田中貴が推薦! 上越エリアを代表する〈食堂ミサ 本店〉の
「味噌ラーメン」
Profile 田中貴(たなかたかし)さん
サニーデイ・サービスのベーシスト。1994年にメジャーデビュー。国内外の多くのアーティストのライブサポート、レコーディングセッション、プロデュースでも活躍。ツアーで全国を巡りながら、各地のラーメンも食べ歩いている。
続いての推薦者は、サニーデイ・サービスの田中貴さんです。田中さんは月刊『新潟Komachi』で、県内のラーメン店をみずから食べ歩いてレポートする「新潟拉麺大学」を連載中のため、新潟のラーメン文化にも驚くほど精通しています。
「新潟は上越、中越、下越と3つのエリアに分類できますが、新潟5大ラーメンには上越エリアのラーメンは入っていません。でも、上越にだっておいしいラーメンはあります。5大ラーメンのネクストを考えたときに、最初に推薦したいのは〈食堂ミサ 本店〉ですね」(田中さん)
食堂ミサ 本店は1965年創業、今年55周年を迎える老舗です。新潟にはさまざまなスタイルの味噌ラーメンがありますが、まろやかな白味噌ベースながら、ニンニクがガッツリと効いたパンチのある味わいは、全国的にも珍しいものです。
「食堂ミサ 本店の味噌ラーメンは、なんといってもタマネギです。もやしがメインの札幌ラーメンと違い、地元産の新鮮なタマネギからあふれる甘みと絶妙な食感がたまらない。札幌ラーメンは、もやしとタマネギをラードで炒めて風味を出しますが、こちらでは炒めず、直前に軽くスープで煮込む。そうすることで、タマネギ本来の甘みを引き出し、さらにスープの旨みを吸わせ、シャリッとした食感も残しています」(田中さん)
「仕込みはすべて手作業。これだけの手間があるからこそのおいしさがあり、ほかでは真似できない味噌ラーメンになっています。新潟まで食べに来る価値のあるラーメンですよ」(田中さん)
「新潟でしか食べられないラーメンはまだまだある」
田中さんが指摘したように、新潟5大ラーメンには上越エリアのお店がありません。しかし食堂ミサ 本店以外にも、上越市民のソウルフードといえるラーメンがあります。
「上越の一部地域には、70年以上も前から豚骨ラーメンがあり、同じようなラーメンを提供するお店が数十軒はあると聞きました。元祖の〈オーモリラーメン 新井店〉は1951年創業と歴史も深く、6大ラーメン入りにふさわしいでしょう」(田中さん)
オーモリラーメンを元祖とする豚骨ラーメンは「上越妙高とんこつ」と呼ばれるものです。オーモリラーメンは製麺もやっていて、他店に卸していたり、上越市内のスーパーでは〈オーモリラーメンの生ラーメン〉が販売されていたりと、上越エリアでは抜群の知名度を誇ります。
「強火で一気に炊き上げる九州系の白濁スープと違い、火加減を調節しながら旨みを抽出するスープは、やや透き通ったもの。くさみのない豚骨のいい香りと甘みが食欲をそそります。イメージは、東京の豚骨ラーメンの元祖といわれる〈ホープ軒〉の味に近いですが、こちらのほうが歴史があることに驚きます」(田中さん)
「最後に、ラーメンとは違いますが、ぜひ紹介したい麺料理があります。それは、新発田市にある〈シンガポール食堂〉の『オッチャホイ』です。世界で唯一、ここにしかない麺料理で、初めて食べたとき、あまりのおいしさに持ち帰り用を頼んだほどです」(田中さん)
オッチャホイとは、現在お店を切り盛りする中村ミツ子さんのご主人に当たる創業者・中村秀雄さんが幼少期を過ごしたシンガポールで食べた料理を再現したもの。イメージとしては、きしめんのような麺を使った塩味の焼きそばが近いかもしれません。不思議な響きがあるオッチャホイですが、県外にもファンがいる新発田市の名物です。
「基本の具材は、もやし、キャベツ、小松菜、炒り卵とシンプルで、ニンニクと唐辛子がアクセント。水分を飛ばした野菜や麺の食感が絶妙で、初めての感覚です。どうやら、シンガポールに似た麺料理はあるようですが、オッチャホイという名前の料理は存在しないらしい。つまり、本当にここでしか食べられない。新潟を代表する麺料理といっていいでしょう」(田中さん)
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〈和風とんこつ たまる屋〉の「背脂マーボーメン」 】