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新潟の地域ブランド〈南蛮エビ〉って?
真っ赤な姿が印象的な新潟県の〈南蛮エビ〉。正式名称を「ホッコクアカエビ」といい、一般的には「甘エビ」の呼び名で親しまれています。主に北陸以北の日本海で獲れ、新潟県では色や形が「赤唐辛子(南蛮)」に似ていることから、南蛮エビと呼ばれているそうです。新潟県ではコシヒカリに続く農林水産物のブランド化の一環として、平成20年に「南蛮エビブランド化推進協議会」を発足。南蛮エビの良さを広く知らせるために活動しています。
南蛮エビの県内の主な産地は佐渡市、新潟市、糸魚川市。佐渡では〈はねっ娘〉という名で海洋深層水を用いた生きた南蛮エビが出荷され、糸魚川地域では南蛮エビの卵の色が同地域名産の翡翠(ひすい)に似ていることから、〈ひすい娘〉という名で出荷されています。ほぼ通年で水揚げがありますが、水温の下がる11月〜2月頃が南蛮エビの旬。鮮やかな赤色が鮮度の良い南蛮エビの証です。
南蛮エビの驚きの生態とは?
ここで南蛮エビに関する驚きの事実をご紹介しましょう。南蛮エビはなんと成長の過程で性転換するのです。産まれて3年程は雄雌の区別がなく、4年目から5年目にかけてすべて雄として成長し、交尾後にはすべての個体が雌に転換するのだとか。これは水深200~500メートルの厳しい環境で生きる南蛮エビにとって、性転換という方法が子孫を残すのに一番適しているからだといわれています。
そんな神秘的な南蛮エビ。長い髭を持ち、背をまるく曲げたエビの形は“長寿”を連想させる縁起物として、おせち料理にも用いられますね。そして、目を引く鮮やかな赤色は「抗酸化作用」を持つアスタキサンチンによるものです。栄養面でもうれしい南蛮エビを、新鮮なうちに味わえるのは産地直送ならでは。ぜひ一度取り寄せてみてはいかがでしょうか。
南蛮エビの旨みを引き出す、絶品和食レシピ
南蛮エビは、新潟県内では高級料亭のおもてなし料理から居酒屋のおつまみ、家庭料理など幅広く使用されている定番の食材です。甘エビと呼ばれるだけあって、生で食べるととろけるような身の食感と、上品な甘さが際立ちます。刺身や寿司ネタとしてはもちろんですが、焼いたり炙ったり、さまざまな調理法でもお楽しみいただけます。
今回は「生・煮る・焼く」の3つの調理法で味わう、南蛮エビの絶品和食レシピをお届けします。
南蛮エビのアレンジレシピ①昆布締め南蛮エビのいちご和え
1品目は「生」のレシピ。殻をむいた後にひと手間加えるだけで、エビの旨みをグッと引き出せる昆布締め。エビそのものの味わいに昆布の旨みが加わり、水分が抜けてねっとりした食感になります。それをいちご、柑橘と和えることで、フルーツの甘みと酸味がアクセントに加わります。また、からしの効いたお酢が後味をすっきりさせてくれます。
Recipe
【所要時間】 5分(締める時間は除く)
【材料】 2人分
・南蛮エビ …… 10尾
・昆布 …… 適量
・いちご …… 2粒
・いよかん …… 1/2個(みかん、はっさくなどほかの柑橘類でも可)
・三つ葉 …… 2本
*米酢 …… 大さじ1
*菜種油 …… 大さじ1
*薄口醤油 …… 小さじ1
*練りからし …… 小さじ1
*塩 …… 少々
【作り方】
1 南蛮エビは頭、殻を取り、昆布に乗せ、冷蔵庫で1時間置く。
2 *の材料を混ぜ合わせ、いちごを粗いみじん切りにし、混ぜる。
3 いよかんは皮を剥き、1房ごとに取る。三つ葉はざく切りにする。
4 1、3を2で和え、南蛮エビの卵を乗せる。
今回レシピに使用したいちごは新潟産の〈越後姫〉。新潟県が6年の歳月をかけて開発した新しいブランドで、平成8(1996)年に品種登録されました。粒が大きくてジューシー、甘みが強くやわらかい果肉が特徴です。まだあまり県外には出回っていない越後姫をぜひ味わってみてください。
南蛮エビのアレンジレシピ②南蛮エビとかぶの煮物
次に「煮る」レシピ。「南蛮エビとかぶの煮物」は、南蛮エビを殻まで丸ごと味わえる逸品です。生でも楽しめる新鮮な南蛮エビを煮すぎることなくサッと火を通すことで、しっとりとしたエビの食感を残します。エビの香りが加わっただしがかぶに含まれ、なんとも滋味深い味に仕上がります。
Recipe
【所要時間】 20分
【材料】 2人分
・南蛮エビ …… 6尾
・かぶ …… 2個
*だし汁 …… 1カップ
*酒 …… 大さじ1
*みりん …… 大さじ1
*薄口醤油 …… 大さじ1
【作り方】
1 かぶは皮を剥き、大きければ2~4等分に切り、5分ほど下茹でする。
2 *を鍋に入れて火にかけ、南蛮エビを入れ、3分ほど煮て取り出す。
3 アクを取り、1を加えて5分煮る。
4 2を戻し入れる。
5 かぶの葉を茹で、添える。
南蛮エビを無駄なく味わおう!
