旨さに悶絶! 幻の熟成肉を味わおう
上質なお肉から
南魚沼のテロワールを感じて

〈にいがた和牛〉や〈雪ひかりポーク〉などの上質な肉を貯蔵する専用の雪室と工場に、レストランを併設した〈YUKIMURO WAGYU UCHIYAMA〉。
〈八海山雪室〉と同じく、建物内に専用の雪室をつくり約60トンの雪で肉を熟成させています。これはウェットエイジングという手法で、正しい条件と技術のもと優良菌と呼ばれる微生物を使って発酵・熟成させることでタンパク質が分解され、旨み成分であるアミノ酸が増し、肉質がやわらかくなるのだそうです。
レストランでは、雪の力で熟成させた銘柄黒毛和牛〈にいがた和牛〉と、店主が厳選した魚沼育ちの豚肉〈雪ひかりポーク〉を使ったメニューを提供しています。

生ハムづくりにも魚沼の自然の恩恵が欠かせません。
「生ハムづくりには八海山の仕込み水が重要なんです。1本の骨付き豚肉を塩漬けにする工程があって、その間は雪室で熟成させることでぎゅっと旨みが凝縮されています。塩漬けにしたあとには塩抜きの工程がありますが、ここで八海山の仕込み水が必要になります。塩抜きするお水がおいしくないと、我々が求めている基準に達するおいしい生ハムはできません」
と、説明するのは〈YUKIMURO WAGYU UCHIYAMA〉の代表取締役CEO・内山治彦さん。
「当社の生ハムは、八海山の名水(雷電様の清水)を用いて丁寧に塩抜きを施し、清らかな味わいを引き出します。その後、乾燥を防ぐため、八海山の酒粕と南魚沼産米粉を独自に調合した特製ペーストを肉の表面にまとわせ、じっくりと熟成させます。すべての素材と工程に南魚沼の風土と恵みを生かし、時の流れとともにゆっくりと発酵と熟成が進むことで、この土地ならではの個性と奥深い旨みが凝縮された、唯一無二の“テロワール生ハム”が誕生します」
生ハム以外の加工肉にも南魚沼のテロワールが。八海山のあまさけに漬け込んだベーコンや八海山純米大吟醸の酒粕を使ったにいがた和牛入りサラミ、魚沼の伝統野菜〈かぐら南蛮〉を使ったソーセージなど、魚沼の食材を取り入れたこだわりの商品が揃います。


長年お米と向き合ってきた酒蔵が挑戦する
米が主原料のウイスキー

2016年、八海醸造ではオーク樽で熟成した本格米焼酎をデビューさせると同時に、これまで培ってきた蒸留酒づくりの知識と技術を生かし、米を主原料とする“ライスグレーンウイスキー”づくりを開始しました。
仕込み水には清酒・八海山同様、魚沼の豊富な雪から生まれる名水、雷電様の清水を使用。寒暖差のある気候と湿度の高さはウイスキーの熟成にも最適なのだそう。八海山のウイスキーは原料が米と麦芽で、米の使用割合が麦芽より多いのが特徴です。
貯蔵にはアメリカンホワイトオーク樽とフレンチオーク樽を使用しています。魚沼の自然豊かな環境のなかで育まれた柑橘系に続くバニラを思わせる甘い香りと米由来のほのかな甘み、ナツメグのようなスパイシーな味わいを楽しめます。

水に恵まれた自然豊かな環境でつくられる
四季折々の〈ライディーンビール〉

魚沼の里の高台に〈猿倉山ビール醸造所〉があります。施設内にはビアバー、ベーカリー、リカーショップが入り、ガラス越しにビールの醸造タンクを見学できます。
猿倉山ビール醸造所のブランド名〈ライディーン〉は仕込み水である南魚沼の名水「雷電様の清水」が由来です。1日400トンもの豊富な水量を誇る名水の硬度は2.4程度(日本の水道水の平均硬度は約4.9)。極軟水といわれる柔らかさがビールの口当たりをやさしくし、飲みやすくしてくれるそうです。



豊富な雪がもたらす豊かさ
〈魚沼の里〉は、新潟の淡麗辛口ブーム到来により八海山の日本酒需要が上がり、供給が追いつかず、品質は落とさず生産力をあげるために〈第二浩和蔵〉を建設したのが始まりです。現在、〈第二浩和蔵〉は八海醸造の日本酒製造における9割以上をまかなっています。
建設された2004年当時、まだ周りには何もない状態でしたが、ぽつんと酒蔵ができたことで地域の方や観光客などさまざまな方が「見学はできないのか」と覗きにきてくれるようになりました。
「せっかくここまで足を運んでくださる方がいるのであれば、楽しんでもらえる施設をつくろう」と〈第二浩和蔵〉の隣に物販スペースをつくったあと、徐々にさまざまなお店が増えていき、日本酒〈八海山〉の生まれる背景を五感で感じてもらいたいとの思いで“魚沼の里”が誕生しました。
さらに、広大な〈魚沼の里〉の敷地内では、3つのテーマに分けて土地に合った植物を育てており、なかでも〈菓子処さとや〉と〈そば屋長森〉の前にある山の斜面〈雪花の丘〉では、春は可憐な黄色い菜の花、夏にはそばの美しい白い花が一面に広がります。里山のおだやかな風を感じながら、魚沼の里とその先に広がるまち並みを一望できます。

一見、不便に思える雪国の生活も、知恵を絞って生きてきた人たちの工夫により、自然が育む恩恵を大切に受け取り、その豊かさを堪能できる施設。雪国の魅力とそこに生きる人の力強さがたっぷり詰まった〈魚沼の里〉にぜひ足を運んでみてください。
Information
credit text:井高あゆみ photo:歸山芳文(SIIKS)