新潟のつかいかた

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普段使っている“道具”は、
どうやってつくられている?
至極の職人技を、燕三条で体験! | Page 2 Posted | 2018/10/26

年間6000人もの見学者が訪れる、
鍛金の音が心地よい〈玉川堂〉

続いてやってきたのは上越新幹線・燕三条駅から車で5分、1816年創業の〈玉川堂〉。気持ちのいい前庭が特徴的な、築100年近いという古民家で、国の登録有形文化財に指定されています。

玉川堂の看板
趣のある玉川堂の入り口。

茶器や酒器、花器など幅広い銅器を製造している玉川堂は、1枚の銅板を鎚(つち)で叩き起こして銅器を制作する、鎚起銅器(ついきどうき)という伝統技術を継承しており、工場内には金属を叩く音が響いています。

玉川堂を代表するやかんが、1枚の銅板からスタートし完成に近づいていく様子
左下の1枚の銅板からスタートし、逆時計回りに完成に近づいていく様子。注ぎ口を溶接しない口打出と呼ばれる技法で、すべて手作業で行われます。

この日は、燕三条 金属の進化と分化展開催中のロンドンから帰ってきたばかりの番頭の山田 立さんが話を聞かせてくれました。話をうかがっている最中にも、どんどん一般のお客さんが入ってきます。

番頭の山田立さん
番頭の山田 立さん。〈第6回 燕三条 工場の祭典〉(2018年)の実行委員長を務めています。

「数十年前から見学はお好きにどうぞと工房を開いてきましたが、去年は1年間で見学者が6000名を超えたんです。6年前が600人だったので、6年で10倍、急激に増えました。5年前に工場の祭典を始めた影響でしょうか。私たちがやっていることは昔から変わっていませんが、ものづくりの現場を見ていただくということをひとつの観光資源にしながら交流人口を増やしていけるといいなと思っています」

〈玉川堂〉の工房での作業風景
あちこちで銅を叩く音が響く工房。現在21人いる職人のうちの7人が女性で、女性らしい感性を取り入れた新しい製品も生まれています。

「オープンファクトリーという動きはお客様に楽しんでいただけるのはもちろん、実は我々のメリットのほうが大きいと思うんです。リクルートだけでなく社内のインナーのブランディングや教育にもつながっていく。自分の仕事を紹介するために積極的に周りの仕事も勉強して、お客様と関わっていくようになりますし、悪いことはひとつもないですね」

工場の祭典ではほぼ1日かけて、職人の指導のもと1枚の銅板から成形していく工程をすべて体験できる、ぐい呑みづくりワークショップを開催しており、毎年応募が殺到する人気イベントとなっています。また、工場の祭典によって地域内はもちろん、産地のエリアを越えた動きもどんどん始まっているそう。古くから伝わる職人技が新しいインスピレーションと出会うことによって、どんな進化を遂げるのでしょうか。

銅を打ち縮める道具、鳥口
当てて叩くことで銅を打ち縮める道具、鳥口。微妙な角度によって使い分けるため、その数は200を超えます。
玉川堂を代表するやかん、〈口打出 打出肌金色 草づる〉
玉川堂を代表するやかん、〈口打出 打出肌金色 草づる〉。左は最近つくられたもので、右が40年近く経っているもの。使えば使うほど触り心地が滑らかになり、反射するようなツヤが生まれています。持ち手の葛のつるは一度も交換していないそう。

Information

【玉川堂】

address:新潟県燕市中央通り2丁目2-21

tel:0256-62-2015

営業時間:8:30〜17:30(日曜、祝日は休業)

工場見学時間:10:00〜、11:00〜、13:00〜、14:00〜、15:10〜

web:無形文化財 鎚起銅器「玉川堂」

〈日野浦刃物工房〉の刃物

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