八色のすいかに外れなし
夏になると食べたくなるすいか。新潟県でのすいか栽培の歴史は、明治時代中期頃に始まったといわれています。
県内の主な産地は、山沿いの八色原(やいろはら)エリアと海沿いの砂丘エリア。それぞれ「八色産すいか」、「砂丘すいか」と呼ばれており、前者は八海山の裾野に広がる魚沼エリアの黒色火山灰土、後者は新潟市の西蒲区や赤塚地区の砂丘という、どちらもすいかが好む水はけの良い土壌で栽培されています。
今回訪れたのは、40年以上にわたって八色産すいかの生産をしている〈荒井ファーム〉さん。現地でおいしさの秘密や栽培のこだわりをうかがいました。
「『八色のすいかに外れなし』と巷でいわれているほど、味に自信がありますね。皮のキワまで甘くてシャリシャリの食感、果汁溢れるおいしいすいかです」
すいかの原産はアフリカのサバンナ地帯や砂漠地帯とされており、高温乾燥を好み、水はけの悪い場所を嫌います。農園がある魚沼エリアはコシヒカリの産地としても有名な土地ですが、実はすいかにとってもうってつけの条件が揃っているんです。
「このエリアの土壌は火山灰を含んでいて水はけが良いです。そこに当園では、籾殻やおからを発酵させた自家製の堆肥を混ぜることで空気を含みやすくし、水はけがより良くなるようにしています」
また、昼夜の寒暖差が大きい盆地ならではの気候が、糖度の高いすいかを生み出します。日中の強い日差しが光合成を促して糖分をつくり出し、気温が下がる夜に昼間に蓄えた糖分を実に溜め込むのです。それを繰り返すことで、一般的に糖度11度前後で甘いといわれるすいかにおいて、糖度13度前後という甘さ際立つすいかができるのだとか。
さらに荒井ファームでは、病気にかかりにくくするために、病気に強い夕顔の苗にすいかの苗を接ぎ木するという丁寧な苗づくりをしています。そして、畝を高くつくることでしっかりと根を張らせ、土からたっぷりと吸った栄養が、大きなすいかを実らせるといいます。
「みずみずしくて甘いすいかをまずはそのまま味わってみてほしいですね。一度食べたら毎年食べたくなる味ですよ」と荒井さん。
リピーターが多く手に入れるのが難しいといわれる八色産すいか。セミの声を聴きながらキンキンに冷えたすいかにかぶりつく。新潟に想いを馳せながら極上の夏を過ごしてみてはいかがでしょうか。