東京から越後湯沢まで新幹線で約90分。さらに駅から送迎バスで30分走ると南魚沼地区、六日町温泉エリアに。都会からわずか120分で、雪国を感じる古民家ホテル〈ryugon(りゅうごん)〉へと辿り着きます。
今回の旅の目的は、ryugonさんで体験できる「土間クッキング」と「藁細工」をローカルのおじいちゃんおばあちゃんに教えていただくこと。
失われつつある昔のいいものをたっぷりと体験したい。そんな密やかな野望を胸に、ほんまちゃんの南魚沼の旅が始まります。
約1500坪の広大な敷地に建つryugonは、約200年前の館を移築した古民家を、現代風にリノベーションしたホテル。囲炉裏や、雪の重さに耐えられる太い梁が渡る天井など、古き良き時代の雪国ならではのラグジュアリーさを感じられます。
ryugonには、宿泊しなくても、カフェやアクティビティ、日帰り温泉(ラウンジつき)が利用できるプランも用意されています。今回はそんなプログラムの中から初日に土間クッキング、2日目に藁を使った一輪挿しづくりのアクティビティを体験してきました。
悶絶級のおいしさ! 南魚沼産コシヒカリを薪で炊く贅沢
毎冬2メートル以上もの雪が積もる六日町。そんな豪雪地帯で暮らす人々の知恵を感じる料理が体験できる〈土間クッキング〉。
今回は、里山の冬ならではの味覚・保存食を利用した、手の込んだお料理がたっぷりと用意されていました。冬でありながらも春の野山を感じられる山菜を使った、「あけびの蔓のおひたし」や「ふきみそ」などの献立に感激。
地元のお料理名人・関アツ子さんと一緒にかまどで薪を使ってご飯を炊き、汁ものを皆でつくります。薪は火をつけることから始め、パチパチとした音と共に、最高ランクの「一等米」である南魚沼産コシヒカリの香りが広がります。
おー、そろそろご飯が炊きあがる頃。何を隠そうワタクシ、かまどに薪でご飯を炊くのは初めて。ワクワクが止まりません。
汁が完成し、ご飯が炊きあがると本漆のお膳が登場。その上には、昨年摘んだ山菜を乾燥させた保存食のおかずが並びます。それぞれの種類にあわせて下ごしらえ、保存、調理すると信じられないほどおいしくなるそうで、その技と途方もない手間にひたすら尊敬。
まずは絶品の炊きたてご飯を。もぐもぐもぐ、お、おいしいーーー!!! もともとお米ラバーですが、今まで食べたご飯のなかで間違いなく一番のおいしさ。気がつくとご飯3杯をペロリと平らげていました。しかも同じお米が売店で購入できると知り、満面の笑みに。
とにかく南魚沼に来たら絶対に体験したいアクティビティ。後悔はさせません!
藁細工の名人に教わる、世界にひとつだけの一輪挿しづくり
農業と藁細工を生業にしている青木喜義さんとそのお孫さんの青木拓也さんに教えていただくのは、竹と藁とを組み合わせてつくる一輪挿し。
昔は家に必要なものは手づくりしていたそう。藁でつくった籠や飾りは生活に欠かせなかったため、こうした藁細工の文化が発展したのだとか。
短くカットした竹を、特別に栽培された青々としたかたい藁でぐるりと囲んでいきます。隙間なく藁を貼りつけたら縄を使い、特殊な結び方でしっかりと固定。垂直になるように藁をカットします。
最後に竹の板と紐で取っ手部分をつくり、あっという間に完成。独特のほどけない結び方がポイントです。
無言でモクモクと集中する時間、どこにも売っていない自分だけの工芸品。旅の思い出づくりに、前のめりでおすすめです。
里山ならではの、四季を楽しむラグジュアリー
「Less is more(物が少ないほうが、心や人生は豊かになる)」は、今や世界中で知られるようになった考え方。ryugonさんを訪れて感じたのは、まさにこのラグジュアリーさでした。
季節の移り変わり、生活の知恵、人々のやさしさ。知れば知るほど好きになってしまう里山の魅力。別の季節を体験しに、また戻ってきます。
Information
Profile ほんまちゃん
トラベルブロガー・ウェブクリエーター・フォトグラファー
hommania Instagram|@twinsnozomi
旅と偏愛を綴った「hommania」を運営。ほんまツインズの妹で生粋の旅・写真・美味しいもの好き。キャセイパシフィック「香港スタイル」のコラムなどエアラインや政府観光局、旅行会社とのタイアップも多数。