南蛮エビのアレンジレシピ③南蛮エビのグリル
続いて「焼く」レシピ。香ばしいエビの香りが口いっぱいに広がる「南蛮エビのグリル」は、頭から尻尾までパリパリとした食感を楽しめます。コクのあるみそソースと南蛮エビの頭部分に入っているみそがよく合い、旨みが倍増しますよ。
Recipe
【所要時間】 10分
【材料】 2人分
・南蛮エビ …… 6尾
・なす …… 1本
・玉ねぎ …… 1/2個
・甘長唐辛子 …… 2本
*ごま油 …… 大さじ1
*みそ …… 大さじ2
*みりん …… 大さじ2
*だし汁 …… 大さじ2
*おろし生姜 …… 1かけ
【作り方】
1 *の材料を小鍋に入れて3分混ぜながら火にかける。
2 玉ねぎは輪切り、なすは4〜6等分、甘長唐辛子は半分に切る。
3 2と南蛮エビを網で焼く。
4 1を添える。
南蛮エビのアレンジレシピ④南蛮エビの和風アメリケーヌソース
南蛮エビは頭の部分にも旨みが凝縮されているので、まるごと無駄なく味わいたいですね。最後は、Recipe1で残った頭と殻から取っただしを使って、昆布と白味噌で和風アメリケーヌソースにアレンジ。短時間で比較的簡単に、南蛮エビの香りと濃厚な旨みがギュッと詰まったソースに仕上がります。今回は蕎麦と和えましたが、魚介類を和えたり、蒸し野菜にかけたりと、自由に使ってみてください。
Recipe
【所要時間】 30分
【材料】 作りやすい分量
・南蛮エビの頭と殻 …… 10尾分
・玉ねぎ …… 1/2個
・にんにく …… 2かけ
・トマト缶 …… 200グラム
・昆布 …… 1センチ角
・酒 …… 1/2カップ
・水 …… 1カップ
・白味噌 …… 大さじ2
・塩 …… 少々
【作り方】
1 玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。
2 鍋に油を熱し、南蛮エビの頭と殻を炒める。香ばしい香りがしたら、1を加えて炒める。
3 酒、水を加えて、アクを取る。
4 昆布、トマト缶を加え、20分ほど煮る。
5 白味噌を加え、味が足りなければ塩で味を調える。
6 ザルで漉す。
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新潟市内で南蛮エビ丼が食べられるお店
最後に、新潟市内で南蛮エビの丼が食べられるお店をご紹介します。丼を覆い尽くす南蛮エビは圧巻! 特製魚醤や地元産コシヒカリのご飯との相性も抜群で、新潟の旬の味覚を堪能できます。見た目も美しい南蛮エビ丼で、新潟ならではの贅沢なひとときをぜひお楽しみください。
〈すしいわ〉新潟市
赤泊港直送! 贅沢な南蛮海老丼
新潟市の〈すしいわ〉は、厳選した鮮魚で握る寿司が評判の店。一番人気は佐渡・赤泊港産の南蛮海老を贅沢に盛りつけた「南蛮海老丼」。新鮮な海老のプリッとした食感と濃厚な甘みが楽しめ、岩船産コシヒカリのご飯と特製エビ魚醤が絶妙に絡み合います。
この道一筋のご主人が手がける丼は、見た目の美しさも魅力。小鉢、みそ汁、デザート付きで、ランチ限定のリピーター続出の逸品を、目と舌でぜひ堪能してください。
Information
※2023年10月時点の情報となります。店舗データやサービス内容等が異なる場合がありますのでご注意ください。
甘エビと侮ることなかれ。
新潟の「南蛮エビ」はひと味違う
一般的には「甘エビ」と呼ばれていますが、新潟で旬に味わう「南蛮海老」は、水揚げされてからスーパーやお店に並ぶまでの時間が短いので、食べてみるとその鮮度の違いは明確です。そして、新潟県でしか味わえない“特別な甘エビ”は、日本酒やコシヒカリとの相性も抜群!
手に入れて自宅で味わうも良し、現地を訪れて贅沢な丼で味わうも良し。旬のうちに南蛮海老の多彩な魅力を堪能しましょう。
credit recipe:山村真由美 text:長谷川梨紗(くらしさ) photo:長谷川浩史(くらしさ)