新潟のつかいかた

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豪雪地帯で南国フルーツ!?
南魚沼市で甘く育つマンゴー
〈魚沼の妖精〉とは | Page 2 Posted | 2019/08/08

ここは本当に南魚沼!? マンゴーにシャインマスカット、バナナまで!

南魚沼市産マンゴー〈魚沼の妖精〉を栽培するには、この温泉の熱が欠かせません。しつこいようですが、ここは雪国。日照時間も短く、1年の半分近くは深い雪に閉ざされます。

でも、見てください。ハウスの中には、たわわに実ったマンゴーが無数に。いや、マンゴーだけでなく、シャインマスカットやバナナまで。

栽培ハウスの中へ
ネットで保護されたマンゴー
1棟から始めたというハウスは現在4棟に。〈魚沼の妖精〉として出荷されるアップルマンゴーを中心に、試作品としてほかに2種類のマンゴーが栽培されています。
シャインマスカット
ハウスの片隅で育つシャインマスカット。
見事に育ったバナナ
さらにバナナまで。雪国の新潟県でバナナが育つ光景は本当に珍しく、地元の小学生たちが社会科見学で訪れるそうです。「バナナなんて放っておいても勝手に育つんだから(笑)」と江口さん。実は小さなパイナップルもありました。

地下100メートルほどから汲み上げる井戸水を64度の温泉で、26~30度程度に温めます。温泉の熱で温めた水を、独自の技術でハウスに巡らせ、マンゴーが育つのに必要な温暖な環境を人工的につくっているというわけです。

井戸水を温める装置
こちらが井戸水を温める装置。井戸水の掘削もボーリング掘削業だからこそ、なせる技です。

「マンゴーとの出合いは2007年、東国原英夫さんが宮崎県知事に就任した年です。テレビでマンゴーのおいしさを頻繁にアピールするので、宮崎県産のマンゴーはどれほどうまいものかと現地まで食べに行ってみたんです。そしたら、この世のものとは思えないほどのおいしさで……」

もともと「三度の飯より果物が好き」といっても過言ではないほど果物好きだったという江口さん。これまで海外のマンゴーを食べた経験はありましたが、国内産マンゴーは初めての味。

江口幸司さん
江口さんいわく「温泉があったから、マンゴー栽培のイメージがわきました」とのこと。

おいしさの衝撃に「自分でもマンゴーを育てたい」という気持ちが芽生え、宮崎県や沖縄県といったマンゴー栽培が盛んな地域にも足を運び、栽培のノウハウを現地で見て学びました。

赤く熟した〈魚沼の妖精〉を手に取る
赤く熟した〈魚沼の妖精〉。ツヤツヤと美しく、まるで宝石のよう。

「うちには温泉もあるし、人がやっていることなんだからできないはずがない」と、手探りで始めたマンゴー栽培。栽培年数を重ねるうちに、南魚沼市の雪国特有の気候や条件でも、うまく利用すればマンゴー栽培が可能になるということにも気づきました。

「どんな農作物も四季を感じることが大切で、マンゴーも同じだと思うんです。その年の収穫を終え、次の年の花芽が出てくるまでの準備にとりかかる9月から10月の頃、気温が下がることで、マンゴーは秋が来たことを感じ、次の年にまた実をつける準備に入ります。温暖な地域ではこの時季、エアコンなどを使って人工的に気温を下げますが、ここではその必要がありません。また冬場の積雪による日光の乱反射もハウス内を温めるには欠かせない資源。欠点と思われていた雪も、実はマンゴーづくりの大きな糧になっているんです」

諦めずにマンゴーを見守り続けてきたからこそ気づけたという、雪国ならではのメリット。温泉と豪雪、地場の恵みをうまく活用することで、南魚沼の地でもおいしいマンゴーが育つようになりました。

マンゴーにネットをかぶせる作業
マンゴーづくりはとにかく手がかかります。1本の木には200~300ほどの実がなりますが、商品として出荷できるのは10分の1ほど。そのため、昨年からマンゴーを管理する専任スタッフとして橘 友洋さんを会社に迎えたそうです。
左から村山さん、江口さん、橘さん
マンゴーの管理は江口さんと橘さんのふたりが中心。そして、写真左の村山茂樹さんが相談役としてマンゴー栽培を支えています。
湧き出し続ける源泉

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湧き出す温泉の活用術


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