新潟のつかいかた

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角田光代さんが
〈里山十帖〉へ。
岩佐十良さんに聞く
新潟の魅力 | Page 2 Posted | 2019/04/19

2~3年のつもりが……
新潟で暮らし続ける理由

角田 岩佐さんは新潟のご出身ではないですよね。そもそも新潟とのご縁はどういうものだったのですか?

岩佐 僕は東京生まれ東京育ち。3代続いているから江戸っ子と言っていいと思うのですが、お米づくりをするまでは新潟とは特に縁はありませんでした。ただ食のプロデュースをするなかでお米の販売もしていて、いろいろな農家さんとは知り合いでした。それでお米のことをちゃんと勉強したいなと思ったときに、それなら魚沼産のコシヒカリを勉強しようと思って、15年前に、2~3年暮らすつもりでこっちに来たんです。

岩佐十良さん
レセプション棟に入るとまず大きなオブジェがお出迎え
レセプション棟に入るとまず大きなオブジェがお出迎え。館内にはほかにもさまざまなアーティストの作品がある。

角田 じゃあ15年前からこちらにお住まいなんですか?

岩佐 最初の2年くらいは東京と2拠点でしたが、2006年には東京の家を引き払って、自分の会社も完全にこちらに移転しました。

角田 2~3年のつもりが、離れられなくなってしまったのはなぜでしょう。

岩佐 最初は、魚沼エリアというと僕もお米のイメージはありましたけど、正直こんなにいい場所だとは思わなかったんです。みなさんもおそらく、こんなに風光明媚でいい場所だということをご存知ないでしょう。お米のことを3年では勉強しきれなかったということもありますが、いや待てよ、ここは本当にすばらしい場所じゃないかと気づいたんです。特に、春の美しさといったらすごいですよ。もう、泣けるんです。

角田 そうなんですか! 実は私も、今日初めて塩沢駅で降りて、景色に驚いたんです。雪山の美しさがこの世のものではないみたいで、目が離せないんです。春はまた別の美しさなんですね。

岩佐 最近は慣れてきたので泣かなくなりましたけど(笑)。引っ越してきて数年は本当に涙が出ました。命の躍動感というのか、生きていてよかったと思えるくらい美しい。秋はまた紅葉がとても美しいんだけど、切なくて。冬の雪もすごいし、新潟の春夏秋冬は本当にすごいですよ。これは引っ越せないなと思います。

里山十帖で供される一皿
里山十帖の食事は新潟の野菜が中心。雪室で熟成された白菜、八色椎茸、舞茸は、野菜の甘みがしっかり感じられる。

角田 岩佐さんは新潟の食べ物で何が一番お好きですか?

岩佐 それはやっぱりお米でしょう。

角田 それはそうですよね。ではお米以外では?

岩佐 いろいろありますが、なすがおいしいですよ。新潟県はなすの作付面積が日本一で、品種が23種類以上あると言われています。

角田 え、意外です。そんなにあるんですか。

岩佐 23種類「以上」というのは、在来種が多くて、その地域、地域に昔からのものがあるので正確にはわからないんです。新潟県民は夏から秋にかけて、ずっとなすを食べてますよ。この宿でもなすをふんだんに使った料理をお出します。

土鍋で炊かれたご飯
雪景色

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美しい景色と雪国文化が残る地域


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