新潟のつかいかた

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素材も製造もすべてが繊細!
100年を超える歴史をもつ
国内で唯一の「手作り紙風船」 | Page 2 Posted | 2022/12/09

出雲崎の「手作り紙風船」ができるまで

磯野さんに、紙風船ができるまでの工程をご案内いただきました。

「まずは、紙に図柄を印刷するところから始まり、『紙組み(かみぐみ)』と呼ばれる工程に入ります。ここでは、紙を決められた順番に重ねていくんです」

ニシキゴイの紙風船を紙組み
これは最新作の「ニシキゴイ」の紙風船を紙組みするところ。
紙を決められた順番に重ねる作業
目印となるマークを目安に、下の柄にピッタリと合わせながら紙を上に重ねていく。集中力のいる作業。

続いては、紙を決められた形にする「型抜き」の工程へ。紙組みでできた紙束を、機械で切り抜いていきます。はぎれの紙は、さらに切り抜いてヒレや尻尾といったパーツにしたり、ワークショップなどで使ったりして再利用するのだそうです。

さて、型抜きが終わると、磯野さんは会社の外へ。とあるお宅のチャイムを鳴らしました。「ようこそ!」とにこやかに迎えてくれたのは、ベテランの“貼り子”・吉田すみ子さんです。

吉田すみ子さん
わずか13人しかいない“貼り子”のひとり、吉田すみ子さん。

貼り子さんのお家で、紙を貼り合わせて球体にする「立貼り(たてばり)」の工程が行われます。

「紙風船の内職は生まれたときからおなじみで、私の母も主婦業をしながらよく貼っていました。姉も私も見よう見まねで覚え、今では何も考えなくても自然に指が動きます。繁忙期は家事をお休みして、これにかかりっきりになることも。多い日で200個くらいつくりますね」(吉田さん)

立貼り作業をする吉田さん
紙風船の立貼りを実演してくれました。
並べられた紙の束に麩糊(ふのり)を塗る
型抜きで切り抜かれた紙の束を2ミリほどののりしろが出るように並べ、大きな刷毛で麩糊(ふのり)を塗る。
紙を貼り合わせる
流れるような手さばきで、8枚の紙を順番に貼り合わせれば……。
8枚の紙を貼り終わった紙風船
瞬く間に球体が完成。1個にかかる時間は約1分間という早技。

貼るときの手元に注目すると、なにやら見慣れない道具が。木箱の横に、弧を描く金属が設置されています。吉田さん、それは?

アルファベットのUの字になった金属の道具
吉田さんが使っている専門の道具。

「これは“キカイ”と呼ばれるものです。紙風船のカーブにピッタリ沿っているので、湾曲した面もきれいに貼りやすいのです。キカイは7サイズあって、つくりたい紙風船のサイズに合わせて取り替えながら使います」

創業当初は平らな卓の上で貼り合わせる「横貼り(よこばり)」でつくっていたものの、作業がしにくかったことから、〈磯野紙風船製造所〉2代目が “キカイ”を発明。立貼りのスタイルを編み出したところ、一気に効率が上がり、大量生産が可能になったんだとか。現在では、デザインを印刷したものをキカイを使った立貼りでスピーディに仕上げているそうです。

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最後に、空気を吹き込む「口」の部分に紙を貼れば完成。
金魚の紙風船

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