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家は箱である。
子どもの成長にあわせて柔軟に対応できる
新潟市角田浜・写真家の家

2024.3.25

海も山もある、「ほどよい田舎」角田浜

新潟市の中心地からは30キロほど離れた角田浜。古い家屋が多く残るこのエリアで、10年前に古民家を購入し、リノベーションして暮らすのが吉沢さん一家です。写真スタジオを経営するフォトグラファーの浩二さん、美容師の麻貴さん、そして6歳のお子さんと秋田犬のコロ助で暮らしています。

かつては新潟市西区に住んでいました。歩いてショッピングモールに行けるような、いわゆる便利な立地。

「当時はアパートに住んでいました。そこもわりと部屋は広かったのですが、僕が34歳のときに大病を患いまして、それが完治したタイミングでがらっと価値観が変わってしまったんです。仕事を中心にするのではなく、いわゆるワーク・ライフ・バランスの“ライフ”を充実させたい。そこでゆっくり過ごせる場所を探し始めました」

吉沢浩二さん、妻の麻貴さん、娘さんがくつろぐリビング
広々としたリビングダイニング。
板張りのリビングスペース
壁や天井の漆喰はそのまま、床は板張りで仕上げた。

広さや周辺環境、そして予算を考えていくと少しずつ遠くへ。ちなみに吉沢夫妻は、角田浜にある人気のワイナリー〈カーブドッチ〉で結婚式をあげています。そんなご縁もあって角田浜エリアを気に入り、土地と家を探し始めたといいます。

「このあたりのほとんどの家の敷地は1反(約300坪=1000平方メートル)。田んぼの単位なんですよね。うちは購入したときは築144年の古民家でした。3年前まで前の家主が住んでいて、そのあとも親族がきれいに手入れされていたので、状態は悪くありませんでした」

ダイニングテーブルに座る吉沢さん一家
友人につくってもらったというダイニングテーブル。

まだリノベーションという言葉がそこまで普及していなかった頃。リノベーション後の姿を想像することは難しかったと思います。それでも新築という選択肢はありませんでした。麻貴さんはこう言います。

「私があまりピカピカの家が好きではなくて。汚してはいけないと神経質になりたくなかったんです。子どもが柱に何かをぶつけたって、もともと傷ついていますし。もしピカピカだと、『やめて〜!』ってなるじゃないですか」

古民家をフルリノベーションし、平屋で広いリビング・ダイニングを確保した間取りは、子育てにもマッチしています。

「リノベーションして、子ども部屋は一応1部屋確保していますが、自分の部屋を持ちたがるのが小学5、6年生から中学生くらいかなと思うので、まだ先だと思っています。今はリビングで絵を描いたり、走り回ったり、自由に過ごしていますね」

広いリビングを走り回る娘さん
壁を抜いたシンプルな構造なので、走り回りやすい。

家具のひとつひとつは大きいものが多いですが、部屋の構造がシンプルで、スペースに余白があるので、走り回ることができます。

「子育てにおいて、走ってはいけない、大声を出してはいけないというのはかわいそうでしかありません。好きなことをやってほしいし、好きに過ごせる空間になっていると思います」と麻貴さん。

「庭も広いんですよ」と続ける浩二さん。
「200坪くらいあって、ちょっとした公園みたいです。なぜか小山があるんですよ。走り転げたりできる。娘も公園に行かないで庭でいいと言いますね」

屋内・屋外にかかわらず、なんでも好きにやっていい、その自由を奪わないことが重要。自分たちがリラックスして過ごせる家づくりは、結果的に子育てにもいい影響を与えることになったようです。

吉沢さん宅の外観
扉は回転扉になっている。両手が埋まっているときは足で開けることも!?
ペレットストーブを設置したリビングの一角次のページ|「箱」であれば、子どもの成長に合わせて変えていける


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