実はミニチュア土器は、縄文時代にもあった!
チョコレートがかたまるまでは、ミニチュア縄文土器づくりの時間です。大きなサイズの土器は乾燥に約2週間かかるため、体験では数時間で完成する手のひらサイズのミニチュア縄文土器をつくります。
この体験のために考えられたアイデアかと思いきや、実は実際に、ミニチュア縄文土器はよく出土するのだそう。縄文時代の人が、こんなサイズの土器を使っていたなんて驚きです。
「ミニチュア土器の使用用途は、明らかになってはいません。祭祀用、子どものおままごと用など、諸説あります。時折、成型前の粘土に、ただ指の跡だけがついた団子状の土器が出土したりもするんですよね。だから案外、『子ども向け』というのは信ぴょう性がありそうです。遺物を眺めながら、『火のまわりで遊んでいた子どもが、遊びで粘土を投げ入れたのかな?』と想像するのも、調査員の小さな楽しみだったりします(笑)」
さて、本題の縄文土器づくりです。縄文土器の材料である、テラコッタに粒子の細かい砂をブレンドした粘土を適量手に取り、好きな形に成型していきます。大きく分けると、こちらも以下の3ステップ。
1 土台づくり。ひび割れないように丸めて、平たくしていく
2 側面づくり。細いひも状にした粘土を土台に乗せ、指や木べらで隙間をなくす。「輪積み」という作業
3 装飾を施す。縄を撚ったものを押し付けたり、木べらや貝を使って模様を描いていく
土台で全体のサイズ感が決まります。ここでどんなものにするか完成形が想像できているといいけど、とりあえず手を動かし始めてみます。あまり薄くすると焼いたときに割れてしまうので、そこそこの厚さにすることが必要。なるべく空気が入らないように。
ひもを「輪にして積んでいく」輪積み作業が縄文土器っぽい。つなぎ目を小さなヘラや指を使って埋めていきます。ざらざらしていて、意外とかたい。あまり小さくすると男性だと内側に指が入りません。といって、大きくするとすぐには焼けない……。
装飾はもちろん自由。好きなキャラクターや自分の名前を彫ってもいいけど、やはり縄文土器らしくしたい! 独特の焔のような装飾や、ずばり縄のような文様を目指します。その点、笹山縄文館には写真が飾ってあったり、サンプルがたくさんあります。このタイミングになると作業後半なので、時間との勝負。かなりかたくなってきました。
成型が終わったら、復元した竪穴住居の中で、縄文時代と同じように焼きます。合計時間の目安は、50〜60分ほど。
まずは網の上で10分ほど水分を飛ばします。いきなり火の中に入れると割れてしまいます。
10分ほどしたら、直接火の中へ。バーベキューで焼き芋をするくらいのお手軽な感覚です。そして焼くこと、約1時間。
ついに完成しました! ちょっとぼってりしたフォルムになりますが、それがかわいいです。おちょこや箸置きなんかにするといいかも。
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