新潟のつかいかた

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佐渡でしか味わえない
自然とアート!
〈さどの島銀河芸術祭〉 Posted | 2018/09/21

佐渡島をめぐる芸術祭、まずは両津港周辺からスタート

越後妻有地域の〈大地の芸術祭〉、新潟市の〈水と土の芸術祭〉と、芸術祭のメッカになりつつある新潟県に、もうひとつの芸術祭があるのをご存知ですか?

舞台は佐渡島。ときに島であることを忘れてしまうような中心市街地と、そこから車を1時間も走らせれば、どこか懐かしいような、日本の原風景ともいえるような景色に出会える島です。

2016年、佐渡の有志たちによって実験的にスタートした〈さどの島銀河芸術祭〉。今年で2回目の開催となり、後期の会期が9月28日からスタートします!

この芸術祭がユニークなのは、著名な作家ばかりではなく、佐渡出身や在住のアーティストの作品が約半数を占めていること。彼らを媒介として、佐渡の魅力を再発見していくという試みがとられています。

佐渡とひと口に言っても広い! 作品を見てまわるには、やはり車が便利。路線バスやタクシーもありますが、レンタカーでドライブを楽しみながらまわるのがおすすめです。まずは、両津港すぐそばにある〈あいぽーと佐渡〉にて、スタンプラリーつきパスポートをゲット。さっそくアートめぐりの旅へ!

佐渡のインフォメーションセンター〈あいぽーと佐渡〉
佐渡のインフォメーションセンター〈あいぽーと佐渡〉。楳図かずおの作品展示と、銀河芸術祭の公式グッズが販売されています。

楳図かずおファンにとっては涙もの?
『わたしは真悟』展

SFや恐怖漫画の代表格、楳図かずお。2018年、“漫画におけるカンヌ”ともいわれる〈アングレーム国際漫画祭〉で、永久に遺すべき作品として『わたしは真悟』が選出されました。

楳図かずお『わたしは真悟』展
楳図かずお『わたしは真悟』展

実は同書のクライマックスシーンの舞台は佐渡。ラストシーンを3次元に昇華させたこの作品は、ストーリーを知る人には驚きと感動をもたらすはず。できれば佐渡を訪れる前に『わたしは真悟』を読破して、作品を体感してほしい!

楳図かずお『わたしは真悟』展

ディレクター自らの作品に込められた思い

あいぽーとのすぐ近くにある、かつての漁業市場の事務所も会場になっています。この銀河芸術祭の発起人であり、佐渡在住のアーティスト、吉田モリトさんのインスタレーションは、胸がざわつくような不穏な雰囲気を醸し出しています。

吉田さんの作品『I LOVE YOU』が展示されている旧漁業市場事務所。
吉田さんの作品『I LOVE YOU』が展示されている旧漁業市場事務所。

廃墟的空間にこだまするのは、電波にのって佐渡に届く、朝鮮半島やロシア、中国のラジオ放送。荒いノイズのほか、時間によって異国の言葉が流れ出します。

昭和期の無線電話送信記録簿なども作品の一部に。
昭和期の無線電話送信記録簿なども作品の一部に。

さらに、白熱球の点滅とともに流れるモールス信号。双眼鏡をのぞくと見える船上の旗。それらが示すメッセージや意味とは?

昭和期の無線電話送信記録簿

5年前に佐渡にUターンした吉田さん。帰省のたびに衰退していく島を目の当たりにしながら、同時に佐渡こそ芸術祭に向いた場所はないと思っていたそう。

「誰かがやるだろうと思っていたんですけど、いっこうに始まらないから、自分でやるしかないと思って。初年度はともかく“実験”でした。各地で増えていく行政主導の芸術祭に対して『本当にそれでいいのか?』という異を唱えるような芸術祭にしたかったんです」

銀河芸術祭のコミュニケーション・ディレクター、吉田モリトさん
銀河芸術祭のコミュニケーション・ディレクター、吉田モリトさん。

昨年は、各芸術祭のディレクターを呼んでのシンポジウムを開催。佐渡の魅力に触れ、この島に注目してくれる美術関係者も増えてきたといいます。

「地域を盛り上げるためのアートではなく、あくまでアート作品に触れてもらい、そこから地域振興につながればいいと思っています」

湖畔に佇む舟小屋が会場に

両津港のすぐそばにある湖「加茂湖」。牡蠣の養殖が盛んで、湖の回りの家々には「舟小屋」と呼ばれる船収納庫が。その舟小屋が作品の展示スペースになっています。

佐渡名物「たらい舟」を作品の支持体にした、できやよいのインスタレーション。虹色をした緻密な模様の舟、寄せる水音、天井の竹風鈴、ほんのり潮の香りのする風が五感をくすぐります。

できやよい『どんぶらこっこどんぶらこっこ』
できやよい『どんぶらこっこどんぶらこっこ』
『どんぶらこっこどんぶらこっこ』のたらい舟には、ひとつひとつの模様が細密に描かれている
よーく見ると単に色が塗られているのではなく、ひとつひとつの模様が細密に描かれています。

また同じ舟小屋に、漁に用いる網、プラスチックの破片、海藻、稲刈りに使うカマなどを魚拓のように写したイーサン・エステスによる作品も。美しさの中に、海や海洋生物への危機感をにじませています。

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イーサン・エステス『Impressions of Sado Island』
これぞ佐渡の原風景!

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