新潟のつかいかた

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12メートルのプチ日和山登山!
五合目にあるカフェ
〈日和山五合目
hiyoriyama coffee〉へ | Page 3 Posted | 2020/03/16

「みなとまち新潟」の「日和山」を楽しもう

〈日和山五合目 hiyoriyama coffee〉外観

そんな歴史背景を持った日和山ですが、時代の移り変わりとともに、地形の変化や火事などにより、その意義が少しずつ忘れ去られてしまいました。

新潟の地形は信濃川、阿賀野川が運んでくる大量の土砂により砂丘をつくりながら新しい土地を形成してきました。そのため、かつて海のすぐそばに立っていたここ日和山も、長い年月を経ていくうちに、海沿いの土地ではなくなってしまいました。

日和山から見た新潟市
日和山
2020年現在の日和山の様子。昔は山のすぐ向こう側まで、海でした。

さらに明治13年(1880年)、新潟のまちを焼き尽くした大火で日和山が焼けると、もっと海に近い砂丘の上に、新たな茶屋や、見晴台がつくられ「新日和山」と呼ばれて賑わうようになり、日和山は次第に忘れられていきました。

「僕は新潟の下町の出身で、みなとまちとしての新潟の歴史を内包したこの日和山の魅力を、たくさんの人に知ってもらいたいと思い、1998年頃から活動を開始しました。まち歩きイベントで魅力を伝えたりしていくなかで、新潟市、新潟大学、地元住民で構成された『日和山委員会』の日和山再生プロジェクトにも参加させていただき、日和山の整備が2009年に完了しました。制作させていただいた、まち歩きの地図とともに、“みなとまち新潟”の名所を歩いてもらい、そのゴールとして日和山に登ってもらう。そんななか、江戸時代に茶屋があった場所に2014年にカフェをつくって、妻に店長をお願いした……というわけです」(隆裕さん)

再建された住吉神社
住吉神社は、近所の有志たちによって再建。地元の人にとって日和山は今でも大切な場所であり続けています。

日和山は「みなとまち新潟」の歴史につながる扉

船の窓をカフェのインテリアに

一時は多くの人が忘れ去ってしまった日和山。しかし、野内さんご夫妻のさまざまな発信を通じて、最近は風向きが大きく変わってきたといいます。

「カフェのファンとしてお店に通ってくださっていた方が、いつしか日和山に興味を持ってくださったり、まち歩きイベントに参加してくれたり、また小学校5年生の理科の教科書(学校図書)に『天候を見るための山』として日和山が紹介されたりと、みなとまち新潟のシンボルとして日和山に興味を持ってくれる人が、増えてきているのを肌で感じています」

登山証明書
カフェ店内で発行される、日和山の「登山証明書」も人気。

わずか12.3メートルの小さな山の中腹に建つ、カフェ〈日和山五合目 hiyoriyama coffee〉。控えめなその入り口が、新潟の大切な歴史……日和山から大海原につながっていたなんて。もしかしたら、そんな歴史背景が、多くの人を無意識にでも惹きつけているのかもしれません。

ゆっくりとおいしいコーヒーを飲んで日頃の疲れを癒すもよし、日和山が魅せる景色に興味を持ったら、より深い世界へアクセスしてみるのもよし。ぜひ一度訪れてみてください。きっとすてきな時間に出会えるはずです。

新潟文化物語

北前船や新潟の歴史についてもっと学んでみたい人は、『新潟文化物語』へ。
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Information

【日和山五合目 hiyoriyama coffee】

address:新潟県新潟市中央区東堀通2962-1

access:新潟駅万代口バスターミナルからバスで約25分

営業時間:金・土・日曜 11:00〜17:00

web:日和山五合目 hiyoriyama coffee

credit text:伊佐知美 photo:石阪大輔(HATOS)