゼッチ)とは?


次のページへ →

よく読まれている記事

よく読まれている記事