新潟県は全国でも人口に対するラーメン店舗数がトップクラスの「ラーメン県」。南北に長い新潟には、昭和初期から根づく、まったく特徴が異なる通称「新潟5大ラーメン」があります。「燕背脂ラーメン」「長岡ショウガじょうゆ」「割りスープ付きみそ」「新潟島あっさりしょうゆ」「三条カレーラーメン」という5大ラーメンの成り立ちについては、『新潟文化物語』に詳しく紹介されています。
しかし新潟のラーメン文化はこれだけではありません。ここでは5大ラーメンたちと肩を並べて、「6大ラーメン」とするならこの一杯! というラーメンを、ラーメン評論家として活躍する本谷亜紀さん、サニーデイ・サービスの田中貴さん、そして月刊『新潟Komachi』編集部で選んでみました。多彩すぎる個性派ラーメンがあることにきっと驚くはずです!
本谷亜紀が推薦! 劇場型ラーメン店〈手打ラーメン 勝龍〉の
「角煮みそラーメン」
Profile 本谷亜紀(ほんやあき)さん
ラーメン評論家。年に350杯のラーメンを食べる。テレビ朝日「お願い!ランキング」でラーメン女子大生としてデビューし、日本初の女性ラーメン評論家として活躍。現在は、ライブ配信アプリ「17 Live」のトップライバー(配信者)としても活躍。
まず本谷さんに紹介していただいたのは、錦鯉の養殖地として有名な小千谷市にある〈手打ラーメン 勝龍〉です。ラーメンづくりに関する手間やコストを度外視し、こだわりの素材をふんだんに使った盛りのいい一杯が自慢のお店です。名物は自家製の豚角煮をたっぷりとのせた角煮みそラーメン。
豚骨ダシに自家製味噌ダレや甜麺醤、ラー油などを合わせた濃厚なスープに、さらなるコクを与える豚角煮は、特製ダレで煮込んだあとに数日間熟成させることで、とろけるような食感に仕上がっています。麺も自家製で、スープとの相性を追求した結果、角が丸い太麺にたどり着いたそう。
「自家製麺の力強い麺の歯応えとそのおいしさは、今でも記憶に残っています。こちらのお店はラーメンがおいしいのはもちろんですけど、接客も名物なんですよね。とにかく明るくて、思わず笑顔になってしまいます。厨房もオープンで、まるで劇場のよう」(本谷さん)
そうなんです。実は、勝龍が多くのファンに愛される理由は、パワーをもらえるような接客にもあるんです。スタッフさんたちもノリがよく、写真撮影をお願いすると、勝龍名物の「ドッカーン」ポーズをしてくれますよ。
「あの接客は、実際にお店に行かないと体験できないことです。おいしいラーメンだけじゃなくて、接客からもパワーがもらえる。そんなお店はそう多くはありません。だから、新潟を訪れた際には、ぜひともパワーをもらいに出かけていってほしいですね」(本谷さん)
新潟のラーメン店といえば、この2店は忘れられない!
新潟5大ラーメンに数えられるお店ですが、本谷さんのなかでは〈三吉屋 西堀本店〉と〈東横 愛宕店〉も、記憶に残るおすすめのお店だそうです。
「三吉屋 西堀本店は、東京からも多くのラーメン店主さんが訪れていて、ずっと気になっていたんです。初めて行ったのに、懐かしい気持ちにさせてくれるアットホームさが魅力です」(本谷さん)
三吉屋 西堀本店は、5大ラーメンのひとつ「新潟島あっさりしょうゆ」の原型を守り続ける老舗です。煮干しや豚骨などをじっくりと炊いた飴色のスープに、のどごしのいい極細麺の組み合わせ。屋台時代から続くスタイルを、50年以上も守り続けています。
「あっさりとした味わいですが、あとからじわじわとくるような、忘れられない味です。極細麺のプルプルしたのどごしも心地よかったですね」(本谷さん)
もうひとつの東横 愛宕店は、「割りスープ付き濃厚味噌」の代表店です。超濃厚の味噌スープと県産コシヒカリの米粉を加えたモチモチの自家製麺との組み合わせはヤミツキになります。
「札幌味噌ラーメンが自分のなかの味噌ラーメンのスタンダードだったので、この濃厚さには驚きました。スープをひと口飲んだとき、そのパンチに体がビリビリとしびれましたね。ダシで薄めながら食べるスタイルもおもしろいです」(本谷さん)
パンチのある超濃厚スープは、ゲンコツなどを12時間以上煮込んだ動物系ダシに、2種類の味噌やショウガなどを加えた特製味噌ダレを合わせたもの。県内ではスープを薄めずに食べる人もいますが、卓上の割りスープで自分好みの濃度に調節できるところがポイントです。
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〈食堂ミサ 本店〉の「味噌ラーメン」 】