「ハウス1棟いちご農家プロジェクト」
って?
ドライいちごの加工作業は、若杉さんとパートさん、農福連携の一環で働きに来てもらってるという障がい者の方々で行っています。
「私の息子にも障がいがあって、将来、彼に働ける場所を残してあげたいんです。そして、障がいのある子たちが働ける場所を増やしていけるよう、今から少しずつ努力していきたいという想いもあります」
この3月、小学校の卒業式を迎えた息子さん。卒業式で「僕は将来、いちご農家になって、みんなを幸せにしたいです」と、発表したそう。
若杉さんは今、女性ひとりでも農業で収益を上げるための〈ハウス1棟いちご農家プロジェクト〉という活動の準備を始めています。
「主婦が働ける場をつくるのは、その先に子どもたちがいるから。ハウスに入り、いちごの苗に向かうと、さまざまなストレスが一度リセットされるんです。自分だけのスペースや時間を持てるのは、主婦や母親にとって大切なこと。そのためにも、主婦がハウスに入る意義があると思うのです。いきいきと農業をする母親の背中を見た子どもたちは、きっと『農家ってかっこいい』と思ってくれるはず。それが、未来の農業の担い手につながるんじゃないかなと思うんです」
プロジェクトを進めるかたわら、商品の拡大にも力を入れています。
「年中に次の新商品発売に向け準備中です。ひとつの商品で終わらず、皆様に話題を提供できればと思っています」
米農家の父の想いから始まった越後姫栽培は、主婦であり母親である若杉さんを介し、女性たちを輝かせる仕事として飛躍しつつあります。2019年3月、全国農業会議所が主催する「農山漁村女性活躍表彰」の若手女性チャレンジ部門でも経営局長賞を獲得し、5月に行われたG20新潟農業大臣会合にも参加。農業の新しい可能性を開拓し続ける若杉さんの活動から、今後も目が離せません。
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credit text:新潟Komachi 河野文香 photo:中田洋介