新潟のつかいかた

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使うとよりわかる、美しさ。
「用の美」の柳宗理デザインを
形にする〈日本洋食器〉 Posted | 2018/12/15

プロが愛する柳宗理デザインのキッチンウェアは、燕市生まれ

柳宗理デザインのステンレスボウル

日本を代表するインダストリアルデザイナー、柳宗理(やなぎそうり)。MoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久所蔵に認定されている代表作の〈バタフライスツール〉をはじめとした、美しく無駄のないデザインが特徴です。その柳宗理デザインによるアイテムで、スツールと並んで有名なのが、キッチンウェア。カトラリーからケトル、フライパン、ボウルといった調理器具まで、キッチンで使用するアイテムの数々がラインナップされています。

そんな柳宗理デザインのキッチンウェアの製造を行っている会社が新潟にあります。美しいデザインを形にする経緯とこだわりをうかがいに、新潟県燕市にある〈日本洋食器〉へ向かいました。

日本洋食器の工場外観
1955年設立の日本洋食器。1972年から稼働している工場で、洋食器の製造や加工を行っています。
日本洋食器の工場内
スプーンひとつとっても11もの工程があり、工場内には各工程専門の機械が並びます。

「日本洋食器の設立当初の1950年代、60年代は、洋食器業界全体が輸出中心の業界でした。アメリカやヨーロッパに輸出していましたが、円高や後進国の追い上げでだんだん低調になっていった流れがあります。ですから国内向けの商品として、プロダクトデザイナーがデザインしたものをつくりたいという想いから、日本洋食器の親会社である佐藤商事が柳宗理先生にデザインを依頼し、商品開発と生産を行いました」と話してくれたのは日本洋食器株式会社 営業部部長の内山 昇さん。

日本洋食器では自社製品の生産に加え、1975年に柳宗理デザインの生産を開始しました。柳さんが考えたイメージを日本洋食器が金型から試作し、できあがったサンプルを柳さんに再度見てもらって修正し、またサンプルをつくる……といった流れを繰り返し、両者納得するまで、細かい部分まで徹底的にこだわり抜く。

もちろん日本洋食器側からこうすればもっと良くなるという提案をすることも多く、パートナーとして二人三脚でものづくりに向き合う姿勢がみて取れます。

ショールーム
アイコン的存在のケトルを筆頭に、鍋やフライパン、ザルにボウルなど、ラインナップは多岐にわたります。
〈つや消しステンレスケトル〉のつや消し作業

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形にする難しさ


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