新潟を代表するカルチャーストリート・新潟市古町(ふるまち)。ライブハウスや劇場、個性が光るショップが並び、自らの感性で店を営む人々が集うこのまちは、長年独自のカルチャーを育んできました。
なかでも、白山神社の門前町として知られる上古町商店街(通称:カミフル)は、情緒あるまち並みと新しい店が心地よく共存するエリア。ここ数年は30代の若手オーナーによる古着屋が続々とオープンし、特別な一着との出合いを求めて全国から愛好家が訪れる“古着の聖地“として注目を集めています。


なぜ今、このまちで古着カルチャーのうねりが生まれているのか。何が人々を惹きつけるのか。今回は、その背景をひも解きながら、注目ショップやストリートスナップをご紹介します。
上古町にはなぜ、古着屋が集まるのか
古着好きの芸能人やアーティストも足を運ぶ上古町商店街。しかし、最初から“古着のまち”だったわけではありません。
その流れをつくった店のひとつが、2016年6月にオープンした〈ONE DAY STORE NIIGATA〉。開店10年を迎えた同店は、上古町の変化を間近で見続けてきました。
なぜ、ここに古着屋が集まるようになったのか。副代表・羽根田孝太さんと店長・小島奈緒斗さんに、その背景や、上古町で店を続ける思いを聞きました。
「ない場所だからこそおもしろい」。
服好きの若者が出会った、古着の原点
〈ONE DAY STORE NIIGATA〉のオープン間もない頃から店に立つ小島さん。古着の原点は、オーナーとの出会いにさかのぼります。
「オーナーはもともと古町のセレクトショップで働いていて、古着好きだったこともあり、この場所で〈ONE DAY STORE NIIGATA〉を立ち上げました。『せっかくなら、まだ古着屋が少ない場所でやるのもおもしろいよね』と、当時は古着屋がほとんどなかった上古町を選んだそうです。僕は大学時代にお店へ通うようになって、オーナーのフレンドリーな接客がすごく好きだったんです。気づけば4年生の頃にアルバイトとして働き始めて、今に至りますね」

ヴィンテージ古着は、価格帯も含めて敷居の高いイメージがつきもの。そんななか、〈ONE DAY STORE NIIGATA〉が提案したのは、トレンドを取り入れた古着や、日本ではあまり流通していないアイテムなど、従来の古着屋とはひと味違うセレクト。同世代にも気軽に古着を楽しんでもらえるような店づくりを続けてきました。
オープンから2年後には、小島さんの大学時代の後輩であり、アパレル仲間でもあった羽根田さんが加わります。若いスタッフが店頭に立つようになると、高校生や大学生など、学生を中心としたお客さんも少しずつ増えていきました。
「当時はInstagramも今ほど普及していなかったので、『おしゃれなあの子が、ここで服を買っている』という口コミが何よりの宣伝でした。少しずつ人が増えて、人が人を呼ぶ流れが生まれていましたね」と小島さんは振り返ります。

古着屋・地価・コミュニティ。
上古町の“地の利”が出店を後押し
〈ONE DAY STORE NIIGATA〉のオープン以降、上古町には若いオーナーによる古着屋の参入が増えていきました。
「ひとつの店舗だけでがんばるより、商店街として盛り上がっていくほうがうれしいですし、仲間が増えていくようで僕自身も素直にワクワクしました」と羽根田さんは笑顔を浮かべます。
そして、もうひとつ見逃せないのが上古町ならではの“地の利”です。 趣深いまち並みや建物は、古着のムードと相性抜群。さらに、物価高の影響で家賃が上昇するなか、市内の中心部でありながら初期投資を比較的抑えやすいことが、出店を後押しする理由のひとつになっています。
万代エリアには別店舗〈ONE DAY STORE BANDAI〉を構えており、比較すると上古町の家賃相場は抑えられていると感じているそう。その分、買いつけや渡航費など、店づくりにより多くの費用を充てられることも魅力だと話します。
店が増えれば、選択肢が増える。選択肢が増えれば、まちを歩く楽しさも増えていく。そんな循環が、今の上古町をかたちづくっています。

さらに、YouTubeやInstagramなどのSNSは、上古町の古着カルチャーを全国へ広げる追い風になりました。
「僕たち自身も買いつけや店の様子を発信していますが、芸能人の方が買いに来てくださり、その様子をYouTubeで紹介していただく機会もあり、県外や海外からのお客さんも増えていますね」と小島さん。
そこでしか見つけられない一着があるのが古着のロマン。商店街を歩きながら宝探しをするような時間そのものが、多くの古着ファンを惹きつけています。
ブームではなく、カルチャーをつくる。
古着を起点に豊かな時間を
学生からミドル世代まで、幅広い年代に親しまれている〈ONE DAY STORE NIIGATA〉。しかし、ふたりは今を “古着ブーム”とは捉えていません。
「古着自体は、すでに世間に浸透しているものだと思っています。これまでもこれからも、古着を手に取るきっかけをつくっていきたいという思いは変わりません。その次の段階として、その一着を着てどこへ行くか。そんな時間まで提案していきたいですね」
例えば、と羽根田さんは続けます。
「僕らのお客さんって、美容室へ行って、スタイルも気分も整えた流れで来店してくださる方も多いんです。そのあと、すぐに家に帰るのはもったいないじゃないですか。せっかくなら、その高揚感のまま、食事や会話を楽しめるような場所もつくっていきたいです」

横のつながりを大切に、このまちの次の楽しみ方も育てていきたい。そんな思いが、上古町という商店街に、静かで大きな熱気を生み出しています。

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上古町の古着屋3選
【ショップMAP付き】 】

