新潟のつかいかた

spot-yukiguni-trip-001-paged3

雪、米、酒を大満喫!
新潟アイコンを総なめできる
1泊2日の雪国旅 | Page 3 Posted | 2021/03/29

16の豪農の館が連なるモダンな温泉宿〈ryugon〉

ryugonの外観
提灯

今回一行が宿泊した〈ryugon〉は創業50年以上の老舗温泉旅館。その名の由来は、ここが坂戸城城主だった長尾政景の魂が眠るお寺の末寺「龍言寺」の跡地だから。16000平方メートルの広い敷地内に16の古民家が連なっています。そのほとんどがおよそ200年前の庄屋や豪農の館を移築してきたもの。歴史を感じる建物ですが、長年2メートル以上の豪雪にさらされてきました。2019年夏にリニューアルし、重厚な趣はそのまま、モダンな内装に生まれ変わりました。

ryugonの内観
雪で冷やされた〈白麹あわ 八海山〉
〈ryugon〉での限定販売が始まった、スパークリング日本酒〈白麹あわ 八海山〉で雪シャン。
ヴィラスイートの室内
ヴィラスイート。家具からも「雪」を感じる仕かけが。丸みのあるデザインは岡山県西粟倉村〈ようび〉によるオリジナルの〈snow cove〉。

Information

【ryugon】
address:新潟県南魚沼市坂戸1-6
tel:025-772-3470
access:JR越後湯沢駅から送迎あり
web:ryugon

グルメまち歩きで〈本気呑(まじのみ)〉体験

宿で夕飯もいいけれど、せっかくなので食材豊かなこのまちで、地元の方が楽しんでいる名店に連れて行ってもらいました。アテンドは地元で広告の仕事をしている神保貴雄さんです。

「2020年はコロナの影響で地元飲食店も大きなダメージを受けました。ここにはおいしい酒も食材もたくさんあるので、南魚沼市の雪と水を“お酒”というかたちで味わい、そのお酒に合うひと皿を飲食店が“本気”で提供する〈本気呑〉というキャンペーンを行いました」(神保さん)

なにわ茶屋の看板

最初に訪れたのは創作懐石の〈なにわ茶屋〉。創業者の出生にちなみこの店名とのこと。現在、3代目の大将は奥野直人さんが務めています。メニューはなく、予算に合わせてその日入ってきた旬の食材を生かした料理を提供してくれます。

えびやホタルイカを使った料理

最後に、少量の塩とフリーズドライにしたふきのとうが出てきました。隣には、ほかほかの白ご飯。

「ふきのとうを指先で砕いて、塩と一緒に白米に乗せてお召し上がりください。香りのいいふりかけになります」(奥野さん)

南魚沼産コシヒカリの甘い香りに引き立つ、ふきのとうの風味。味つけが塩だけとは思えない豊かさでした。

ふきのとうをふりかけたご飯

Information

【なにわ茶屋】
address:新潟県南魚沼市六日町92-6
tel:025-772-3787
access:JR上越線 六日町駅東口から徒歩4分、無料駐車場あり
営業時間:17:00〜23:00
定休日:不定休
web:なにわ茶屋

鮮極の厨房

次にやって来たのは、活気のある炉端焼き居酒屋〈鮮極(せんごく)〉です。
案内されたカウンターに座ると、オーナーの林佑一さんが威勢よく出迎えてくれました。しかもスタッフ全員が着ている制服は新潟の伝統工芸品〈塩沢紬〉だというから驚きです。料理は〈八海山サーモン〉と呼ばれる雄のニジマスを使った塩辛や昆布締め、イノシシ肉の炭火焼きなどをいただきました。どれも日本酒にぴったり。

お猪口に注がれた日本酒

最後に出てきたのは「黒まいたけの土鍋炊き込みご飯」。正直、お腹はもうはち切れそうですが、目の前にお茶碗が運ばれると、思わず生唾がごくり。これは、トリュフの香り?

黒まいたけの土鍋炊き込みご飯

「黒まいたけはきのこのなかでも特に風味が強くて、トリュフに負けません」(林さん)

そしてご飯のうまみも負けてない。地元産の卵黄とかぐら南蛮味噌で「贅沢TKG」にしていただいたら、気がついたらお茶碗が空っぽになっていました。

Information

【鮮極】
address:新潟県南魚沼市六日町104
tel:025-788-0098
access:JR上越線 六日町駅東口から徒歩2分
営業時間:17:00〜23:00(22:00L.O.、ドリンク22:30L.O.)
定休日:火曜
web:魚沼炉端焼き 鮮極

ryugon内のバーカウンター

いい気持ちで〈ryugon〉へ帰り、この夜が名残惜しくて少しだけ館内のバーへ。支配人・小野塚敏之さんお手製の果実酒が並んでいます。小野塚さんのおすすめで「アンニンゴ」を漬け込んだお酒をいただきました。春になると日本中の里山に見られる、小さくて白い花が連なる山野草です。甘い杏仁豆腐のような香りがしました。

「いまはまだ雪がたくさん残っていますが、あと2週間もすれば全部溶けてしまうでしょう。そうすると山菜の季節です。山菜採りは楽しいですよ」(小野塚さん)

昼間にまち歩きをガイドしてくださった小林さんの言葉を思い出していました。

「春の訪れは誰でもうれしいものですが、雪国にとっての春は“ふつうの春”じゃないんです。秋から冬支度を続けて、耐えて耐えてやってきた雪解けのうれしさと美しさは格別なんですよ」(小林さん)

小野塚さんのうれしそうな表情を見て、本当だ、と思いました。

子犬にあやかった縁起物〈チンコロ〉

次のページ:駆け回る子犬にあやかった縁起物〈チンコロ〉づくり


次のページへ →