アウトドア・ラバーの聖地、
スノーピーク本社で新潟のものづくりに出会う
JR燕三条駅から車を走らせ40分ほど。広大な田畑の間を進み、本当にこの先にあるの……? なんて不安に思い始めた矢先に、突然近代的な建物が現れます。ここがアウトドア好きでその名を知らない人はいない、世界中で人気のアウトドアブランド〈スノーピーク〉のヘッドクオーター(本社)です。
店舗にはスタイリッシュなデザインのアイテムが並び、海外ブランドと見紛ってしまいそうですが、〈スノーピーク〉は実は新潟県三条市発の会社です。スノーピ—クのロングセラーであるペグや焚火台などのキャンプギアは、ものづくりのまち燕三条で生まれました。また、新しく誕生したアパレルラインは、生まれた背景、製造ともに新潟とつながりが深いとのこと。お話をうかがいに行きました。
迎えてくれたのは、スノーピークで広報を担当する小林すみれさん。
「本社にはスノーピークの製品もレンタルできる年中無休のキャンプフィールドと、直営店が併設されています。豪雪地帯なので、冬は雪を見るために関東からキャンプに来てくれるお客さんもいるくらいで、今見えている木も埋まってしまうほど積もりますね」
そんな雪中キャンプにも大活躍するのが、スノーピークのペグ〈ソリッドステーク〉。安価なジェラルミン製がテントやタープの付属品でついてくるも、折れやすく消耗品だと思われていたペグですが、その概念を変えた、一生モノのペグです。土や芝生の地面だけでなく夏場のアスファルトにも確実に刺さるほどの強度! と小林さんが豪語するほど頼もしいそのアイテムは、1995年の誕生以来、欠品も珍しくないというほどの大人気商品です。
「このペグで採用している鍛造技術は昔から燕三条に伝わる技術で、〈S55C〉という高炭素の鋼素材を高温で溶かし、ハンマープレスの強大な力で打つことで、より頑丈なペグができあがります。〈ペグハンマー〉も燕三条製で、銅ヘッドだから力がまっすぐ伝わって、地面に気持ちよく刺せます。どちらも燕三条の職人さんが機械を使いながらも手作業で型に流し込んでつくっているんですよ」