家は箱である。
子どもの成長にあわせて柔軟に対応できる
新潟市角田浜・写真家の家 | Page 3
目次
地域に若者と子どもを増やす
吉沢さん一家が角田浜エリアに移住してきて子どもが増えたことで、地域のお年寄りが元気になったといいます。やはり子どもは地域の宝。子どもがいるだけで不思議とみんなの活力になる。さらに吉沢さん一家がほかにも移住者を呼び込んだことで、効果もより大きくなっています。
「僕たちが移住してから、10組くらい移住してきているんですよ。メディアに取り上げてもらったり、角田浜の暮らしに興味を持ったといって連絡くれる人もいました。それで一度うちに遊びに来てもらうと、みんなこの地域が好きになります」
そのうち5組には子どもがいます。地域に若い血を入れたことに感謝されるそうです。
一度来ると好きになる。角田浜の魅力とはどんなものでしょうか。まず気候面は大きいようです。前述したように、徒歩圏内にワイナリーの〈カーブドッチ〉があります。彼らがこの土地を選んだのは、新潟圏内でもイタリアと気候が似ていて、ブドウの生育にいい環境だから。
「雨の多い日本海側なのに、ここはピンポイントで晴れが多いんです。あと海と山の関係性で雪も積もりにくい。新潟県内でも一番気候のいい場所なんじゃないかなあ」
海も山もあり自然豊か。家の敷地も広くて、「周囲へ迷惑をかけてしまう」「子どもに我慢をさせてしまう」と考える子育て世代にとっても申し分ない環境です。
「僕たちは不便を楽しめるタイプだし、そもそも大して不便と思っていません。不便というスイッチを切ってしまえばいいんだと思っています。新潟市の中心地の人に角田浜に住んでいることを話すと、『コンビニあるの?』『スーパーは?』『草むしり大変じゃない?』などといわれます。それを不便と思うかどうか。
コンビニにはあまり行く必要はないし、好きな音楽を聴きながら草むしりするのは幸せじゃん、って。便利イコール幸せではないと思います」
都心部にある児童施設などより、家のほうが広くてのびのびできる。だから行く必要性もないという浩二さん。そういう意味での「便利さ」とは価値観が違うようです。
価値観を変えれば、都会にない幸せが田舎には山ほどあります。中心地からたった30〜40分走るだけでこの環境が手に入るのは、新潟ならでは。実際に浩二さんは毎日中心部まで車で通勤しています。
「たまに中心地で友だちと食事することもありますが、『こんな遠くまで来てもらっていいの?』と言われます。実際、ぜんぜん遠くない。向こうからは遠く感じるんでしょうね、知らないから。でも来てみるとそんなに遠くないし、道を楽しめばいいじゃんと思う」
自分たちが心地よく、子どもものびのびできる。さらに地域へ活力を与え、地域みんなで子育てしてもらえる。子どもを介した素敵な循環がありました。
credit | text:『にいがたのつかいかた for Family』編集部 photo:今井達也