新潟ならではのいちご、〈越後姫〉って?
子どもから大人まで、老若男女が好む「いちご」。〈とちおとめ〉や〈あまおう〉など広く知られているいちごもありますが、農林水産省によると現在日本では、約300種類ものいちごが栽培されているといいます。
日本各地でご当地いちごが開発されるなか、新潟で生まれたのが〈越後姫〉。6年の歳月をかけて開発され、1996年に品種登録されていますが、生産量の約3%しか県外には流通しないことから、県外の人にはあまり知られていないブランドいちごかもしれません。
![新潟生まれのいちご・越後姫](https://img.howtoniigata.jp/2020/02/06154114/series-recipe-011-photo1.jpg)
その特徴は、大粒で香り高く甘みが強いこと。また、果肉がやわらかくジューシーなことから、「可憐でみずみずしく、まるでお姫様のようだ」と、越後姫という名がつけられました。
「越後姫が開発されるまでは、新潟では〈宝交早生〉という品種の露地栽培が主流でした。しかし、宝交早生は雪解け後の4〜5月が旬となり、稲作の繁忙期ともかぶってしまっていました。そこで『もっと早く、もっと長く、もっとおいしい品種を』と開発されたのが越後姫です」
そう話すのはJA北越後の飯島一寛さんです。
冬のあいだ雪に覆われ日照時間が短い、新潟の気候に合わせて開発された越後姫。雪に耐えられるハウスも同時に開発され、栽培が広がっていったといいます。
![越後姫の高設栽培の様子](https://img.howtoniigata.jp/2020/02/06154116/series-recipe-011-photo2.jpg)
![熟してきたいちご](https://img.howtoniigata.jp/2020/02/06154117/series-recipe-011-photo3.jpg)
「一見良いこと尽くしのようですが、当初は宝交早生よりも収量が増えず、病気にも弱かったです。そこを生産者の努力でカバーしていって、今では当初の3倍収穫できるまでになりました」
春の訪れを告げる、春いちご
一般的に冬に出荷のピークを迎えるいちごですが、越後姫は春に旬を迎える「春いちご」として開発されました。花が咲いてから収穫されるまでに他産地よりも時間がかかりますが、その分ゆっくりと養分を蓄えながらじっくり育つため、大粒で酸味が少なく甘みが強い果実ができあがります。
![皿に盛られた越後姫](https://img.howtoniigata.jp/2020/02/06154119/series-recipe-011-photo4.jpg)
「昼が暖かくて朝晩が寒い4〜5月が出荷のピークになります。新潟ではスーパーなどに越後姫が並ぶと春が来たなと実感します。お店中に甘い香りが充満するほどで、何よりその香りと口に含んだときの食感を楽しんでほしいですね」(飯島さん)
![JA北越後の飯島一寛さん](https://img.howtoniigata.jp/2020/02/06154121/series-recipe-011-photo5.jpg)
果肉が繊細なため、これまであまり県外に流通されてきませんでしたが、パッケージ資材や輸送技術の改善によって都内でも販売が可能になりました。それでもやはり見つけたらラッキーというほどに新潟以外では見かけることの少ない越後姫を確実に味わうには、産地直送がおすすめです。
![越後姫と菜の花の豆腐ソース/鶏肉の越後姫バルサミコ](https://img.howtoniigata.jp/2020/02/06154103/series-recipe-011-next1.jpg)
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