「方角石アイスもなか」に込められた秘密
そんな日和山五合目で過ごす時間のおともは、コーヒーに並ぶ人気の「方角石アイスもなか」。特注の真っ白で柔らかな皮の中には、綾子さん手づくりの牛乳アイスがたっぷりと挟まっていて、甘すぎないやさしい味になっています。
「私自身が、コーヒーを飲んでいると何か甘いものが食べたくなる性分なので、『一緒に食べるとちょうどよい味』を目指しました。あとは、まち歩きの途中でも片手で気軽に食べられるスイーツがつくりたかったので、持ちやすいように形状も工夫しています」
でも、いったいどうして「方角石」? なんだか不思議なネーミングです。名前の由来を教えてくれたのは、店長の野内さんの夫であり、日和山五合目 館長の野内隆裕さん。
「そのお話をするためには、まず『日和山』という名がどんな意味を持っているのか、ご説明したほうがよさそうですね。『北前船』って聞いたことはありますか? 北前船は、江戸から明治時代にかけて、新潟はもちろん日本海沿いを航路とし、多くの物資や文化を運んだ帆船のこと。その北前船の寄港地にて船乗りたちが船を出すか出さないか、天候を観測する(日和を見る)ために利用した山の呼び名です。全国に80か所以上あるそうですよ。新潟の日和山もそのひとつです」
この小さな山にそんな歴史的な意味合いが隠れていたなんて驚きです。
「そして、天候を読むための道具が、この方角石。船乗りがその日の風向きを確認するために使っていたもので、各地の日和山に存在しております。カフェのアイコンにぴったりだなと思って、新潟の日和山の方角石をスイーツのモデルにしたというわけです」
歴史を振り返ってみると、新潟は北前船の重要な寄港地として賑わっていたそうです。日和山近くにある古町花街も、船乗りたちをもてなす場所として発展してきました。
「新潟には、北前船の名残が、そこここに散りばめられている」という隆裕さんの言葉通り、新潟を歩くと、気づかぬうちに新潟の歴史に触れていた……なんてことも多いのかもしれません。
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