鮮やかな色彩を生み出す「フュージング技法」
陶器、磁器、漆器、ガラス……ひと口に「うつわ」といっても、素材やつくり方、そしてうつわが放つ趣きやたたずまいはさまざま。今回は、クリアな見た目が夏の食卓に涼を呼ぶガラスのうつわにフォーカス。透明感のある涼やかな美しさは、暑い季節こそ使いたくなるのです。
![透明感のある四方皿](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150658/spot-utsuwa-001-photo1.jpg)
![ガラスのおちょこ](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150700/spot-utsuwa-001-photo2.jpg)
フュージング技法によって生まれるカラフルな色彩
新潟県上越市にアトリエを構えるガラス工房〈falaj〉。falaj、見慣れない言葉ですが読み方は「ファラジ」。アラビア語で「すてきなものを分かち合う」といった意味があります。工房を営むのは、丸山慎二郎さんと淳代さんのご夫婦。夫婦そろってガラス作家というのは日本ではなかなか珍しいことなのだそう。
![丸山慎二郎さんと淳代さん](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150702/spot-utsuwa-001-photo3.jpg)
鮮やかな色の組み合わせにぽってりとしたフォルム。透明で華奢というイメージの強いガラス製品とは異なる個性的な美しさは、色とりどりの板ガラスを組み合わせてつくるフュージングといった技法によって生まれるものです。
![角皿と丸皿](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150704/spot-utsuwa-001-photo4.jpg)
「カットした板ガラスを組み合わせて、電気炉で2回に分けて焼きます。温度が高すぎると溶けてしまい、低すぎると溶けずにガラス同士がくっつかない。気候や湿度、入れる枚数によって、温度を毎回微妙に変化させているんです」(慎二郎さん)
完成までには最短で2日ほど。作業工程が多く完成までに時間がかかるため、フュージング技法のつくり手は少ないのだそう。
さらに、フュージング専用の色板ガラスを主に製造するのは、アメリカ、メキシコ、イタリアの各国に1社ずつ、計3社しかないため仕入れもかなり困難。通常はガラスの代理店から仕入れていますが、手に入らない場合はメーカーから直輸入。「輸送費が半端ないんですよ(笑)」と、慎二郎さん。
![ガラスをカット](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150706/spot-utsuwa-001-photo5.jpg)
![指紋や汚れをきれいに拭き取る](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150708/spot-utsuwa-001-photo6.jpg)
![離型紙に板ガラスをのせる](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150710/spot-utsuwa-001-photo7.jpg)
〈falaj〉のうつわには、このほかに、和柄を施した型紙をガラスに貼りつけ、研削材を吹き付けて模様を彫っていく「サンブラスト」といった技法でつくる和柄シリーズと、粉のガラスを重ねながら花の模様をつくり出していくパウダーシリーズがある。どれも繊細でありながら、ころんと愛らしい。
![和柄シリーズ](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150712/spot-utsuwa-001-photo8.jpg)
![パウダーシリーズ](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150714/spot-utsuwa-001-photo9.jpg)
![〈falaj〉の角小皿](https://img.howtoniigata.jp/2020/07/09150647/spot-utsuwa-001-next1.jpg)
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