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「看護休暇」や「子育て休暇」を有給で整備。
子育てとの両立が〈インプレッシヴ〉で働く社員の
豊かな人生を創っていく

2024.11.13

仕事だけに邁進していた自身の後悔が
「社員にとってやさしい会社」づくりにつながった

「IT技術で地域社会に貢献する」という思いで、2006年に新潟市で創業された〈株式会社インプレッシヴ〉。企業の業務システム開発を主軸に、自治体との地理情報システム(GIS)開発の連携などにも力を入れてきました。

インプレッシヴでは、誰もが働きやすい環境づくりのために仕事と子育ての両立を目指すなか、2019年に「くるみん」(「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する制度)に認定されました。さらに、新潟県内で男女ともに働きやすい環境づくりに取り組む企業として、「ハッピー・パートナー企業(新潟県男女共同参画推進企業)」に登録されたほか、男性の育児休業取得に積極的に取り組む企業として「イクメン応援プラス認定企業」にも認定されています。

社内に飾られた「くるみん」や「ハッピー・パートナー企業(新潟県男女共同参画推進企業)」などの認定通知書や登録証の数々

子育てサポートに力を入れてきた背景を、代表取締役社長の佐藤潤一(さとうじゅんいち)さんに聞きました。

2021年から代表取締役社長を務める佐藤潤一さんは、インプレッシヴの3代目社長。エンジニアとしてキャリアを重ね、2015年にインプレッシヴに入社後も、業務システム開発やコンサルティング業務でお客様から信頼を寄せられてきました。創業者である渡辺浩栄(わたなべこうえい)さん(現・代表取締役会長)からバトンを引き継ぎ、「まさか社長を任されるとは、人生何が起こるかわかりません」と大きな笑顔を見せます。

株式会社インプレッシヴ代表取締役社長の佐藤潤一さん

インプレッシヴが子育て支援に力を入れてきた背景には、渡辺会長の強い思いがありました。創業から10年ほど経ったとき、仕事と子育てを両立する女性社員が増えてきたことから、「すべての社員にとってやさしい会社でありたい」と、制度の整備に着手してきたといいます。

「例えば在宅勤務制度は、2018年に生まれました。きっかけは、子育て中の社員が会長(当時は社長)に、『通勤が難しいので退職したい』と相談したことでした。家庭の事情から新潟を離れなくてはならなくなったと聞いた会長は、『だったら家で仕事ができるようにすればいい』と就業規則を変えて、テレワークの選択肢が生まれました」

5人ほどが働くオフィス内
7~8割は在宅勤務ということで、社内にいる人数は少ない。月に1回しか出社しない社員もいて、1日単位で在宅か出社かを選択できるそう。

また、こどもの病気やケガなどで取得できる「看護休暇」は、国が法定休暇として定めた2021年から有給休暇としています。

「制度上は無給でもいいのですが、インフルエンザなど長期で休みが必要になると、有休はすぐになくなってしまいます。安心して休めるように、すべて給料が支払われる休みにしようと早々に決断しました。さらに、国が定める制度は6歳までですが、当社では義務教育が終わる中学卒業まで使えます。こどもがひとりなら年5日間、ふたり以上なら年10日間あり、急な発熱などの対応でも当日申請で、社内のメンバーは嫌な顔せず送り出してくれます。子育てがあるから仕事が続けられない、という会社には絶対にしたくない。そんな会長の思いが、柔軟な制度整備を推し進めてきたんです」

めがねをかけたパンダがモチーフのインプレッシヴのキャラクター人形
インプレッシヴの入り口に飾られていたパンダのぬいぐるみ。実は渡辺会長がモチーフとなったインプレッシヴのキャラクターだそう。

佐藤さん自身も、その思いに共感し、インプレッシヴへの入社を決めたひとりです。

「私には、22歳の息子、19歳の娘がいるのですが、幼少期の子育ては妻に任せっきりでした。当時は、前職でエンジニアとして全国を出張しながら、深夜までトラブル対応に追われる毎日。『自分は仕事を頑張っているんだ』『子育てにかかわれないのは仕方がない』という思いすら持っていました」

そんなとき、その後の佐藤さんの働き方や考え方に影響を与えるある出来事が起こったといいます。

「娘が2歳のときに熱痙攣を起こして救急車で運ばれたことがあったのですが、出張先にいて駆けつけられず、『容態が落ち着いたのなら大丈夫だろう』と妻に寄り添うこともしていなかった。このままでは家庭が崩壊するな……と気づいたときに、家族との時間も大切にできる働き方に変えよう、そのために転職しようと動き始めました」

インタビューを受ける社長の佐藤さん
創業者の「男女問わず誰もが働きやすい会社にしたい」という言葉に、自分もそんな会社を一緒につくっていきたいと思い、インプレッシヴに転職を決めたという。

2023年度のインプレッシヴの月平均残業時間は約3時間。チーム制でお客様を担当し、誰かが抜けても誰かがフォローできる体制を組めるようになり、無理のない労働時間を実現できています。育休取得率は、男女ともに100%で、チームで動く働き方が影響しているといいます。

「2018年に、男性社員が3か月間の育休を取得し、当社での初めての事例になりました。現在は管理職が子育て世代ということもあり、育児休暇も看護休暇も、『とらないと大変だよね』という理解が浸透しています。
2023年には、子どもの学校行事で活用できる子育て休暇も年間5日設計。授業参観や運動会などのイベント参加のために、対象社員で年平均2.5日、利用していますね」

ほかにも、1時間単位で申請できる有休制度も整え、子育てや介護、あるいは自分自身のことで、柔軟に休みを取って働き続けられる環境づくりを進めているインプレッシヴ。年1回の会社の方針説明会では、新たな取り組みとして、「地域に根差した中小企業として、学校との連携を深めたい」という思いを伝えているといいます。

「新潟のこどもたちにIT企業で働くおもしろさを伝えたり、エンジニアによる出前授業ができたりしたらいいな……と構想を練っています。社員からは、こどもが会社訪問できる機会をつくってほしい、という声が挙がっていて、こどもたちとの交流という点で、まだまだ挑戦できることの多さを感じています」

モニターを囲んで佐藤さんと2人の社員が話し込む様子
育休についての座談会に参加したインプレッシヴ社員のお三方次のページ|育休をとって変わった景色とは?
育休取得メンバーによる座談会


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