日本初の瓶内発酵を実現【ニイガタビール】
国内初となる“瓶内発酵”に成功したのが〈新潟麦酒株式会社〉。「熟成ビールを気軽に」がコンセプトのブルワリーです。
1997年創業の同社は、翌年の1998年に国内初となる“瓶内発酵”による製造方法で醸造免許を取得しました。創業者の宇佐美健さんは脱サラしてビールづくりを始めたという異色の経歴の持ち主。新潟大学卒業後、製薬会社に勤めていた宇佐美さんは「大手メーカーのビールは味が同じ。自分でつくればいろいろな味のビールができるのでは」と思い立ち、会社を立ち上げました。
“瓶内発酵”による製造方法は、ドイツやベルギーなどで古くから行なわれている製法。宇佐美さんは「瓶内で自然発酵した熟成ビールを気軽に飲んでもらいたい」とスタートし、現在もそのスタンスを変えず、本物の熟成ビールをつくり続けています。
ドイツ・ケルン地方でつくられている伝統的なビール「ケルシュ」を元にしている〈ヨーロピアン・ケルシュ〉は、濃い小麦色でフルーティーな香りが漂います。上品な酸味と軽やかな口当たりが特徴です。〈ゴールデン・ケルシュ〉は、ヨーロピアン・ケルシュをベースに熟成を重ねてつくった琥珀色のビール。8パーセントというビールにしては高アルコール度数ですが、爽やかな甘い香りと酵母のふくよかな風味で、とても飲みやすく仕上がっています。そして、エール(上面発酵)スタイルの〈ブラック〉は、ローストされた深いモルトのコクがありつつ、すっきりした後味です。
なお、〈新潟麦酒株式会社〉のビールは瓶内で熟成が進むため、ワインのように刻々と味わいが変化するものもあるそう。同じ銘柄でも飲む時期によってコクが増していくので、フレッシュな味わいが好みの方は、購入してすぐに飲むのがおすすめ。宇佐美さんは「1~2年寝かせるのが好き」だとか。
〈新潟麦酒株式会社〉は、耕作放置地を借り受けて大麦を栽培する農業にも取り組み、ビールを仕込める量が収穫できた年は、自社農園の大麦で商品をつくるそうです。ほかにも農場を所持し、ビールに使用した麦芽で牛を育てたり、2019年にはレストランのオープンを予定していたりと、〈新潟麦酒株式会社〉の挑戦は今なお続いています。
Information
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credit photo:minokamo food:山村真由美
text:長谷川梨紗(くらしさ)、山村真由美、長谷川浩史(くらしさ)