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毎日がまるで遠足!?
新潟市秋葉区の自然の中で遊びつくす
〈Akiha森のようちえん〉 | Page 3

2024.12.23

ドイツで確信した、
野外遊びの必要性と自然を尊ぶ土台づくり

造園業を営む両親のもと、秋葉区の豊かな自然のなかで育ち、造園会社も営んできた原さん。その事業のなかで直面してきたのは、こどもの遊び場が減少していく現状でした。

「造園事業は、こどもが自然に触れて遊べる環境をつくるのも重要な仕事。けれど、そんな場所や環境が減っていくことに危機感を抱くようになりました」

また、自身のこどもが生まれたことを機に「こどもが大きくなったとき、住める環境が残っているだろうか?」という不安や心配は大きくなっていったといいます。

自分にできることはなにか。さまざまに考えて2005年にスタートさせたのが〈秋葉山自遊会〉という里山整備のボランティア。秋葉区の自然をフィールドにした遊び場をつくり、ツリーハウス制作や、木登りができる環境を用意するなどの活動を行ってきました。

ハンモックで遊ぶこどもたち
フィールドから戻り、園庭で遊ぶこどもたち。

また、2009年には環境保全活動の研修でドイツを訪れ、その際に出会ったさまざまなエコロジストや専門家の話と、その情熱に圧倒されたといいます。

「ドイツの森のようちえんもいくつか訪ねて、『ああ、こういった場所が必要なんだ……』と切に思ったんです。ドイツの人々は日常的に自然に触れ、自然を愛し、この豊かな環境を守りたいと常々感じている。幼少期から自然に触れてきたという土台があるからこそ、これほどに情熱を傾けられるんじゃないかと思ったんです。自然は尊い、大切、守りたいと思う人が育ってこそ、環境は守られると思いました」

自然への感謝の気持ちを育めるような場所づくりこそ自分にできることと確信し、その研修中に「帰国したら森のようちえんをつくる」と宣言した原さん。その1年半後となる2011年には〈Akiha森のようちえん〉の開園に至りました。

〈Akiha森のようちえん〉園舎外観
〈Akiha森のようちえん〉の園舎。

現在は、秋葉区と三条市にあるふたつの園のほか、秋葉の里山でこどもたちが自由に遊びをつくる〈Akiha マウンテンプレーパーク〉や、地域の古民家を活用して小学生が放課後に自然体験・生活体験・農業体験に触れられる学童事業〈Akiha放課後里学校〉も運営しています。

「ささやかでも、自分ができることをやっていきたいですね。自然の中でこどもたちが目いっぱい遊ぶこと、遊べる場所の大切さを今一度伝えていくことが、遊び場の減少に歯止めをかけ、ひいては環境保全再生にも寄与していくと思っています」

そのように語る原さんは、さまざまな保育施設の園庭を自然に触れて遊べる環境にしていく造園事業を8年前からスタート。すでに新潟県内のさまざまな保育施設の園庭を手がけています。

カメラに笑顔を向ける2人の男の子

〈Akiha森のようちえん〉を訪ねて印象的だったのは、新潟に残る豊かな自然に溶け込み、身近な生き物や移ろいの機微を観察し、目いっぱい遊び尽くすこどもたちの力強さ。自然保育をベースに、たくましく生きる力、主体性、自然への愛着などをこどもに育んでもらいたいと考えている方にはピッタリな保育施設といえるかもしれません。

Information

認定こども園 Akiha森のようちえん

web:Akiha森のようちえん
Facebook:@Akiha森のようちえん

※近年は入園に関する問い合わせが多く、年度によっては期待に添えられないこともあるといいます。ご留意ください。

credit | text:林貴代子 photo:今井達也

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