圧倒的な積雪量を誇る雪国で南国フルーツが栽培されている!?
日本有数の豪雪地帯として知られる南魚沼市。冬場は3メートルを超える積雪を記録することもあり、10ほどあるスキー場では4月上旬までウィンタースポーツが楽しめる「雪国」の名にふさわしいまちです。
雪がもたらす清らかな水と盆地ならではの昼夜の寒暖差によって、おいしいお米が育つことでも有名。〈魚沼産コシヒカリ〉なんてブランド米を聞いたことがある方も多いはず。
日照時間が短く、そもそも暖かい時季が短い豪雪地帯・南魚沼市で、なんと雪国とは対極にある南国のフルーツが栽培されていると聞き、生産者の方を訪ねてきました。
本業は、自宅の敷地で温泉を掘り当てちゃうボーリング掘削業
関越自動車道の塩沢石打インターチェンジを下り、ペンションや民宿などを横目に車を走らせること約5分。巨大なビニールハウスと、〈江口設備工業〉と書かれた会社らしき建物が見えてきました。
いや、まさか……とは思いましたが、〈江口設備工業〉と書かれたこちらの会社で、雪国生まれのマンゴー〈魚沼の妖精〉を栽培しているのです。本業は井戸掘りなどをメインとするボーリング掘削業で、農家さんではありません。社屋の裏に案内されて驚きました。温泉がごうごうと湧き出ています!
しかも露天風呂まであります! 代表の江口幸司さんにお話をうかがうと「17年ほど前かな。このあたりは温泉は出ないだろうといわれていたんですが、自宅の敷地を掘っていくと、ある日突然、温泉が吹き出して。1000メートルほど掘る予定だったのに、640メートルの段階で出たんですよ。でも、うまく活用する方法が見つからず、せめて地域の人に楽しんでもらおうと、4年ほど経った頃、露天風呂をつくりました」
自作の露天風呂は岩風呂仕様でとても立派。男湯と女湯まで用意されています。しかし、なぜ温泉を、しかも自宅の敷地で掘ろうと?
「大した理由じゃないんです(笑)。地元のライバル会社のなかには源泉を堀り当て、温泉を所有している業者も多くて。ライバル心に火がついただけ。しかもこのあたりは温泉が出ないなんていわれていたから、なおさら絶対に掘り当ててやろう!ってね」
そんな江口さんのライバル心によって見事掘り当てられた源泉。新潟県中越沖地震で震度5弱の揺れを受けても枯れることなく、毎分1000リットルも湧き続ける源泉が、雪国産マンゴーを生むきっかけとなりました。
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気候を組み合わせたマンゴー栽培 】