10月3日~6日に開催される「燕三条 工場の祭典」は、燕三条の工場で、制作過程などを目の当たりにできるオープンファクトリーイベントです。参加する工場や事業所は全部で108と多く、エリアも広いため、予習しておかないと1日では周りきれない……なんてことも。
そこで、現地に行く前に〈銀座・新潟情報館 THE NIIGATA〉(以降、THE NIIGATA)で予習してはいかがでしょうか? 2024年8月にオープンしたばかりの〈THE NIIGATA〉の2階では、燕三条を中心としたキッチンツールなどを展示販売しているほか、8階のレストラン〈THE NIIGATA Bit GINZA〉にて、燕三条などでつくられた食器類やカトラリーなどで、新潟の食材を多数使った料理をいただけます。
飲食店から発信。
たくさんの人を幸せにする燕三条の道具
〈THE NIIGATA〉があるのは、銀座四丁目交差点から歩いて3分とかからないすずらん通りに面したビルの中。同じビルの8階には新潟県、燕三条地域の魅力を飲食の切り口から発信しているレストラン〈THE NIIGATA Bit GINZA〉があります。
〈THE NIIGATA Bit GINZA〉を運営する〈Bit〉代表の秋山武士さんは燕市出身。専門学校を卒業し、首都圏にあるホテルで経験を積んだあと、新潟市内に最初のお店を開きました。
秋山さんは、独立にあたって、どんなコンセプトを掲げれば、自分自身が多忙な飲食店経営のモチベーションを維持し続けられるだろうかと自問。その答えが、地元である燕三条を盛り上げること、燕三条の製品や新潟の食をお店で集中的に使ってそのすばらしさを発信することでした。
「僕がそういった仕事をがんばることは、これまでお世話になった家族や学校の先生、先輩たちのいる地元を盛り上げることになります」
日本の多くのホテルや飲食店で、調理器具、カトラリーや食器など、燕三条のプロダクトがたくさん使われています。そのことを秋山さんは修業時代から誇りに思ってきました。そして自分のお店を開くにあたって取り揃えたのが、「装飾品やブランドバッグに匹敵するほど、使うたびに幸福感を味わえる」と信頼を寄せる、燕三条のなかでも飛び抜けた品質を持つプロダクトの数々です。
〈Bit〉は現在20社以上とパートナー関係にあり、さまざまなプロダクトがお店で使われています。カトラリーだけでも何種類も用意され、料理や訪れた人の雰囲気に合わせて使い分け、使い心地のよさが直接伝わるように心がけています。
カトラリーは写真の左から、〈燕振興工業〉がつくる〈SATOMI SUZUKI TOKYO〉の「ヴィーナスライン」のフォークとスプーン、〈YAMAKIN〉の「ノーベルオリジナルカトラリー」フォークとナイフ、〈マルナオ〉と〈山崎金属工業〉のフォーク、〈マルナオ〉と〈TOJIRO〉のナイフ、カトラリーレストにのっている3本は、一流フランスレストラン〈ジョエル・ロブション〉でも使われる〈SAKURAI〉のものと、世界で評価されるものが揃います。
お箸は、先端まで八角に仕上げられて掴みやすく口当たりも良い〈マルナオ〉の〈特上 百年 八角箸 黒檀〉、鎚起(ついき)銅器をつくる〈玉川堂〉の金属製テーブルマットや大きなワインクーラーもテーブルを盛り上げます。
また鍋のままテーブルに出すような料理も、〈snow peak〉のダッチオーブンでは新潟米を炊き、〈UNILLOY〉のホーロー鍋ではアクアパッツァなど、鍋に合わせて提供するメニューを考えています。
飲食を通して燕三条を発信することが基本的な考えなので、「素材や料理から鍋を選ぶのではなく、この鍋でどんな料理をつくろうかと、調理道具ありきで料理を考えています」。まさに燕三条のプロダクトがなければ〈THE NIIGATA Bit GINZA〉の料理はないといった様子です。
一度経験するとわかる、
繰り返し味わいたくなる使い心地のよさ
〈THE NIIGATA Bit GINZA〉で食事をすると、燕三条の技術の塊のようなカトラリー、カップ、トレーなどに触れたり持ってみたりするだけでなく、実際に料理や飲み物を口に運ぶという体験が可能です。
「お客様のなかにはデザインが美しいからと写真を撮るだけでなく、食事を通した全体的な体験がいいと、価値を感じてくださる方もいます。店内で販売もしているので、使い心地が気に入って購入される方もいます。アンテナショップとしての役割を果たせていることは誇らしいことです」
秋山さん自身ももちろん、燕三条のプロダクトをたくさん使っていて、新潟の自宅では「早くから本物に触れてほしい」と幼いお子さんたち用にも燕三条のテーブルウェアを使っています。
「クオリティが高く、耐久性にすぐれていて、しかも毎日使うものです。値段だけ見ると高いと感じますが、使用頻度や使うたびに味わえる幸福感を考えると、価格に見合っているのではないでしょうか」と秋山さんはその価値を語ります。
「車の中で缶コーヒーを飲むときも、〈snow peak〉の〈チタンマグ〉に入れ替えてから飲むと、ちょっといい感じですよ」と、顔をほころばせていました。燕三条のプロダクトは、常に手元に置きたくなる愛用品となるようです。
生活を心地よく支える道具は
2階のショップでも購入可能
〈THE NIIGATA〉では、2階でも燕三条を中心としたプロダクトが展示販売されています。
〈GLOBAL〉のオールステンレス包丁や、〈CONTE〉の〈まかない平ザル〉や〈まかない丸バット〉など、キッチン用品は、使用するときの動作に配慮した形はもちろん、鏡のように磨かれた表面も美しく、調理時間を快適にしてくれます。
生活用品のなかでも〈SUWADA〉の〈つめ切りプチ〉は木製洗濯バサミをモチーフにサイズ感やポイントのカラーも考えられていて、家族や親しい人にプレゼントすると一生ものとして喜んでもらえるかもしれません。
燕三条の製品以外にも関川村の「猫ちぐら」や、出雲崎町の〈磯野紙風船製造所〉がつくる紙製品など、新潟県全域の工芸品も取り扱っています。
美しく、使い心地のいいプロダクトを使用したり、間近で見たりしたら、燕三条まで足を延ばして「工場の祭典」で、つくり手のみなさんと交流してみてはいかがでしょうか? つくる人とのコミュニケーションから、それぞれの暮らしにぴったりなプロダクトが見つかるかもしれません。
Information
営業時間:
1~2F ショップ 10:30~19:30(休業日:1月1日~1月3日) 新潟清酒・THE SAKE Stand 12:00~19:30(休業日:1月1日~1月3日) ※チケット購入は19:00まで
8F レストラン〈THE NIIGATA Bit GINZA〉 ランチ 平日 11:30~14:00 土・日曜・祝日 11:30~15:00 ディナー 18:00~22:00(休業日:月曜、他不定休あり)
B1F 移住相談窓口 10:30~18:30(休業日:火曜、祝日、年末年始)
3F イベントスペース 営業日、営業時間はイベントなどにより異なる
Information
【燕三条 工場の祭典】
会場:新潟県燕市、三条市
開催期間:2024年10月3日(木)~6日(日)
開催時間:9:00〜17:00
※工場によって見学等が可能な日程や時間は異なります。
入場料:無料
※ワークショップは有料の場合があります。
web:燕三条 工場の祭典
credit text:野崎さおり photo:園山友基(マガジンハウス)