新潟のつかいかた

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新潟市のまち歩きと
アートを楽しむ
〈水と土の芸術祭2018〉 | Page 3 Posted | 2018/08/03

鳥屋野潟で〈天寿園〉の庭園を回遊。
市民プロジェクトにも足を延ばそう

水辺の風景を体験したいなら、前回の〈水と土の芸術祭2015〉でも会場となった「鳥屋野潟(とやのがた)エリア」にも足を延ばしてみましょう。かつて新潟には76もの「潟」があり、ハスが浮かび魚がとれるなど恵みの湖だったといいますが、やがて干拓され、開発された結果、現在では16まで減ったそうです。

日本庭園と中国庭園が広がる〈天寿園〉
日本庭園と中国庭園が広がる〈天寿園〉。中国庭園は中国人による設計・施工で、資材もすべて中国から運んだという本格的中国庭園。

市内でも大きな鳥屋野潟のほど近くにある、中国庭園と日本庭園が調和した国内では珍しい庭園〈天寿園〉では、折元立身さんの写真作品を展示。1980年のニューヨークから、ロンドン、アムステルダム、ミラノなど世界を放浪した証として、スニーカーを履いた足元と路上を写した写真群です。

折元立身《STEP IN》
折元立身《STEP IN》
折元さんの作品が展示されているのは、蓮の花をイメージした「冥想館」
折元さんの作品が展示されているのは、蓮の花をイメージした「冥想館」。もとは別の美術館のために村野藤吾が設計したもので、村野の没後、天寿園に建てられたそう。

中国・上海出身、9歳で青森に移住した潘逸舟(ハン・イシュ)さんは、自らのアイデンティティーを追求し、体の水と環境の水が循環するようなイメージを託した映像作品を発表。「足ツボ」を刺激する作品も踏みしめてみましょう。

潘逸舟《痛みを伴う散歩》
潘逸舟《痛みを伴う散歩》
ツボが押されて痛いけど気持ちいい。
ツボが押されて痛いけど気持ちいい。
天寿園から徒歩すぐの「清五郎潟」には、日比野克彦さんの作品が
天寿園から徒歩すぐの「清五郎潟」には、日比野克彦さんの作品が。新潟市を流れる阿賀野川で2010年まで30年間、遊覧船として使われていた船を作品につくり変えた《BOAT HOUSE DOCK YARD[船の家 造船所]》。
天寿園から徒歩すぐの「清五郎潟」には、日比野克彦さんの作品が

また、これまでの芸術祭でも盛り上がりを見せていた市民プロジェクトが、今年も各地で沸き起こっています。友政麻理子さんを招いて、人から借りて返しそびれているものなど「貸し借り」を縁としたエピソードを集めたアートプロジェクトを行う「よろっとなすベースキャンプ」など、アーティストを招聘して市民が主体となって行うプロジェクトもいくつか。

友政麻理子「よろっとなすベースキャンプ」
友政麻理子「よろっとなすベースキャンプ」(写真提供:水と土の芸術祭事務局)

地域の新しい食やものづくり、祭りなどをつくるほか、相撲甚句や相撲のリズムを音楽にするワークショップ、ペンキ絵のライブペインティング、「銭湯」をテーマとしたプロジェクトなど、市民が自分たちの「やりたいこと」をかたちにしていくユニークなプロジェクトがたくさん。

ほかにも、ここで紹介しきれなかった作品がまだまだあります。新潟市の風土や文化、まちをまるごと楽しめる芸術祭に、ぜひ足を運んでみて!

Information

【天寿園】

address:新潟市中央区清五郎633-8

開園時間:9:00~17:00(庭園は7・8月は~21:00)

休園日:第2・4月曜(祝・休日の場合は翌日)

ぽんしゅ館のおちょこ

Information

【水と土の芸術祭 2018】

会期:2018年7月14日(土)~10月8日(月・祝)

会場:万代島多目的広場、新潟市芸術創造村・国際青少年センター(ゆいぽーと)ほか新潟市全域

料金:パスポート 一般 当日1500円/学生・65歳以上 当日1000円(有料となるメイン会場、NSG美術館、天寿園の屋内会場は、それぞれ単館チケットあり)

web:水と土の芸術祭 2018

credit text:白坂由里 photo:ただ(ゆかい)